今回は、多くの方からご相談をいただく「人中短縮」について詳しく解説します。
僕のもとには、人中の長さが気になる方や、よりバランスの取れた口元を目指したい方からのご相談が非常に多いです。人中短縮にはさまざまな方法があり、
切開を伴う人中短縮術
傷が残らない切らない人中短縮
立体的な仕上がりを実現する3D人中短縮
など、患者様の状態やご希望に合わせた施術を行っています。
しかし、「どの方法が自分に合っているのか?」「それぞれのメリット・デメリットは?」「どのような人が適応・不適応なのか?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
人中短縮は、単に鼻の下を短くするだけでなく、顔全体のバランスや仕上がりの自然さも重要になります。適切な施術を選ぶことで、より理想的な口元を手に入れることが可能です。
この投稿では、人中短縮の各施術方法の違い、メリット・デメリット、適応・不適応について徹底解説します。ご自身に最適な施術を見つけるための参考にしていただければ幸いです。
人中短縮手術の種類
切る人中短縮手術の特徴とメリット・デメリット

鼻の下(鼻柱の付け根部分)を切開し、余分な皮膚を取り除いて引き上げて縫合する方法です(外側人中短縮といって唇に沿って切開し短縮する方法もあります)。
▶メリット
✔人中と一緒にたるんだ皮膚も切除できる
✔上唇の形を整えることも可能
▶デメリット
⚠傷跡が目立ちやすい
切らない人中短縮手術の特徴とメリット・デメリット

口腔内(上唇の裏側)を切開し、軟部組織(筋肉や脂肪)を処理し、引き上げて縫合固定することで、人中を短くします。
切らない人中短縮をいっても注入施術と異なり外科的に組織を切除するため、一時的なものではなく半永久的な効果があります。
皮膚は切っていないのでもちろん見える傷はありません(※細かく言うと口の中には傷はありますが、皮膚表面には傷がないのが特徴です)。内部処理だけでも人中を最大20~30%短縮することが可能です。
▶メリット
✔皮膚表面に傷跡が残らない
✔口周りの組織も一緒に処理するのでCカールリップが作れる
▶デメリット
⚠皮膚のたるみがある場合は適応外
⚠口周りは神経なども多くマイクロサージャリー(顕微鏡手術)を使った繊細な技術が必要。施術できる医師が少ない。
3D人中短縮手術の特徴とメリット・デメリット

