授乳後の“えぐれ”や“そげ感”に悩む方へ|脂肪注入でふっくらバストに

授乳が終わったあと、鏡を見て「バストの上の方がそげている気がする…」と感じたことはありませんか?
バストの下垂やボリュームダウンもよくある悩みですが、実は「デコルテの痩せ感」や「上部のそげ感」は、それ以上に見た目の印象を左右するポイントです。

特にデコルテは洋服を着たときに最も見える部分のひとつで、痩せていると年齢よりも老けて見られたり、華やかさが損なわれてしまうこともあります。
実際、バスト全体の形や大きさよりも「上胸のハリ感がほしい」という相談が増えており、そうした患者様の声に応える治療が求められています。

この記事では、授乳後に「そげたように見えるバスト上部(デコルテ)」をどう回復するか、特に脂肪注入による自然な改善方法について、形成外科専門医の視点から詳しく解説します。


目次

なぜ授乳後に“そげたようなデコルテ”になるのか?

授乳後のバストの変化にはいくつかの特徴があります。患者さんの多くが訴えるのは、「垂れた」というより「上が痩せて貧相に見える」といった印象です。

  • 乳腺の委縮
    授乳期に発達した乳腺は、授乳終了とともに委縮して元のサイズより小さくなることがあり、その結果バスト上部のボリュームが減少します。これは特にデコルテに現れやすく、そげたような外見になります。
  • 皮膚の伸展とたるみ
    妊娠・授乳中に皮膚が伸び、授乳後に中身がしぼむことで皮膚が余り、ハリを失います。ハリが失われると「張っていたはずの上胸」が落ち込んだように見えるのです。
  • デコルテの脂肪が減りやすい
    体重は戻ってもデコルテの脂肪が戻らないという方も多く、加齢やホルモン変化によって特に痩せやすい部位とされています。

これらが組み合わさることで、バストの上部が“そげて”見える状態になります。洋服を着たときのフィット感が悪くなったり、鎖骨との間が痩せて見えることで老けた印象を持たれることもあります。


脂肪注入で“そげた”デコルテはどう変わる?

脂肪注入は、そげたデコルテに立体感とハリを与えることができる、非常に有効な方法です。自然でやわらかく、本人の体の一部としてなじむため、違和感のない「若々しさ」を取り戻すことができます。

なぜ脂肪注入が向いているのか

  • 自然な質感が得られる
    バッグのような異物感がなく、自分の脂肪を使うため、触ったときの違和感がほとんどありません。横になったときも自然に流れるなど、日常生活でも自然な動きになります。
  • 少量からの調整が可能
    そげた部分だけにピンポイントで注入できるため、デザイン性が高く、立体的な修正が可能です。左右差や非対称にも対応できます。
  • 下垂のある胸にも適応しやすい
    デコルテにハリが出ることで、相対的に下垂も目立ちにくくなります。バスト全体が持ち上がったように見える視覚効果も期待できます。

どこに注入する?皮膚・乳腺・筋膜の層別設計

脂肪注入の成功のカギは、「どこに・どれだけ・どのように注入するか」という点にあります。皮膚の厚みや乳腺の発達状態、筋肉の走行などは人によって異なります。

注入の3つの層

  1. 皮下層(皮膚のすぐ下)
    輪郭を整える目的で使用します。ただし浅すぎると凹凸やしこりの原因になるため、極めて慎重な注入が求められます。
  2. 乳腺下層
    バストのハリを出すために主に使用される層です。自然な丸みと張り感を作るのに適しています。
  3. 筋膜下・筋肉内
    土台としての安定感を出しつつ、痩せ型の方でも定着しやすい層です。深部に入れることで長期的な形状保持が期待できます。

注入は「マルチレイヤー・マルチポイント方式」で、層を分けて細かく・少量ずつ行うのが基本です。これにより定着率が上がり、しこりや脂肪壊死のリスクも軽減できます。


痩せ型・授乳後・皮膚が薄い人に脂肪注入は可能?

