「ふとした時にバストトップ(乳頭・乳輪)から独特なニオイがする気がする」 「ワキガと同じようなニオイが胸からも漂ってきて、人知れず悩んでいる」
デリケートゾーンやワキのニオイに関するお悩みは比較的認知されていますが、実はバストトップ(乳輪周り)のニオイに悩まれている方も多くいらっしゃいます。この乳頭や乳輪から発せられる独特なニオイは、医療用語ではありませんが一般的に「チチガ(乳頭アポクリン症)」と呼ばれています。
なかなか他人に相談しづらい部位ですが、原因を正しく理解し、適切な医療アプローチを行えば、切ることなく切らずに改善を目指すことが可能です。
本コラムでは、チチガが発生するメカニズムと、身体への負担が少ない2つの治療法について解説します。
チチガ(乳頭・乳輪のニオイ)の正体と発生メカニズム
結論からお伝えすると、チチガは「ワキガ(腋臭症)の乳輪バージョン」です。ワキの下で起こっているニオイの発生現象が、そのまま乳輪の皮膚でも起こっている状態を指します。
ニオイの元となる「アポクリン汗腺」の存在

私たちの体内には、「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」という2種類の汗腺が存在します。
- エクリン汗腺: 体温調整のために全身からサラサラとした汗を出す汗腺(ほぼ無臭)
- アポクリン汗腺: タンパク質や脂質、アンモニアなどを豊富に含んだ脂っぽい汗を出す汗腺
このアポクリン汗腺から分泌された汗に含まれるタンパク質や脂質が、皮膚の表面に存在する常在菌(細菌)によって分解・酸化されることで、独特の強いニオイ成分へと変化します。これがチチガ(およびワキガ)の正体です。
アポクリン汗腺はワキの下だけでなく、耳の中、乳輪周り、会陰部(デリケートゾーン)など限られた部位に多く存在しています。そのため、ワキガ体質の方は乳輪やデリケートゾーンからも同様のニオイ(チチガ・スソガ)が発生しやすい傾向にあります。
【動画解説】木下医師が教える「チチガの原因と治療法」
チチガが発生する仕組みと、おすすめの治療法について、動画でも分かりやすく解説しています。
切らずに治す!チチガの2つの医療アプローチ
「胸の施術は傷跡が残りそうで怖い」「切開手術には抵抗がある」という方でも安心して受けていただけるよう、現在はメスを使わずにアポクリン汗腺へアプローチする「切らない治療法」が主流となっています。
当院で主に行っている2つの治療アプローチをご紹介します。
① ニードルRF治療(高周波熱エネルギー)

極細の針(ニードル)を乳輪の皮膚に挿入し、針の先端から高周波(RF)熱エネルギーを照射する治療法です。
皮下に直接熱を加えることで、ニオイの元であるアポクリン汗腺に熱損傷を与え、汗腺そのものの働き(活性)を大幅に弱めることができます。皮膚表面を傷つけずに深部の汗腺へ直接アプローチできるため、傷跡の心配がなく、根本的なニオイの軽減・持続的な効果が期待できます。
② ボトックス注射(ボツリヌストキシン治療)

ワキガ治療でも広く用いられているボトックスを、乳輪周りの皮膚に細かく注射する治療法です。
ボトックスには、汗腺の働きを活性化させる交感神経(アセチルコリンの分泌)をブロックする作用があります。これにより汗の分泌量そのものを強力に抑え、菌が分解する汗を減らすことでニオイの拡散を防ぐことができます。効果の持続期間は約4〜6ヶ月程度ですが、メスや針の熱刺激すら最小限に抑えたい方や、イベント前に手軽にニオイを抑えたい方に適しています。
まとめ:一人で悩まず専門医による正しいケアを
バストトップのニオイ(チチガ)は、体質や汗腺の配置による生理的な現象であり、ご自身の衛生管理不足やケアの怠りが原因ではありません。そのため、市販のデオドラント剤や強いボディソープで過剰に洗うだけでは、根本的な解決に至らないことが多いのが現状です。
現在は切らずに傷跡を残さず、短時間でニオイの悩みを解消できる安全な医療技術が整っています。
「服にニオイが移っていないか不安」「パートナーに見られるのが恥ずかしい」とお悩みの方は、ぜひ一度専門医へご相談ください。一人ひとりの体質やライフスタイルに合わせて、最も身体に負担の少ない適切な治療プランをご提案いたします。
施術概要(チチガ治療:ニードルRF・ボトックス)
- 施術時間: 約20〜30分(麻酔時間を除く)
- 麻酔: 表面麻酔(麻酔クリーム)、笑気麻酔
- ダウンタイム:
- ニードルRF: 施術後に軽度の赤み、腫れ、点状の小さなかさぶたができることがありますが、数日から1週間程度で治まります。
- ボトックス: 点状の注射痕や内出血が数日出る場合がありますが、直後から日常移動が可能です。
- リスク・副作用: 赤み、内出血、腫れ、一時的な色素沈着、感染、効果の個人差(定期的な再施術が必要となります)