3D人中短縮とは、口腔内(上唇の裏側)を切開し、上口唇の組織を処理することで、立体的で自然な仕上がりを目指す整形手術です。人中短縮手術は、単に鼻の下の皮膚を切除して短縮する方法ですが、3D人中短縮では「前後・上下・左右」のバランスを考慮し、よりナチュラルな立体感を出すのが特徴です。切らない人中短縮と組み合わせて行うことがほとんどです。
僕は、口元の美しさを決める「立体感」を特に重要視しています。ただ単に人中を短くするだけでは、理想的な口元にはなりません。人中の長さだけでなく、鼻唇角の角度、Cカールの自然な丸み、口元の突出具合など、顔全体のバランスを細かく考慮することが必要です。
人中短縮を行う際、鼻の下が短くなっても、鼻唇角が適切な角度でなかったり、Cカールが不自然であったりすると、仕上がりに違和感が生じることがあります。また、口元の立体感が不足していると、真正面からは違和感がなくても、横から見たときに平坦な印象になってしまい、思い描いていた理想の口元と異なる結果になることもあります。
この人中の立体感についてはこちらで詳しく説明しています。
▶メリット
✔皮膚表面に傷跡が残らない
✔人中が短くなるだけでなく、立体感ができ横から見てもかわいい口元になる
▶デメリット
⚠口周りは神経なども多くマイクロサージャリー(顕微鏡手術)を使った繊細な技術が必要。施術できる医師が少ない。
手術の適応と不適応
切る人中短縮術
▶適応
・30代後半以上の方で、皮膚のたるみがあり人中がしっかり長い方
・鼻が下向きの人(切開した傷が隠れやすい)
▶不適応
・若くて皮膚のたるみもない方
若い方はどれだけ丁寧に縫合しても傷跡が目立ちやすい傾向があります。実際に、形成外科の教科書には「鼻の下は切ってはいけない」と記載されているほど、傷が残りやすい部位とされています。それぐらい傷跡が残りやすい部位なのです。
切らない人中短縮
▶適応
・人中を短くしたいが、傷を絶対につけたくないという方
・皮膚切開が適応になりにくい若い方
・上唇が分厚い(組織量が多い)方
▶不適応
・上唇の組織が少なすぎる方
皮膚が薄い方は、皮膚と粘膜の間に十分な組織がないため、切除できる部分が少なく、大きな変化を出しにくいです。また、歯茎や歯が出ていて唇が前に突き出ている場合は、人中短縮を行っても、十分な効果を得られにくいです(歯茎や歯を下げる別の手術が必要)。
3D人中短縮
▶適応
・人中が平坦でのぺっとしている方
・口元に立体感の欲しい方
▶不適応
・上唇の組織が少なすぎる方
皮膚が薄い方は、皮膚と粘膜の間に十分な組織がないため、切除できる部分が少なく、大きな変化を出しにくいです。
ダウンタイムの長さ
切る人中短縮術
大きな腫れは1~2週間、完全に腫れが引くのは数カ月です。また皮膚を切開するため、鼻の下に傷ができます。そのため、傷の赤みが目立つ時期があります。2週間から数か月にわたって症状が続くこともあります。個人差はあるのですが、1ヵ月から2ヶ月、場合によっては半年程度、赤みが続くと考えておくとよいでしょう。ただ抜糸(1週間後)が終わればメイクもOKなので、お化粧で隠すことは可能です。
切らない人中短縮
大きな腫れは1~2週間、完全に腫れが引くのは数カ月です。あとは神経を跨いだ組織を処理するため一時的にしびれが出る場合があります。
3D人中短縮
大きな腫れは1~2週間、完全に腫れが引くのは数カ月です。あとは神経を跨いだ組織を処理するため一時的にしびれが出る場合があります。
後戻りの可能性
切る人中短縮術
皮膚を切り取れば切り取るほど後戻りしやすい
唇は口を閉じる機能があるため、人中を短くしすぎると無理に閉じようとする力が働き、傷が引っ張られて目立ちやすくなります。切除量が多いほど傷口への負担が増し、傷が広がるリスクも高くなります。
切らない人中短縮
内部の組織をしっかり処理するのでほぼありません。
3D人中短縮
内部の組織をしっかり処理するのでほぼありません。
当院で行っている「切らない人中短縮」について
「切らない人中短縮」と検索すると、多くの場合、唇にボトックスやヒアルロン酸を注入し、唇を厚くすることで相対的に人中を短く見せる方法が紹介されています。また、上唇の裏側を切開し、糸で引き上げる手術を行うクリニックもあります。しかし、僕が実践している「切らない人中短縮」の方法は、他にはほとんど例がなく、僕独自の技術だと思っています。
この手術では、マイクロサージャリー(拡大鏡)を用いて施術を行います。神経や血管が複雑に絡み合う部位であるため、それらを正確に識別し、適切に処理する高度な技術が求められます。
しかし、この機器を正確に扱うには、形成外科での長年のトレーニングが不可欠です。特に、マイクロ手術に必要な顕微鏡を使用した経験がなければ、微細な血管や神経の構造をしっかりと確認しながら施術を進めることは難しくなります。拡大鏡を用いた細かい観察ができなければ、組織を適切に処理できず、施術の精度にも影響を及ぼす可能性があります。
また、組織の違いを精密に見極める能力も不可欠です。例えば、0.1ミリ単位の微細な構造を正確に識別し、それぞれの層を適切に処理する高度な判断力が求められます。こうした基礎技術がなければ、安全かつ確実に施術を行うことは困難です。
僕は長年の経験と研鑽を重ね、この「切らない人中短縮」の方法を生み出しました。従来の方法では対応できなかったケースにも対応できるよう、細部にまでこだわり、より自然で美しい仕上がりを追求しています。そして、僕が行う「切らない人中短縮」の方法は、現時点では僕だけが提供している独自の技術だと考えています。
実際の症例
症例①人中短縮(皮膚切開)


術式:人中短縮(皮膚切開)
他院で人中短縮術を受けたが術後に人中が平坦化したとのことでした。上口唇の形態改善とさらに人中を短くしたいと希望し来院されました。
人中長は18mmで、4mm皮膚切除しました。皮下脂肪と口輪筋も一部切除し厚みを調節、さらに口輪筋や粘膜下層も引き上げて処理することで、横からみた時にのぺっと平らな感じの上唇が、丸みのある綺麗なCカールとなりました。正面から見た際の人中も短縮されています。
症例②傷のつかない人中短縮

