この記事は 前之園 健太 医師(美容外科医・整形外科専門医) が監修しています。
クマ取り手術で本当に若返れるのか?
「クマ取りをすれば若々しい目元になれる」と思っている方は多いでしょう。
実際、目の下のふくらみを改善するだけで、顔の印象は大きく変わります。
しかし、従来のクマ取り手術には意外な“落とし穴”があります。
それは―― 涙袋が一緒に消えてしまう可能性がある ということです。
涙袋は笑ったときに目元を柔らかく見せる、とても大切な要素です。これがなくなると、
- 「若返りたいと思って手術をしたのに、かえって老けて見える」
- 「クマは取れたのに、笑ったときの可愛らしさがなくなった」
と感じるケースが少なくありません。
では、どうすればクマを改善しながら涙袋を自然に残すことができるのでしょうか?
その答えのひとつが 裏ハムラ法 です。
クマ取り手術とは?
クマの原因は大きく2つ
目の下のクマにはいくつかの種類がありますが、美容外科で対象となるのは主に 黒クマ(影クマ)です。
この黒クマの正体は、
- 余分な眼窩脂肪による膨らみ
- 皮膚と骨をつなぐ靱帯による凹み
この2つの組み合わせで生じる凹凸です。
つまり、膨らみと凹みが並ぶことで影が強調され、疲れた印象になってしまうのです。
脱脂術とは?
一般的に「クマ取り手術」と呼ばれるものは、このうち 膨らみの原因=眼窩脂肪を取り除く方法 です。
これを医学的には 脱脂術(だっしじゅつ) と言います。

手順はシンプルで、
- 下まぶたの裏(結膜側)に小さな切開を入れる
- 余分な脂肪を取り除く
- 膨らみが減り、クマが改善する
という流れになります。
脱脂術のメリット
- 下まぶたの裏から行うため、皮膚に傷跡が残らない
- シンプルな手術でダウンタイムも比較的短い
- 脂肪を取ることで膨らみが軽減し、クマが改善する
脱脂術の落とし穴
しかし、脱脂術は「膨らみ」だけにアプローチするため、靱帯による凹みはそのまま残ってしまうのが欠点です。
さらに脂肪を取りすぎると、涙袋を支えるふくらみまで一緒に削いでしまい、
- 涙袋がなくなる
- 目の下がフラットになりすぎて不自然
- むしろ老けた印象になる
といったリスクがあります。
なぜ脱脂術で涙袋が消えてしまうのか?
涙袋の正体とは?
涙袋は「ヒアルロン酸で作るもの」と思われがちですが、実はもともと誰にでもある構造です。
下まぶたの 眼輪筋(がんりんきん) が、笑ったときにふくらむことで涙袋として見えています。
つまり、涙袋は「筋肉による自然な膨らみ」なのです。
涙袋と眼窩脂肪の位置関係

- 涙袋:眼輪筋による“上のふくらみ”
- クマの原因:そのすぐ下にある眼窩脂肪の“ふくらみ”
この2つはとても近い場所にあり、わずかなボリュームの違いで印象が変わります。
脱脂術で起こること
従来の脱脂術では、膨らみの原因となる眼窩脂肪を「切除」します。
問題は、このとき 脂肪を取りすぎると涙袋まで平らに見えてしまう ことです。
たとえば…
- クマは改善したのに「涙袋がなくなって若々しさが消えた」
- 目の下がフラットになりすぎて「笑っても表情が硬い印象になった」
- むしろ「老けて見える」と感じてしまう
こうしたケースは少なくありません。
なぜそうなるのか?
涙袋の形は、眼窩脂肪の“わずかな押し出し”によっても支えられています。
脂肪をすべて取り去ってしまうと、涙袋を形づくるふくらみの下地まで失ってしまうのです。
よくある誤解
- 「クマ取りをしたら必ず涙袋がなくなる」→ ❌ 間違い
- 「涙袋はヒアルロン酸で作ればいいから問題ない」→ ❌ 単純ではない
実際には、術式の選び方 と 脂肪の扱い方 が涙袋の仕上がりに直結します。
涙袋を残す“裏ハムラ法”とは?
従来のクマ取りとの違い
従来の脱脂術は「余分な脂肪を切除する」ことが中心でした。
一方、裏ハムラ法は “脂肪を取る”のではなく、“移動させる” という考え方が基本です。
これにより、クマの原因を改善しながら涙袋を自然に残すことが可能になります。
裏ハムラ法の手術手順

- 下まぶたの裏(結膜側)からアプローチする
- クマの原因となる余分な眼窩脂肪を丁寧に分離
- 皮膚と骨をつなぐ 靱帯を剥がしてスペースをつくる
- そのスペースに脂肪を“敷き込む”ように移動させて固定
- ふくらみと凹みが同時に改善される
涙袋が浮き立つ理由
涙袋の形は、眼輪筋のふくらみと、その直下にある組織の支えによって成り立っています。
裏ハムラ法では、
- 脂肪を完全に取り去らないため支えが残る
- 脂肪を下方へ移動することで、涙袋とクマの境界がなだらかになる
- その結果、自前の涙袋が隠れず“プリッと浮き出る”
という仕上がりになります。
裏ハムラ法の大きな特徴
- 凹みを埋めるためのヒアルロン酸や脂肪注入が不要
- 自家組織だけで完結するため、異物反応や吸収リスクがない
- クマ改善+涙袋強調のダブル効果が期待できる
仕上がりのイメージ
- クマが消えるだけでなく、涙袋が強調され若々しい目元に
- 笑顔がより自然で柔らかい印象になる
- チークの位置が高く見え、顔全体の立体感もアップ
実際の症例で見る裏ハムラ法の効果




こちらの患者様は、目の下のクマと膨らみが気になって来院されました。
術前はクマの影に隠れて、もともとあるはずの涙袋が目立たない状態でした。
裏ハムラ法を行った結果、
- 膨らみが改善
- 凹みが埋まる
ことで、隠れていた自前の涙袋が“プリッ”と浮き出てきました。
これが、いわゆる 「涙袋をつくるクマ取り」 です。
実際には新しく作るのではなく、クマを治すことで本来の涙袋が際立つという仕組みになります。
裏ハムラ法では、余分な眼窩脂肪を取るのではなく、
- 凹みを作る靱帯を処理し
- そこに脂肪を移動させて敷き込む
という“一工夫”を加えるのがポイント。
ヒアルロン酸や脂肪注入をせずに済むため、自家組織だけで自然に仕上がる安心感もメリットです。
結果として、クマの改善と同時に涙袋の輪郭がはっきりし、頬の位置も高く見えるようになり、若々しく健康的な印象に変わりました。
涙袋を守りながらクマを改善するには?
クマ取り手術と一口に言っても、方法によって仕上がりは大きく異なります。
従来の脱脂術では「クマは改善するけれど涙袋まで消えてしまう」という落とし穴がありました。
一方、裏ハムラ法では
- 膨らみと凹みの両方にアプローチできる
- 自家組織だけで完結する安心感がある
- クマがなくなると同時に涙袋が“プリッ”と浮き出て、若々しい目元になる
というメリットがあります。
「クマを取りたいけれど、涙袋はなくしたくない」
「むしろ涙袋を自然に強調したい」
そんな方にとって、裏ハムラ法は有力な選択肢のひとつです。
私は、患者さま一人ひとりの目元の状態を丁寧に診察し、
“クマを改善しながら自然な涙袋を残す” ための最適な方法をご提案しています。
気になる症例や仕上がりについては、ぜひお気軽にご相談ください。