「目を大きくしたいけど、どこをどう手術すればいいか分からない」
私の外来では、こうしたご相談を日常的にいただきます。SNSや美容クリニックのサイトで目を大きくする施術を見かけても、二重だけで足りるのか、目頭や目尻も必要なのか、自分に何が必要か分からず不安な方も多いようです。
実際のところ、目を“本当に”大きく見せるには、単一の手術だけでは限界があります。目の大きさとは「縦」×「横」×「内側の開き(目頭)」の三方向のバランスで決まるからです。
この3方向すべてにアプローチする施術を、私は「目フル」と呼んでいます。
白目拡大術・目頭切開・二重手術を組み合わせることで、ただ目を大きくするのではなく、「印象そのもの」を最大化する設計が可能になります。
なお、目フルの内容は患者さんによって異なりますが、今回は「白目拡大術・目頭切開・二重手術」を組み合わせた症例をもとに、お話を進めていきます。
この記事では、目フルとは何か、なぜ組み合わせが重要なのか、実際の症例も交えて詳しく解説します。
目フルとは何か
「目フル」は、目の縦・横・内側という三方向に同時にアプローチすることで、目元全体の印象を最大限に引き出すための複合施術です。
単なる二重整形や目頭切開、目尻切開といった個別の手術とは異なり、目元の構造を立体的に捉え、複数の施術を組み合わせて総合的に設計するのが「目フル」の大きな特徴です。
今回は以下の3つの施術を組み合わせています。
- 白目拡大術(目尻切開+目尻靭帯移動+結膜切開グラマラスライン+脱脂+涙袋形成)
- 目頭切開(リドレープ法)
- 二重形成(埋没)
※「目フル」は患者様ごとに施術内容が異なります。上記は今回の症例における組み合わせです。
それぞれが異なる方向から“目の大きさ”に関与するため、単体で行うよりもずっと自然に、そして確実に目元全体の印象を大きく変えることができます。
また、目フルの最大の強みは「印象コントロール」ができること。単に大きくするのではなく、
- 優しい印象にしたい
- シャープでクールに見せたい
- 華やかにしたいけど不自然にはしたくない
といった細かなニュアンスにも、術式の組み合わせと設計次第で対応可能です。
目フルは、いわば“目元のフルデザイン”。その人の骨格、皮膚の厚み、眼輪筋の発達具合、まぶたの開きなどすべてを評価した上で、一人ひとりに合った設計図を描きながら施術を行っていきます。
目フル、各施術の詳細
ここからは、目フルを構成する3つの主要施術について、それぞれの目的や術式、特徴を詳しくご紹介します。
島田式白目拡大術
白目拡大術は、目尻側の白目の露出範囲を広げて、目の横幅を自然に拡張する手術です。
私が行っている島田式白目拡大術は、以下の要素を組み合わせたオリジナルの手術法です。
- 目尻切開
- 目尻靱帯移動
- 結膜切開グラマラスライン
- 下眼瞼脱脂
- 涙袋形成
- ※必要に応じて裏ハムラ
これらを組み合わせることで、傷を表に出さず、後戻りしにくく、かつ自然な目元を実現します。
特徴としては
✔︎半永久的に
✔︎ダウンタイムは最小で
✔︎キズ無し(抜糸無し)で
✔︎後戻りも最小に
✔︎涙袋は減らず
✔︎まつ毛も減らない
✔︎クマ(ふくらみ)も改善可能
目頭切開(リドレープ法)
蒙古ヒダの張りにより、目の内側が隠れて目が小さく見えてしまうケースでは、目頭切開が有効です。
なかでもリドレープ法は、余分な組織を切除するのではなく、ヒダのかぶさり方を“かぶせ直す”ことで開きを作る自然な手法です。
- 傷跡が目立ちにくい
- 「開きすぎ」を防ぎやすい
- ナチュラルな印象のまま、内側の抜け感を演出できる
特に白目拡大術と組み合わせることで、内外のバランスが整い、より洗練された印象が得られます。
二重形成(埋没または切開)
目の“縦の印象”を決めるのが、まぶたの開きと二重ラインの設計です。
目フルでは、もともと二重の方でも、目頭や目尻を広げたことで縦幅が物足りなく感じる場合、二重ラインを微調整することがあります。
- 埋没法は腫れが少なく、元に戻すことも可能