術式:人中短縮(皮膚を切らない)3D人中短縮、猫手術
人中の厚みを立体的に整え、猫手術でACRを整えとCカールの上端を創りました。鼻や人中は各パーツの美しさはもちろんですが、なによりお顔全体・特に中顔面のバランスが重要です。
症例③3D人中短縮

術式:人中短縮(皮膚を切らない)3D人中短縮
皮膚切開なしの、裏側からの人中短縮の症例です。内部組織を処理することで、人中の長さ、厚み、Cカールを全て調整しています。のっぺりと平坦だった人中がきゅっと短くかわいくなりましたね。唇の裏側の切開なので、お顔の表面に傷は残りません。
まとめ
今日は、人中短縮について大まかにご説明しました。人中短縮は、単に鼻の下を短くするだけではなく、顔全体のバランスを考慮しながら行うことが重要です。施術方法によって仕上がりの印象やリスクが異なるため、自分に合った方法を選ぶことが理想的な結果を得る鍵となります。
「切る人中短縮」は、皮膚にたるみがある方に適しており、余分な皮膚を除去することでスッキリとした印象を与えます。しかし、傷跡が目立ちやすいため、若い方にはあまり推奨されません。
「切らない人中短縮」は、皮膚を切開せずに上唇の裏側からアプローチする方法で、外から見える傷跡が残らないのが大きな特徴です。一般的に切らない人中短縮とされているボトックスやヒアルロン酸による方法とは異なり、内部の組織をしっかり処理するため、半永久的な効果が期待できます。ただし、施術には高度な技術が求められ、対応できる医師が限られます。
「3D人中短縮」は、立体感を重視した施術で、横顔や口元の形も考慮しながらデザインする方法です。人中を短くするだけでなく、Cカールリップを形成したり、よりナチュラルで美しい口元を作ることが可能です。
それぞれの施術にはメリット・デメリットがあり、適応・不適応も異なります。そのため、施術を検討される際は、自分の口元の状態や希望する仕上がりを考慮し、リスクやダウンタイムについてもしっかり理解することが大切です。
当院では、人中短縮の症例も多く、患者様一人ひとりに合わせた施術を提供しています。カウンセリングを通じて、どの方法が最適かを詳しくご提案させていただきます。
「人中の長さが気になる」「自然な仕上がりで短縮したい」「傷跡を残したくない」などのご希望がある方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたにとって最適な方法をご提案し、理想の口元へと導きます。
▶今回このブログで書いたことを、形成外科雑誌PEPARS「顔面の美容外科Basic & Advance<増大号>」で詳しく執筆しています。
施術ページはこちら
今回の症例の治療内容について【症例1】
施術内容:鼻柱基部軟骨移植、鼻中隔延長、軟骨移植
施術費用:\1,350,000※これ以外に、検査費用・麻酔費用等がかかることがあります。
リスク:術後の痛み、腫れ ・内出血 ・鼻の穴の引きつれ ・鼻尖の違和感 ・鼻閉感(鼻が通りにくい感じ) ・感染(化膿) ・血種 ・創部離開 ・糸が露出する ・鼻尖の曲がり、変形 ・鼻柱が分厚くなる ・鼻柱が凸凹する ・延長した鼻が長すぎる・鼻尖が高すぎる ・延長した鼻が短すぎる・鼻尖が低すぎる ・傷跡の盛り上がり・凹み・色素沈着
【症例2】
施術内容:人中短縮(皮膚を切らない)Cカール形成
施術費用:傷の見えない人中短縮 ¥449,000、人中厚み調整3D(オプション) +¥220,000
リスク:術後は腫れや内出血、違和感を伴います。感染や出血、キズ、感覚異常、後戻り、ガミースマイル、鼻翼の広がり術前の説明との相違等の可能性があります。
【症例3】
施術内容:人中短縮(皮膚を切らない)Cカール形成
施術費用:傷の見えない人中短縮 ¥449,000、人中厚み調整3D(オプション) +¥220,000
※これ以外に、検査費用・麻酔費用等がかかることがあります。
リスク:術後は腫れや内出血、違和感を伴います。感染や出血、キズ、感覚異常、後戻り、ガミースマイル、鼻翼の広がり術前の説明との相違等の可能性があります。