脂肪注入豊胸は乳がん検診に影響する?専門医が徹底解説

目次

脂肪注入豊胸の基礎知識

脂肪注入豊胸の仕組みと特徴

脂肪注入豊胸は、自身の脂肪をバストに移植する豊胸手術の一種です。お腹や太ももなどの脂肪を吸引し、遠心分離や特殊な処理を施した後、バストに注入します。シリコンインプラントと異なり、自然な仕上がりになりやすく、異物を体内に入れないため拒絶反応のリスクが低い点が特徴です。

また、脂肪注入の種類には、通常の「ピュアグラフト法」や「コンデンスリッチファット(CRF)法」などがあり、定着率を向上させる技術が発展しています。


他の豊胸手術(シリコン・ヒアルロン酸)との違い

脂肪注入豊胸は、シリコンやヒアルロン酸注入と比べて以下のような違いがあります。

施術方法メリットデメリット
脂肪注入・自然な感触と見た目
・異物を使わないので安全性が高い
・定着率に個人差あり
・脂肪が部分的に吸収されることがある
シリコンインプラント・ボリュームアップが確実
・形をしっかりデザインできる
・異物挿入によるリスク(カプセル拘縮など)
・定期的なメンテナンスが必要
ヒアルロン酸注入・手軽に行える
・ダウンタイムが少ない
・吸収されるため持続期間が短い
・繰り返し注入が必要

このように、脂肪注入はナチュラルさを重視する方には向いていますが、希望するバストサイズによっては他の方法が適している場合もあります。


脂肪注入後のバスト内で起こる変化(生着・石灰化など)

脂肪注入後のバストでは、以下のような変化が起こります。

  • 脂肪の生着
    注入された脂肪のうち、約50〜70%が生着するとされます。生着した脂肪はバストの一部として機能し、通常の脂肪組織と同じように扱われます。
  • 吸収・壊死する脂肪
    生着しなかった脂肪は吸収されるか、壊死してしこりになる可能性があります。特に大量の脂肪を一度に注入すると、酸素や栄養が行き渡らず壊死のリスクが高まります。
  • 石灰化の発生
    一部の脂肪は、時間の経過とともに「石灰化」と呼ばれるカルシウム沈着を起こすことがあります。これはX線検査(マンモグラフィ)で白い影として映るため、乳がんの腫瘍と間違われることがあります。

脂肪注入後のしこりは乳がんと区別できる?

脂肪注入後にできるしこりには、以下のような種類があります。

  1. 脂肪壊死によるしこり
    • 触ると硬く、一定の大きさで変化しにくい
    • 乳房の深い部分よりも、皮膚の近くにできやすい
  2. 石灰化によるしこり
    • X線(マンモグラフィ)で白い影として映る
    • 大きさや形によっては乳がんとの判別が難しい
  3. 乳がんによるしこり(可能性あり)
    • 硬く、動きにくい
    • 増大することがある

このように、脂肪注入によるしこりは、乳がんとは異なる特徴を持ちます。しかし、自己判断は難しいため、専門の乳腺科医に定期検診を受けることが重要です。

脂肪注入豊胸が乳がん検診に与える影響

マンモグラフィでの見え方と誤診リスク

マンモグラフィでは、脂肪注入による石灰化が乳がんの石灰化と区別しづらいことがあります。そのため、医師には脂肪注入豊胸を受けたことを事前に伝えることが大切です。

エコー(超音波検査)での検出精度

超音波検査では、脂肪注入後のしこりや乳腺の異常を比較的正確に見つけることができます。マンモグラフィで判断が難しい場合は、超音波検査を併用すると誤診リスクを減らせます。

MRIは必要?脂肪注入後の適切な検査方法

MRIは、乳房内の脂肪や腫瘍の状態をより詳細に確認できるため、脂肪注入後の検診に適しています。ただし、費用が高く、造影剤を使う場合もあるため、医師と相談して選びましょう。

石灰化と乳がんの違いを専門医がどう判断するか

  • 乳がんの石灰化:不規則な形をしている
  • 脂肪注入後の石灰化:比較的均一で丸みを帯びている

これらの特徴をもとに、専門医が診断します。

脂肪注入豊胸後の乳がん検診の受け方

どのくらいの期間を空けて検診を受けるべきか?