「痩せているから脂肪が取れないのでは?」「皮膚が薄くなっていて不自然にならないか不安」といったご相談はよくあります。しかし、多くの痩せ型の方も脂肪注入豊胸を成功させています。

採取部位の工夫

  • お腹・太もも・腰など、比較的しっかりした脂肪がある部位から丁寧に採取
  • 複数部位から少しずつ採取することで、ボディラインを崩さず、仕上がりも美しく整えやすい

定着率アップの工夫

  • 脂肪を遠心分離して不純物を取り除く「コンデンスリッチ法」などを用いる
  • 注入層を的確に選び、密度を調整しながら注入することで、過剰注入や壊死を防止

痩せ型の方こそ、脂肪の「配置」が重要になります。必要な部位に必要な分だけ丁寧に注入することで、過不足のない美しい仕上がりになります。


実際の症例紹介

ここでは、授乳後にデコルテの凹みが気になってご来院された患者様の症例をご紹介します。

症例:30代後半、授乳後のバスト上部のボリュームダウン

妊娠・授乳を経て、上胸のボリュームダウンに悩まれていた30代後半の患者様。
特に「デコルテがそげて見えることによって、下着のフィット感が悪くなった」とお悩みで、ナチュラルな仕上がりをご希望されていました。

診察の結果、全体的なバストの下垂は軽度で、主に上部の痩せ感が強いタイプであったため、ご自身の脂肪を活用した「コンデンスリッチ脂肪注入豊胸」をご提案。

  • 脂肪採取部位:太もも内側および腰部
  • 脂肪処理法:コンデンスリッチ法(遠心分離による濃縮・不純物除去)
  • 注入層:乳腺下・筋膜下を中心にマルチレイヤー注入
  • 注入量:片側 約80〜90cc(濃縮後)

注入では、デコルテから胸上部にかけてのライン形成を重視しながら、全体のボリュームと丸みを整えました。

術後3ヶ月時点では、自然なふくらみと立ち上がりが生まれ、授乳後にそげていた印象が大きく改善。
ブラジャーを着用したときのシルエットにも変化が現れ、上半身全体のバランスが整い、華やかさが戻った印象です。

脂肪注入のメリットは、ご自身の脂肪を使うため異物反応のリスクが少ないこと、そして体型に合わせた繊細なデザインが可能な点です。
インプラントに抵抗のある方や、“自然な変化”を求める方にとって非常に適した方法と言えるでしょう。


脂肪注入のダウンタイム・リスクについて

ダウンタイムの目安

  • 内出血・腫れ:注入部は1〜2週間程度、採取部位はやや長引くことがあります。
  • 筋肉痛のような痛み:注入部の深さや量によって個人差あり。3〜5日程度で軽快。
  • 圧迫下着の着用:脂肪採取部位には専用の圧迫ガーメントを1〜2週間着用。
  • シャワー・入浴:シャワーは翌日から可。入浴・運動は1週間以降が推奨。

起こりうるリスクと対応

  • しこり・石灰化:不適切な層への注入、大量注入で発生することも。定期検診やエコーで早期対応可能。
  • 定着率の差:体質・生活習慣により吸収量が異なるため、1回で足りない場合は半年〜1年後に再注入可。
  • 感染・左右差:まれに感染や左右差のリスクがあるが、正確なデザインと経験でリスクは最小限。

まとめ|“そげたバスト”も自然に回復できる時代

授乳や加齢でバストがしぼんだ、デコルテがそげてしまった……そんなお悩みを抱える方は少なくありません。鏡を見るたびに「前と違う」と感じたり、以前似合っていた洋服がなんとなくフィットしない、という声もよく伺います。

しかし、脂肪注入なら「自然に、でも確実に」その悩みを改善できます。

  • 自分の脂肪でふっくらと整えることができる
  • バッグにはない、やわらかさと動きのある仕上がり
  • 採取と注入の両方で体型バランスを整える副次的メリットも

私はこれまで、形成外科専門医として多数の乳房再建手術に携わってきました。 乳がん術後の再建では、見た目の美しさだけでなく、機能性や安全性の両立が求められます。 そうした繊細で高度な手術経験は、美容医療においても大きな意味を持っています。

美容豊胸においても、ただサイズを大きくするだけではなく、「その方の体型・骨格・皮膚の質・生活背景まで含めて、最も自然で美しいバストをつくる」ことを重視しています。

そして私自身、3児の母でもあり、妊娠・出産・授乳を経験している女性医師として、同じように悩みを抱える方々の気持ちにも深く共感できます。 「女性だからこそわかる悩み」「女性同士だから話せること」に丁寧に寄り添いながら、診療・治療を行っています。

脂肪注入豊胸は、医師の解剖学的な知識と、丁寧なデザイン力が問われる治療です。 単に脂肪を入れるだけでなく、どの層に・どのように注入するかによって仕上がりが大きく変わるため、繊細な判断と経験が必要とされます。

バストの悩みはデリケートで、なかなか人に相談しづらいものです。 だからこそ、専門知識と経験を持った医師に安心して話せる環境で、一緒に理想のバストを考えていけたらと思います。 気になる方は、まずはカウンセリングでお気軽にご相談ください。

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