人中短縮術(リップリフト)を検討するうえで、多くの方が最初に不安に感じるのが「傷跡」です。
一般的な方法では、鼻の下の皮膚を直接切除するため、しっかりとした短縮効果が得られる一方で、正面から見える位置に切開線が残ります。メイクである程度カバーできるとはいえ、完全に隠すことは難しく、すっぴんや至近距離での視線が気になるという方は少なくありません。
実際のカウンセリングでも、「効果は欲しいけど傷が怖い」「仕事柄、顔に傷は残したくない」といったご相談は非常に多いです。
こうした背景から、僕が考案した術式が「裏人中短縮(皮膚に傷がつかない人中短縮)」です。口の中からアプローチし、内部の筋肉や軟部組織を調整することで人中を短くします。皮膚を切らないため、顔の表面に傷が残ることはありません。
ただ、ここはよく誤解されるポイントなのですが、「傷がつかない=簡単な手術」ではありません。むしろ逆で、外から直接確認できない状態で操作を行うため、通常の皮膚切除よりも繊細で難易度の高い手術です。ミリ単位で組織の厚みや位置を調整しながら左右差を整え、最終的な形を作っていくためには、詳細な解剖の理解と再現性のある安定した手技が不可欠になります。
人中短縮で大切なのは「長さ」だけではない
人中短縮というと「とにかく短くしたい」というイメージを持たれる方が多いですが、長さだけを見てしまうと仕上がりが不自然になることがあります。単純に距離だけが短くなったとしても、口元が前に出て見える、上唇が重たく見える、横顔のバランスが崩れる、といった違和感が出るケースがあります。
口元の印象は、長さだけでなく、立体感や角度、ボリュームのバランスで決まります。自然な仕上がりにするためには、3つの要素を同時に整える必要があります。

① 鼻柱基部の高さ
鼻と上唇の境目にある鼻柱基部が落ち込んでいると、Cカールの起点が作れません。ここを持ち上げることで鼻唇角が鈍角になり、鼻から口元へのラインが自然につながります。
② 人中の凹凸
人中の溝が浅いと、正面はもちろん横から見たときにも口元が平坦な印象になります。特に皮膚や組織が分厚い方は、長さだけを縮めても「ぼってり感」が残りやすいため、ボリューム自体を整える必要があります。
③ 上唇のカール
上唇が内側に巻き込まれていると、人中は実際より長く見えます。上唇を適切な角度で外側に起こすことで、視覚的に人中が引き締まり、口元全体の印象が変わります。
「出すところは出し、引くところは引く」という三次元的な調整が重要です。裏人中短縮では、この考え方を内部処理の中に組み込んでいます。では実際に、口の中でどのような操作が行われているのか。術中の様子をもとに説明します。
術中動画で見る内部処理
この術式はすべて口の中から行われます。外からは見えない部分ですが、仕上がりに大きく影響する重要な工程です。
神経の扱い
手術の初期段階では、まず神経の位置を確認します。人中周囲には表情をコントロールする重要な神経が走行しており、これらを正確に把握し、傷つけないように避けながら操作することが、術後の自然な表情を保つために不可欠です。
神経の裏側の処理
この術式の特徴のひとつが、神経の裏側にある組織までアプローチする点です。神経を保護しながら、その奥にある余分な組織を少しずつ調整することで、人中全体の厚みを根本から改善します。
この部位は血管が多く、繊細な操作が求められます。過剰に処理してしまうと腫れや血腫のリスクが高まるため、「どこまで触るか」の判断が非常に重要です。解剖学的な構造を正確に把握したうえで、必要最小限の操作にとどめるよう術中に都度判断しながら進めています。
筋肉の調整
筋肉についても、単純に切除するわけではありません。不要なボリュームは減らしながら、口を閉じる機能や自然な動きに必要な部分は確実に残します。口輪筋や鼻腔底の動きに関わる微腸下性筋など、機能維持に必要な筋肉は適切に温存します。このバランスが崩れると、「口が閉じにくい」「笑ったときに違和感がある」といった問題につながる可能性があります。
術中は何度も左右のバランスを確認しながら、少しずつ調整を繰り返します。この細かな積み重ねが、術後の対称性と自然な仕上がりを作ります。
施術前後の変化
内部構造を解剖学的に整えることで、皮膚を切らなくても人中の長さ・厚み・上唇の角度を同時に改善することができます。単純に距離が短くなるだけでなく、横顔のバランスや口元の立体感も自然に整います。
横顔から正面にかけての変化です。皮膚を切らずに人中がしっかり短縮され、Cカールも形成されています。正面・横顔どちらから見ても自然な仕上がりです。
人中の距離が短縮されるだけでなく、中央に自然な溝ができ、上唇がツンと上を向くことで、口元全体がすっきりと引き締まっていることが分かります。
「あいうえお」の発声と笑顔の動作です。術後も口周りの動きに違和感がなく、自然な表情が保たれています。
まとめ
裏人中短縮は、「傷がつかないから気軽にできる手術」ではありません。外から見えない部分を精密に操作する必要があるため、通常の皮膚切除法以上に高い技術と解剖学的な理解が求められます。
神経を保護しながら裏側の組織まで調整し、筋肉や軟部組織を三次元的に整える。この内部処理の精度が、傷跡のない自然な仕上がりを決めます。
人中短縮を検討されている方は、まず診察にて、ご自身の悩みが「長さ」だけの問題なのか、それとも「厚みや立体感」が関係しているのかを整理することが大切です。顔全体のバランスを見極めたうえで、一人ひとりに合った最適な内部処理をご提案します。
施術詳細
費用:裏人中短縮(皮膚に傷がつかない人中短縮):¥449,000
人中厚み調整3D(オプション):+¥220,000
※2026年3月時点での料金です。
※モニター等で変動があります。
※これ以外に、他院修正代・検査費用・麻酔費用等がかかることがあります。
リスク・ダウンタイム: 口腔内を切開する術式のため、術後は腫れ・内出血が出ることがあります。腫れのピークは術後2〜3日で、1〜2週間程度で落ち着いてくることが多いです。抜糸は術後1週間前後が目安です。食事は術後から可能ですが、硬いものや刺激の強いものは控え、柔らかいものから始めていただくようお伝えしています。まれなリスクとして、左右差・血腫・感染・一時的な神経症状(しびれなど)があります。いずれも術前にご説明した上で施術を行います。