脂肪注入豊胸後は、バスト内の状態が落ち着くまで時間がかかるため、検診のタイミングが重要です。

① 術後すぐ(1〜6ヶ月)

  • 施術後は脂肪の定着が進み、一時的なしこりや腫れが発生することがあります。
  • この時期に検診を受けると、脂肪壊死や炎症が乳がんのしこりと誤認される可能性があるため、検診は控えた方がよいとされています。

② 術後6ヶ月〜1年

  • 脂肪が安定し、不要な細胞は体内に吸収される時期。
  • しこりや石灰化が現れることがあるが、多くは自然な反応。
  • 初めての乳がん検診はこの時期以降に受けるのがベスト

③ 1年後以降の定期検診

  • 年1回の乳がん検診を継続することが重要
  • もし、しこりが気になる場合や違和感がある場合は、早めに乳腺専門医の診察を受ける。

💡 豊胸後の乳がん検診は、術後6ヶ月以降からスタートし、その後は年1回の定期検診を推奨します。


乳腺外科で事前に伝えるべきポイント

脂肪注入豊胸をしていることを乳腺外科医に伝えることで、適切な検査方法を選んでもらえます。

① 必ず伝えるべき情報

豊胸手術の種類(脂肪注入か、シリコンか)
手術を受けた時期(術後間もないと、誤診のリスクあり)
脂肪注入の範囲や量(広範囲に入れた場合、石灰化しやすい)
しこりや違和感の有無(脂肪壊死によるしこりか、他の原因かを判断)

事前にこの情報を伝えることで、マンモグラフィの圧迫の調整や、エコー・MRIを適切に組み合わせた診断が受けられます。


しこりや石灰化を発見した場合の対応

脂肪注入豊胸後の乳房には、しこりや石灰化ができることがありますが、ほとんどは良性です。

① しこりを感じた場合の対応

  • 自己判断はせず、乳腺専門医に相談することが大切。
  • 脂肪壊死によるしこりは、硬さや位置に特徴があるが、見分けが難しい。
  • エコーやMRIで詳細な診断を受けることで、不要な生検を避けることが可能。

② 石灰化が見つかった場合の対応

  • マンモグラフィで「悪性の可能性あり」と言われても、脂肪注入によるものか確認が必要。
  • 医師が過去の画像と比較することで、経過を見守るか、追加検査をするかを判断する。
  • 必要に応じて細胞診や生検を行うが、不必要な処置を防ぐため、乳腺専門医に診てもらうのがベスト。

脂肪注入豊胸に対応した乳腺専門クリニックの探し方

脂肪注入豊胸後の乳がん検診を受ける際は、豊胸手術経験のある患者に対応できる乳腺専門クリニックを選ぶことが重要です。

クリニック選びのポイント

乳腺専門医がいるか
 → 一般の内科や婦人科よりも、乳がん検診の専門医がいる施設がベスト。

マンモグラフィ、エコー、MRIが完備されているか
 → 施設によってはマンモグラフィのみの対応となり、誤診リスクが高くなることも。
 → 脂肪注入後の乳房に適したエコーやMRIを導入している施設を選ぶのが理想。

豊胸手術後の患者を受け入れているか
 → 事前に「脂肪注入豊胸を受けていますが、検診可能ですか?」と確認すると安心。

美容外科と連携があるか
 → 美容クリニックと連携している乳腺外科では、脂肪注入後の乳房を理解している医師がいる可能性が高い。


どこで探せる?

豊胸手術を受けた後は、乳がん検診やトラブルへの対応を考え、信頼できる乳腺専門医を見つけることが重要です。そのための方法として、まず手術を受けたクリニックに相談し、提携している乳腺専門医を紹介してもらうことが一つの選択肢になります。一部の美容外科では、乳腺専門医と連携した診療体制を整えており、適切な医療機関を案内してもらえることがあります。

また、乳腺専門外来のある総合病院や大学病院の乳腺センターを調べるのも有効な手段です。大学病院や大規模な医療機関には乳腺専門の外来が設置されていることが多く、豊胸手術後の診察経験を持つ医師が在籍している可能性が高いため、より安心して検査を受けることができます。

まとめ

今日は脂肪注入豊胸が乳がん検診に与える影響について解説しました。豊胸手術後も、適切な方法で乳がん検診を受けることで、健康をしっかり守ることができます。脂肪注入自体が乳がんリスクを高めるわけではありませんが、術後のしこりや石灰化が検診時に誤解を招く可能性があります。そのため、マンモグラフィだけでなく、エコーやMRIを併用し、乳腺専門医のもとで検査を受けることが重要です。

「豊胸していると検診が受けにくい」「術後のしこりが不安」と感じる方もいるかもしれませんが、適切な医療機関を選び、医師と相談しながら検査を受ければ、正しい診断を受けることができます。脂肪注入後の乳房の変化は長期にわたるため、一度の検診で終わりにせず、定期的なチェックを習慣にすることが大切です。

脂肪注入豊胸を選んだからこそ、自分の体により関心を持ち、定期的な検診を受けることが大切です。安心して乳がん検診を受けられる環境を整え、健やかに美しさを維持していきましょう。

このコラムが、脂肪注入豊胸後の乳がん検診についての理解を深め、安心して検査を受けるきっかけになれば幸いです。


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