まぶたのたるみ、目の重さ、二重のラインが隠れてしまうといった悩みは、年齢とともに深刻化します。こうした悩みを解決する強力な手段が「眉下リフト(眉毛下切除術)」です。
眉下リフトは、単にたるんだ皮膚を切り取る手術だと誤解されがちですが、当院では「皮膚のたるみ」と「内部組織の分厚さ」という2つの根本原因を同時に解決する手術として位置づけています。単に皮膚を切除するだけでは、まぶたの重さや分厚さが残ってしまい、期待したような軽さやスッキリ感は得られません。
本コラムでは、まぶたが重くなる解剖学的な原因を深く掘り下げ、眉下リフトにおいてなぜ皮膚以外の組織の切除が不可欠なのか、そして当院が実践する緻密なアプローチについて、一般の方にも分かりやすく解説します。
まぶたの「重さ」の正体:皮膚の下に潜む4つの組織
まぶたの重さや分厚さは、皮膚のたるみだけでなく、その下にある組織の過剰な発達や厚みによって引き起こされます。医師は手術中、以下の4つの組織(眼輪筋、皮下脂肪、ROOF、眼窩脂肪)の状態を正確に見極め、適切な量だけを切除する必要があります。
1. 眼輪筋:まぶたを閉じる筋肉
- 役割と影響: 眼輪筋はまぶたを取り囲むドーナツ状の筋肉で、主に目を閉じる役割を担っています。この筋肉が厚く発達していると、まぶたのハリはありますが、同時に分厚さや重さの原因となります。
- 切除の意義: 眼輪筋の一部を切除することで、まぶたの重さを物理的に取り除き、目の開けやすさに貢献します。
2. 皮下脂肪:皮膚直下のクッション
- 役割と影響: 皮膚のすぐ下にある浅い層の脂肪です。ここが過剰に発達していると、皮膚全体が厚く見えてしまいます。
- 切除の意義: 眉下リフトで皮膚を切除する際、この皮下脂肪も同時に除去することで、まぶた全体の厚みを抑えることができます。
3. ROOF:眉毛の土台となる脂肪層
- 役割と影響: ROOF (Roof of Orbit Fat) は、眉骨(眼窩)の縁の下に存在する、線維性の強い脂肪層です。特に目尻側で分厚くなりがちで、これが重さやたるみを助長します。
- 切除の意義: このROOFを切除することが、眉下リフトで最大の軽さとスッキリ感を出すための鍵となります。皮膚切除だけでは解決できない根深い厚みにアプローチできます。
4. 眼窩脂肪:深部の脂肪
- 役割と影響: 眼球を保護するように奥深くにある脂肪です。通常、二重の全切開や眼瞼下垂手術でアプローチされますが、眉下リフトの際にも、残存している場合は適度に切除対象となることがあります。
このように、眉下リフトの効果を最大化するためには、皮膚切除と同時に、これらの組織から余分な厚みを取り除く「脱脂・筋切除」が不可欠となります。
【実際の変化】症例から読み解く眉下リフトの効果と適応判断
実際に当院で眉下リフトを受けられた患者様の症例を通じて、切除アプローチによる劇的な変化を具体的にご紹介します。
眉下リフトの大事なポイント:皮膚切除とROOF切除の解剖学的理解

まぶたの重さの原因を視覚的に理解できる解剖図です。
上の図は、たるんだ皮膚の切除範囲を示しています。その下にある分厚さの原因こそが重要です。まぶたのたるみの裏には、線維性の強いROOFという脂肪層が存在します。皮膚を切るだけでなく、このROOFも切除することで、まぶたの重さは根本から解消されるのです。
術前と術後3ヶ月の変化:劇的な「軽さ」と「スッキリ感」

- まぶた全体の軽さとスッキリ感の獲得: 術前は重さがありましたが、術後3ヶ月で目尻のたるみが解消され、皮膚切除だけでは実現しにくい根本的なスッキリ感が出ています。これは、余分な皮膚に加え、分厚いROOFや眼輪筋が適切に切除された確かな証拠です。
- 二重ラインの明確化と整頓: 重かったまぶたが持ち上がったことで、隠れていた元の二重ラインが明確になり、より美しい形に整っています。目元全体が明るく、若々しい印象に変化しました。
- 傷跡の経過: 眉毛の下の境界に沿って丁寧に縫合された傷跡は、術後3ヶ月が経過し、ほとんど目立たない状態になっています。これは眉下リフトの大きなメリットの一つです。
眉下リフトが内部の組織の厚みにまでアプローチすることで、まぶたの「重さ」と「たるみ」を同時に解消し、目の印象を劇的に改善することができました。
まとめ
以下の項目に当てはまる場合は、皮膚だけでなく内部の組織の厚みが原因となっている可能性があり、眉下リフトの適応となる可能性が高いです。
- ✔︎ 分厚いまぶたで、常に重たいと感じている。
- ✔︎ 目尻側に垂れ下がるたるみが特に気になる。
- ✔︎ 眉毛を持ち上げないと目があきにくい(おでこの筋肉を使って目を開ける癖がある)。
- ✔︎ 以前、二重全切開や眼瞼下垂手術を受けたのに、まだ瞼が重いと感じている。
まぶたの重さやたるみの原因は患者様一人ひとり異なります。適切な切除範囲を見極め、皮膚のたるみと内部の組織の厚みの両方にアプローチすることが、最も効果的な眉下リフトを成功させる鍵です。
一度、お気軽にご相談くださいね。カウンセリングで、ご自身のまぶたの構造と、最適な改善策を見つけていきましょう。





