小鼻縮小は、SNSや美容医療サイトなどでもよく目にする人気の施術です。「鼻の横幅を小さくしたい」「笑ったときの広がりを抑えたい」などの理由で選ばれることが多く、比較的ライトな施術と思われがちです。しかし、実際には鼻整形の中でもトップクラスに奥が深く、繊細なデザイン力と構造的な理解が求められる難易度の高い手術のひとつです。
今回は、術中写真をもとに「正しい小鼻縮小とは何か」について、実際の症例を通じて解説していきます。小鼻縮小を検討している方はもちろん、美容医療に興味のあるすべての方にとって、知っておいて損はない内容です。
気軽に見える小鼻縮小、その本当の難しさ
小鼻縮小は「目立たない」「短時間で終わる」といったイメージから、美容医療初心者の方でも気軽に選ばれやすい施術です。しかし、実際には顔の中心にある“鼻”という立体構造の中で、バランスを保ったまま形態を整える必要があり、安易な切除が大きな後悔につながるリスクも含んでいます。
術後の変形や左右差、笑ったときの不自然さ、傷跡の拘縮など、修正を希望されるケースも少なくありません。だからこそ、初回から構造に対する深い理解と、細部まで設計されたデザイン力が求められます。
当院では、鼻翼の縮小に際して、骨格・皮膚の質感・表情筋の動きまでを含めた立体的な評価を行い、ナチュラルで調和のとれたデザインを心がけています。小鼻は“切れば小さくなる”ものではなく、ミリ単位の調整と固定の積み重ねによってはじめて「自然で美しい変化」が生まれます。
今回の症例:左右比較で見る“正しい縮小”
下の写真は、手術中の一コマです。右側(写真向かって左)だけを内外側から縮小した状態で、左側はまだ未処理のまま。このように、術中に「切った後」と「切る前」が並ぶ瞬間は非常に貴重であり、仕上がりの方向性や設計意図が視覚的にも明確に伝わります。

縮小後の右側では、小鼻のふくらみである”土手”や自然な丸みはしっかり残しつつ、横幅のみがスマートに整えられています。一方、左側はまだ広がりとボリューム感があり、小鼻の主張が強く見えます。このコントラストは、「ただ小さくする」ではなく、「美しく整える」という小鼻縮小の本質が分かるかと思います。
なぜ“小鼻を切るだけ”ではダメなのか?
小鼻の形状は、鼻先・鼻柱・鼻孔のバランスと密接に関係しています。そのため、一部を安易に切除すると、鼻全体のバランスが崩れ、「鼻の穴が目立つ」「のっぺりとした印象」「笑顔で不自然になる」といった仕上がりになる可能性があります。
特に注意すべきなのは、計画性のない切除によって“小鼻の土手”が失われるケースです。このふくらみがなくなると、逆に鼻の穴の形が強調されてしまい、意図とは逆の印象になってしまうことがあります。小鼻の縮小は、単純に皮膚を切るだけでは成立せず、構造全体を理解したうえでの調整が必要です。
小鼻の形状は、鼻先・鼻柱・鼻孔のバランスと密接に関係しています。そのため、一部を安易に切除すると、鼻全体のバランスが崩れ、「鼻の穴が目立つ」「のっぺりとした印象」「笑顔で不自然になる」といった仕上がりになる可能性があります。
小鼻縮小の目的は“単に小さく見せる”ことではなく、“形態を保ちつつバランスよく整える”ことです。そのためには、必要な構造を残しながら不要な部分だけを最小限に整える、非常に繊細な調整が求められます。
また、当院では必要に応じて、鼻中隔延長・鼻柱下降・鼻孔縁挙上・鼻尖形成といった他の手術も組み合わせて、全体のバランスを整える設計を行っています。単体の縮小にこだわるのではなく、トータルフェイスデザインの一部として小鼻を捉えることが、ナチュラルで美しい仕上がりにつながるのです。
小鼻縮小の術式:内側・外側・内外側法の違い
小鼻縮小には、大きく分けて3つの術式があります。
①内側法

鼻腔内から余剰組織を切除する方法。傷が表面に出ないため自然な仕上がりになりやすいが、変化はやや穏やか。
②外側法

鼻翼外側の皮膚を切除する方法。しっかり変化が出るが、傷跡の工夫が必要。
③内外側法

両者を組み合わせる方法。バランスよく変化させたい場合に有効。
今回の症例では、内外側法を採用。鼻翼の張り出しと鼻腔の広がりの両方にアプローチすることで、より立体的で自然な縮小を可能にしました。
“土手”の丸みを残すという設計思想
鼻翼には“土手”と呼ばれるふくらみがあります。この部分は小鼻の輪郭や立体感を構成する重要な要素であり、ここを削ぎ落としてしまうと、鼻の存在感が損なわれ、不自然な仕上がりになります。
今回の手術では、あえてこの土手を残しながら、周囲の余剰組織だけを調整しました。その結果、のっぺり感を出さずに、自然な陰影と立体感を保ったまま、シャープな印象へと導くことができました。
骨膜固定の重要性と“支える”という発想
美しく長期的に安定した仕上がりを得るには、「どこにどう固定するか」が極めて重要です。皮膚の下には“骨膜”と呼ばれる膜構造があります。この骨膜に対して、適切なテンションと角度で縫合・固定を行うことで、
- 術後の後戻りの防止
- 笑顔での引きつれの軽減
- 傷跡の拘縮リスクの低減
などが期待できます。
当院では、ミリ単位で調整できる縫合法と、創部管理を徹底した術後ケアを行うことで、自然で目立ちにくい傷と、美しい経過を両立させています。小鼻の手術は“微妙なさじ加減”がすべて。切りすぎれば再建が必要になるため、慎重に・丁寧に整えていきます。
小鼻縮小は“仕上げ”であり、“全体調整”の一環である
実は小鼻縮小は、鼻整形において“最後の一手”として行われることが多い施術です。たとえば、鼻尖形成や鼻中隔延長で鼻先を整えた後、相対的に鼻翼が大きく見えるケースでは、最後に小鼻縮小を加えることで全体のバランスが完成します。
小鼻単体での判断ではなく、顔全体・鼻全体の中で小鼻がどう見えているかを評価した上で、必要な施術を組み合わせることが重要です。他院での手術後の修正や、再手術にも対応していますので、お悩みの方はぜひご相談ください。
まとめ:正しい小鼻縮小とは、“残す”ことで完成する
「小鼻を小さくしたい」と思ったとき、多くの方は「どこを切ればいいか」を考えます。しかし本来大切なのは、“どこを残すべきか”“どう支えるべきか”。
小鼻縮小は、削る手術ではなく「形を壊さずに整える手術」。 安易な施術選びを避けるためにも、構造とデザインを深く理解した医師とともに、あなただけの美しい鼻をつくっていきましょう。