- 切開法はまぶたの厚みや眼瞼下垂の程度に応じて選択
- 開瞼力が弱い場合は、眼瞼下垂手術を組み合わせることも検討
二重形成は、“華やかさを加える”というより、“全体のバランスを取る”目的で調整することが多くなります。
組み合わせによる総合効果
白目拡大術、目頭切開、二重形成を組み合わせることで、それぞれの術式が単独で持つメリットを融合し、全く新しい目元の印象を生み出します。
- 立体感の向上:目尻から内側までの白目範囲が均一に広がり、その上に二重ラインが重なることで、奥行きと立体感が際立ちます。
- 内側にも大きく:リドレープ法により目頭側が自然に開き、内側にも白目の広がりが加わることで、目全体が一回り大きく見えるようになります。
- バランス調整:二重ラインで縦の開きを補完することで、横幅の拡張が違和感なく映え、目全体のバランスが整います。
- 動きと表情の自然さ:白目拡大術はまぶたの皮膚を切らず可動域を保ち、リドレープ法でも傷を最小限に抑えつつ、自然なまばたきと表情を維持します。
このように、目フルは“縦×横×内側”の調和を追求し、一度に複数の要素をデザインすることで、“目だけが浮いた”不自然さを解消し、周囲から見ても自然な大きな目元を実現します。
実際の症例:目フル(白目拡大術+埋没二重+目頭切開)術後3ヶ月




単なる二重整形や目頭・目尻切開といった個別の手術では得られない変化を求めて、目元全体を立体的にとらえ、複数の施術を組み合わせてデザインするのが「目フル」の特徴です。
今回の症例では、以下3つの施術を組み合わせ、目の構造そのものを再設計することで、目の横幅・縦幅・立体感を総合的に改善しました。
施術内容
- 島田式 白目拡大術
(目尻切開+目尻靱帯移動+結膜切開グラマラスライン+下眼瞼脱脂+涙袋形成) - 目頭切開(リドレープ法)
- 二重形成(埋没法)
術前の状態
- 目の横幅が狭く、白目の見える範囲に物足りなさがあった
- 蒙古ヒダの張りにより、目頭側の開きが弱く、内側が閉塞ぎみ
- 二重ラインがなく、まぶたの被さりで黒目の露出も少ない
- 縦方向の開きも控えめで、全体的に小さく眠たげな印象
設計のポイント
横幅の自然な拡張
目尻切開・目尻靱帯移動・結膜切開グラマラスラインの3手技を組み合わせることで、目尻側の白目の露出が広がり、横方向の自然な拡張が可能に。
まぶたの形状や眼球の構造に合わせて靱帯を適切な位置に再固定することで、不自然さなく白目の見える範囲を広げることができ、目全体をバランスよく大きく見せる効果があります。さらに涙袋形成を加えることで立体感と柔らかさも生まれました。
目頭側の開きの強化
リドレープ法で蒙古ヒダを整えることで、目頭側の皮膚のかぶさりが解消され、内側にも白目の見える範囲が広がりました。
その結果、目頭から目尻までしっかり開いた“大きな目”としての印象が強まり、顔全体が明るく柔らかい雰囲気に変化しました。
縦の開きと黒目の見え方を補う
埋没二重を形成することで、黒目上部の皮膚被さりを軽減。
縦方向の開きが強調され、目力がありながらも自然な印象に。
術後3ヶ月の変化
- 目の横幅・縦幅がともに自然に広がり、全体として「目が大きくなった」印象に
- 白目の見える範囲が増したことで目の輪郭が際立ち、ぱっちりとした目元に
- 涙袋が自然に形成され、目元に立体感と柔らかさが加わった
- ナチュラルな埋没二重により黒目の露出が増え、縦方向の開きが強調されたことで目力がアップ
- 目頭側の開きも加わったことで、目全体のサイズ感がより大きく見えるように
今回のように、「白目拡大術」「目頭切開」「二重形成」を複合的に組み合わせて設計することで、目の構造に沿った自然で立体的な大きな目元が実現できます。
単にパーツを変えるだけではなく、「目そのものをどう見せたいか?」という印象設計にこだわることで、可愛さ・品の良さ・目力のバランスを細やかに調整できるのが「目フル」の強みです。
よくある誤解とQ&A
Q1:目フルは派手な印象になりすぎませんか?
