「鼻だけ整えたのに、思ったように印象が変わらなかった」
「人中を短くしたら、逆に口元が目立つようになった」
そんなご相談をよく受けます。
その原因は、パーツ単位の整形にあります。
顔は、骨格・筋肉・皮膚・脂肪が一体となって支え合う構造体です。
どこか一か所を変えれば、他の部位との関係性も必ず変わる。
つまり、鼻・人中・口角・顎などの全体の設計図を読み直さなければ、本当の調和は生まれません。
僕が行っているのは、“顔を変える”手術ではなく、“顔を設計し直す”手術。
それが、中顔面を中心に顔全体を再設計する複合手術という考え方です。
中顔面は「顔全体の設計図の中心」
中顔面とは、目の下から上唇までの範囲。
鼻・人中・頬・上顎骨を含むこのエリアは、顔全体の「重心」を決める最も重要な部分です。
この中顔面がわずかに沈むと、
- 鼻が短く見える
- 人中が長く見える
- 口元が前に出て見える
というように、印象が大きく変わります。
逆に、中顔面を起点に立体構造を整えることで、
鼻・人中・顎・口角すべての位置関係が自然に調和します。
整形というと“足す・削る”というイメージが強いですが、
本質は「再構築」です。
どの部位をどう動かすかではなく、顔の重心をどこに置くかが美しさを決めます。
前田式フェイスデザイン──構造を読む整形
僕が提唱している「前田式フェイスデザイン」は、
パーツを単独で整えるのではなく、構造全体の“流れ”を読む整形です。
横顔では、鼻先から顎先までが滑らかに連続する骨格ラインを描くように。
正面では、中顔面から頬、口元へ自然な立体感がつながるように。
そして、笑ったときにも形が崩れず、動きと構造が調和する表情を目指します。
そのためには、骨格の位置だけでなく、
筋肉の走行・皮膚の張力・脂肪の密度まで考慮してデザインします。
複合手術というと「いろいろやる」印象がありますが、
実際にはその逆で、必要最小限の操作で最大の調和を生むための設計です。
僕は手術前の設計段階で、「どこを変えないか」も明確にします。
“すべてを変える”のではなく、“整うために必要な最小限だけを変える”こと。
それが、構造を理解した形成外科医のアプローチです。
実際の症例──中顔面を軸に全体を再設計
今回ご紹介するのは、中顔面を中心に全体を再構築した症例です。
単にパーツを並べるのではなく、顔全体のラインと重心の流れを設計し直しました。







【施術内容】
- 鼻フル(肋軟骨)
- 隆鼻術(肋軟骨)
- 鼻翼縮小(内+外)
- 貴族手術(肋軟骨)
- Vライン+顎形成
- 埋没(裏留め)
- 目頭切開
- 裏ハムラ
- 口角挙上
- 脂肪吸引(頬)
【経過】
鼻・目・輪郭:7ヶ月
口角挙上+頬脂肪吸引:5ヶ月
【担当医】
鼻・輪郭:前田翔
目まわり:島田幸一
口角・頬:木下恵里沙
結果として、中顔面の密度と立体感が大きく変化。
正面では鼻から頬への自然な陰影が生まれ、
横顔では鼻先〜唇〜顎先のラインが滑らかに繋がりました。
顎をわずかに前上方へシフトさせることで、
中顔面の位置が引き上がり、全体が上方向にまとまった印象に。
どこか一部を誇張することなく、自然で上品な印象に仕上がりました。
まとめ
中顔面を整える際に大切なのは、形を作ることではなく、構造を正すことです。
見た目の変化だけを追うのではなく、骨格や軟部組織の支点を整え、
力のかかり方を正常化させることで、鼻や口元、顎先のラインは自然と整い、動きも安定していきます。
美容外科では「どこを足すか」「削るか」に注目が集まりがちですが、
実際に仕上がりを左右するのは“支えの位置”です。
支点が正しく保たれていれば、余計な操作をしなくても全体のバランスは取れます。
僕が複合手術で重視しているのは、
骨格・筋肉・表情の“流れ”を読み取り、パーツ単位ではなく構造全体で調和をつくることです。
形成外科専門医として培ってきた顔面再建の知識と経験が、その設計を支えています。
気になる方は、ぜひ一度カウンセリングでご相談ください。
一人ひとりの骨格や構造を丁寧に拝見し、最適なデザインをご提案いたします。





