感染により変形した鼻の他院修正。瘢痕拘縮で沈み込んだ「鼻柱」を肋軟骨で再建する解剖学

他院での鼻整形後に感染を起こしてしまうと、内部組織の破壊と同時に強い「瘢痕拘縮」が発生します。

元々の鼻中隔の支持力が弱い状態に感染が重なると、組織は深刻なダメージを受け、鼻柱が奥へと後退して鼻全体のバランスが大きく破綻してしまいます。

このような感染後の修正は、組織の状態が非常に不安定で、術前は「無事に再建できるかどうか五分五分」という判断になることもある、修正手術の中でもトップクラスに難易度の高いケースです。

今回は、手術室での実況解説動画とともに、残された組織をいかに評価し、解剖学的に再建を行ったのかについて解説します。

目次

動画で見る:感染による「瘢痕拘縮」と鼻柱後退の診察

動画内の診察ポイントと解剖学的病態

  1. 強固な瘢痕拘縮による引き揚げ 感染による強い炎症反応によって組織が全硬化(硬縮)し、鼻先から鼻柱にかけての組織が上方に強く引き揚げられています。
  2. 鼻柱基部(柱の付け根)の5mm以上の沈み込み 元々の鼻中隔の弱さに感染が加わったことで支持構造が破綻し、鼻柱が小鼻の付け根よりも5mm以上も上方・深部へと下がり(沈み込んで)しまっています。
  3. 皮膚・粘膜の伸展性の完全な喪失 鼻柱から鼻先にかけての領域は組織がカチカチに固着しており、指で下に引っ張ろうとしても1mmも下に動きません。

難易度の高い状態からどう再建するか

感染後の修正は、通常の鼻整形とは全く異なる知識・技術・経験が求められます。僕は以下のステップで慎重に再建を進めました。

① 瘢痕組織の徹底的な剥離と引きつれの解除

粘膜や皮膚にへばりついている硬い瘢痕組織を1ミクロン単位で丁寧に剥離・切除します。拘縮によって固定されていた組織を解放(リリース)し、下がりのなくなった皮膚と粘膜に物理的な移動のゆとりを作ります。

② 自家肋軟骨による強固な中央支柱の再構築

感染によって土台を失い、全硬化した鼻柱を押し下げるため、十分な強度と量を確保できる「自家肋軟骨」を採取・加工します。これを鼻中隔基部に強汚に固定し、沈み込んでいた鼻柱基部を5mm以上下方へ押し出して適正な位置へと復元します。

③ 術直後における形態の再現

動画の最後にある術直後の状態の通り、拘縮を解除して肋軟骨フレームを立ち上げることで、上方に引き揚げられ奥に沈み込んでいた鼻柱が自然で美しい位置へと再現されています。

まとめ

感染後の修正手術は、組織の状態やダメージの程度によって治療方針が大きく異なり、すべての症例で同様の結果を保証できるものではありません。

しかし、たとえ「再建が非常に困難である」と予想される厳しい状況であっても、残された組織を慎重に見極め、解剖学的に正しい構造を一つひとつ作り直していくことで、機能性と美しい形態を取り戻すことが可能です。他院での感染や変形にお悩みの方も、諦めずにご相談ください。

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