A:
目フルは、「目をただ大きくする」だけでなく、全体の印象設計を重視した施術です。
華やかさと自然さのバランスを保ちつつ、ご希望の雰囲気に応じてナチュラル寄りにも調整可能です。
術前のカウンセリングでしっかりと仕上がりをシミュレーションしながらご提案しますので、ご安心ください。
Q2:白目拡大術をすると、タレ目になってしまうのでは?
A:
タレ目の度合いは、目尻靱帯移動の固定位置やグラマラスライン(結膜切開)の角度によって細かく調整できます。
下方向に靱帯を再固定すればタレ目寄りに、水平〜やや上方向にすればタレ目感を抑えて自然な横方向の拡張が可能です。
つまり、「タレ目にするかどうか」は設計次第。
必要に応じて軽くタレ目の印象を加えることも、タレ目にせず自然に目の横幅だけを広げることも可能です。
Q3:目頭切開や白目拡大術は傷が残りますか?
A:
目頭切開には皮膚を切開する術式が多く、「傷が残るのでは」と不安に思われる方も少なくありません。
私は、傷がほとんど目立たないのが特徴のリドレープ法という術式を採用しております。また、白目拡大術はすべて結膜側(まぶたの裏側)からのアプローチのため、皮膚に傷が残ることはありません。
Q4:ダウンタイムはどれくらいですか?
A:
腫れのピークは術後3〜5日程度で、1週間ほどで大きな腫れは改善します。
結膜浮腫や軽度の内出血は出る場合がありますが、1〜2週間以内に落ち着くケースがほとんどです。
白目拡大術は抜糸不要で、比較的ダウンタイムの少ない施術です。
ダウンタイム・経過・注意点
目フルの施術後は、おおむね以下のような経過をたどります。個人差はありますが、ご参考ください。
術直後〜3日
- 結膜浮腫が見られることがあります。
- 目元を強くこすらず、冷却と安静を心がけましょう。
4日〜1週間
- 腫れのピークを過ぎ、徐々に落ち着いていきます。
- 約1週間で大部分の腫れが引き、自然な状態に近づきます。
1〜2週間
- 結膜下出血や内出血がある場合も、この期間でほぼ解消します。
- 白目拡大術(結膜アプローチ)は抜糸不要で、当日からメイクも可能ですが、目頭切開部のアイメイクは控え、洗顔はやさしく行ってください。
- 目頭切開は1週間で抜糸です。抜糸後はメイクも可能です。
1ヶ月
- 腫れやむくみが改善し、二重ライン・白目の拡がりが安定します。
3ヶ月
- 最終的な仕上がりが定着します。
- 外眼角の位置や目頭の開き、二重ラインなどが完成形に近づく時期です。
まとめ|“構造から整える”からこそ叶う、本質的な目元アップデート
“目フル”は、目の縦・横・内側という三方向すべてに同時にアプローチし、
単一の手術では決して得られない、立体的でバランスの取れた目元を実現する施術です。
具体的には
- 白目拡大術で、目尻側の白目を自然に広げて横幅を拡張
- リドレープ法による目頭切開で、内側にも拡張
- 埋没法による二重形成で、縦方向の開きと黒目の露出を整える
これらを個別ではなく“一つの設計思想のもとに統合”することで、目元全体の印象が根本から刷新されます。
従来のように「どこか1ヶ所だけ」を変えるアプローチでは限界がありました。
しかし目フルでは、「どこを、どの角度で、どれくらい動かすか」を、
骨格・筋肉・皮膚の構造に合わせて立体的に設計することが可能です。
また、皮膚を切らない結膜アプローチや、傷が残りにくいリドレープ法を採用することで、
傷跡を最小限に抑えながら、自然な表情の動きや可動域にも配慮したデザインができます。
「目を大きくしたい」だけでなく、
“自分に合った目元”を自然に整えたいという方にこそ、目フルは適しています。
派手すぎず、でも印象はしっかりと変わる。
構造に基づいた設計だからこそ、可愛さ・上品さ・表情との調和も大切にできます。
目元の印象に悩んでいる方、複数の悩みが絡み合っている方は、
まずは一度、カウンセリングでお話をお聞かせください。

