切開フェイスリフトで最も気になるのは、「傷跡」と「後戻り」の2点だと思います。
「しっかり引き上げたいけれど、耳周りの傷跡は残したくない」という希望に対し、傷跡を最小限に抑えつつ、高い効果と持続性を引き出すことが重要です。

上の写真は、当院でフェイスリフト・ネックリフトを行ってから1年が経過した患者様の耳前部(耳の直前)の拡大写真です。一見しただけでは、どこを切開して縫合したのかがほとんど分からないのではないでしょうか。
傷跡の経過は単なる体質の問題ではなく、手術時にどれだけ皮膚の張力(テンション)を逃がし、精密に縫合できているかで決まります。今回は、この実際の傷跡写真とともに、なぜここまで綺麗に仕上がるのか、形成外科的なアプローチを解説します。
症例解説:どこを切開したのか?(術後1年の傷跡ライン)
まずは、先ほどの写真の切開ラインを分かりやすく示した画像をご覧ください。


ピンクのラインで示しているのが、実際の切開・縫合線です。
もみあげの生え際から耳垂(みみたぶ)の付け根、耳珠(じじゅ:耳の穴の前にある小さな軟骨のふくらみ)の裏側を通り、耳の後ろへと続く複雑なラインに沿って切開を行っています。
耳の軟骨の自然なカーブやシワの立体感に沿わせて隙間なくピタッと縫合することで、術後1年が経過した時点では周囲の皮膚と同化し、患者様ご本人からも「日常生活で誰にも気づかれない」というお声をいただいています。
なぜ傷跡が分からなくなるのか?形成外科医が叩き込まれる「縫合技術」
切開フェイスリフトで傷跡が太く目立ってしまう最大の原因は、「引き上げの力を皮膚表面で受けてしまっていること」です。皮膚だけで無理に引っ張って縫合すると、傷口に引っ張り応力(テンション)がかかり続け、時間の経過とともに傷跡が広がってしまいます。
形成外科は、外科系領域の中でも「傷跡を可能な限り美しく目立たなく治すこと」を専門として徹底的に追及する分野です。形成外科専門医は、研修医・修練医時代から人工皮膚や顕微鏡下(マイクロサージェリー)で、糸の締め加減や針の刺入角度、肉眼では見えないミリ単位の層のズレをなくす極細縫合のトレーニングを無数に重ねてきています。
僕は、この形成外科領域で培われた高度な創傷治癒技術をフェイスリフトに応用し、傷跡を綺麗に仕上げています。
① 深部(SMAS層)で引き上げ、皮膚表面のテンションをゼロにする「減張」
切開フェイスリフトにおける本来のリフトアップは、皮膚ではなく深部の支持組織(SMAS筋膜)で行います。SMAS層を強汚に引き上げて固定することで、たるみを根本から改善します。
この段階でリフトアップの張力をすべて深部組織に担わせるため、上にかぶさる余剰皮膚を切除して縫い合わせる際には、皮膚表面に引っ張り感が一切かからない状態(減張状態)を作ることができます。
② 解剖学的な層構造を復元する「真皮縫合」
表皮を閉じる前に、皮膚のすぐ下にある強固なコラーゲン層「真皮」同士を、体内に吸収される極細の糸で精密に縫い合わせます(真皮縫合)。結び目を深部に埋没させることで、抜糸後も内部から傷口をしっかり支え続け、傷跡の幅が広がるのを物理的に防ぎます。
③ 創傷治癒の経過を計算した「わずかな盛り上げ」と「締め込まない縫合」
傷口は時間が経つと引き締まり少し沈み込むという生理現象があります。そのため形成外科的縫合では、わずかに創縁を盛り上げる(外反させる)ように縫い合わせ、さらに術後のむくみ(浮腫)を見越して糸を過剰に締め込まず「絶妙な力加減」で保持します。
髪の毛よりも細い医療用ナイロン糸を用い、端と端を正確に「寄せる」ことで、時間の経過とともに傷跡は線状の目立たない痕へと綺麗に同化していきます。

まとめ:お一人おひとりの優先順位に合わせた治療提案
切開フェイスリフトは、デメリットである傷跡を最小限に抑えつつ、効果と持続性を最大限に引き出すバランスが極めて重要です。
- 傷跡の配慮: 減張縫合により、拡大しても分からないレベルに仕上げる
- 効果の持続: 深部SMAS層からの引き上げにより、後戻りを防ぐ
当院では、患者様の年齢や求める効果、確保できるダウンタイムの長さに合わせて、無理のないベストな施術プランをご提案いたします。「傷跡が綺麗に治るなら切開フェイスリフトを検討したい」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
施術詳細情報
- 施術内容: フェイスリフト
- 価格(税込): フェイスリフト 60万円〜(術式や剥離範囲により変動)、他院修正対応
- リスク・副作用: 術後の腫れ、内出血、一時的な感覚麻痺、血種、感染、傷跡の赤み(一時的)
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