鼻の他院修正は、通常の鼻整形よりも 技術的に難易度が高く、リスクも伴う手術です。なぜ2回目以降の手術は難しいと言われているのでしょうか?
今日は、鼻の他院修正が難しい理由について詳しく解説します。
他院修正とは
鼻整形の手術後、仕上がりに満足できない方のために修正術を行うことを他院修正といいます。
「形や高さが気に入らない」「太さや向きが変わらない」「プロテーゼの位置が不自然」「鼻が曲がってしまった」「鼻先が丸いまま」「赤みや腫れがある」「皮膚が薄くなってきた」
などのトラブルがある方の鼻を綺麗に整える手術です。
鼻の他院修正が難しい理由とその対処法
すでに組織がダメージを受けている
・過去の手術で皮膚・軟骨・骨が変形・損傷している場合が多い。
▶対処法
・剥離が粗雑だと、皮膚や軟部組織に過度な負担がかかり、癒着や変形のリスクが高まるため、慎重に剥離(組織を分ける作業)を行う。
・CTや診察で内部の状態を把握し、事前にリスクを予測する。
瘢痕組織(傷跡)が多く、操作が難しい
・過去の手術によって瘢痕(傷跡の組織)が形成され、組織が硬くなっていることが多い。
・本来の解剖学的構造が不明瞭になり、修正時に正常な組織と瘢痕の区別が難しくなる。
・瘢痕の影響で血流が悪くなり、皮膚が薄くなることもある。
▶対処法
・瘢痕組織を適切に除去し、再形成しやすい環境を整える。
・自家組織(耳介軟骨や肋軟骨)を活用し、再建を行う場合が多い。
皮膚や軟部組織が薄くなっている可能性
・過去の手術で過剰に削られた場合、皮膚が薄くなり、修正手術の負担に耐えられないことがある。
・プロテーゼや異物の長期使用による皮膚の菲薄化により皮膚が薄くなっている場合がある。
・皮膚の余裕がないと、新たに形を作るのが難しくなる。
▶対処法
・皮膚が薄い場合は、自家組織(筋膜など)を補填して強度を増すこともある。
血流障害のリスクが高い
・過去の手術で血流が悪くなっていると、再手術によって壊死のリスクが高まる。
・特に鼻中隔延長など大きな修正を伴う手術では、血流を確保することが重要。
▶対処法
・皮膚の血流を考慮しながら慎重に手術を進める。
どこをどのように修正すべきかの判断が難しい
・前回の手術でどのような処置が行われたか不明な場合が多い。
・修正手術では「何を残し、何を修正するか」の判断が極めて重要。
・鼻の機能(呼吸のしやすさ)も考慮しながら形を整えなければならない。
▶対処法
・手術前のCTや診察を徹底し、内部の状態を正確に把握する。
・段階的な修正を検討し、一度にすべてを変えすぎないようにする。
期待する仕上がりにならない可能性
・過去の手術の影響で、理想通りのデザインにするのが難しいことがある。
・修正手術の限界を理解しないと、さらに不満が残る結果になることも。
・何度も手術を繰り返すと、修正がどんどん難しくなる。
▶対処法
・事前にシミュレーションを行い、現実的なゴールを設定する。
・過度な修正を避け、自然な仕上がりを優先する。
他院修正の症例

【他院修正(オステオポール、シリコン、メッシュ除去)、鼻中隔延長、鼻柱鼻翼基部軟骨移植、隆鼻術、鼻尖形成、軟骨移植 全て(自家組織)肋軟骨:術後1年】
オステオポール、メッシュを使用してきて鼻が不自然な形になってしまっていました。異物を除去しすべて自家組織で鼻を再建しました。
リスク:感染、変形、後戻り、麻痺、瘢痕、曲がり、ひきつれ、イメージとの相違、左右差
費用:¥2,000,000 ※これ以外に、検査費用・麻酔費用等がかかることがあります。※モニター等で変動があります。

【他院修正(鼻中隔延長、斜鼻修正、猫貴族手術、プロテーゼ抜去、隆鼻術、鼻尖形成:術後1年】
鼻が曲がって息ができなくなってしまった修正です。鼻の穴から見てみると、鼻の中の鼻中隔に横たわった軟骨が見えています。太く大きい軟骨ですが支えの役目は果たしておらず倒れてしまっていました。この軟骨は瘢痕とともに丁寧に取り除き、肋軟骨で鼻中隔を再建しました。元の鼻中隔軟骨は溶けていたので、骨切の道具も併用して骨に軟骨を固定して土台から創りました。
リスク:感染、変形、後戻り、麻痺、瘢痕、曲がり、ひきつれ、イメージとの相違、左右差
費用:¥2,957,000 ※これ以外に、検査費用・麻酔費用等がかかることがあります。※モニター等で変動があります。

【他院修正(鼻骨骨切り, 鼻中隔延長・隆鼻・猫貴族手術(肋軟骨), プロテーゼ抜去:術後1ヵ月】
鼻筋は元々のプロテーゼで額とのメリハリがなくなっていました。プロテーゼを抜去し骨切りと鼻中隔延長でラインを出しました。韓国で鼻中隔延長時に鼻中隔軟骨が折られていた為肋軟骨で再建しています。同じく肋軟骨を使用して、梨状口縁と鼻背部に細片軟骨を移植しました。
リスク:感染、変形、後戻り、麻痺、瘢痕、曲がり、ひきつれ、イメージとの相違、左右差
費用:¥2,500,000 ※これ以外に、検査費用・麻酔費用等がかかることがあります。※モニター等で変動があります。

【鼻中隔延長(肋軟骨)、鼻尖形成、鼻柱下降、鼻翼・鼻柱基部細片軟骨移植(猫貴族手術)、鼻背細片軟骨移植:術後2週間】
1年前に他院で鼻中隔延長を行い高さは出たものの、垢抜けない印象を解消したいとのご相談でした。診察の結果、中顔面の凹みが原因と判明。鼻をさらに高くするだけでは解決しないため、猫貴族手術(鼻柱・鼻翼基部の持ち上げ)を実施。肋軟骨で鼻全体を前に出し、鼻唇角を整えてバランスを改善しました。また、左寄りのプロテーゼを抜去し、細片肋軟骨で鼻筋を再形成ました。
リスク:感染、変形、後戻り、麻痺、瘢痕、曲がり、ひきつれ、イメージとの相違、左右差
費用:¥1,700,000 ※これ以外に、検査費用・麻酔費用等がかかることがあります。※モニター等で変動があります。
まとめ
✓過去の手術で組織がダメージを受けているため、通常の鼻整形よりも難易度が高い。
✓瘢痕組織(傷跡)が多いと、解剖学的な構造が不明瞭になり、手術の精度が下がる。
✓皮膚が薄くなっている場合、再手術の負担に耐えられないこともある。
✓血流障害のリスクを考慮しながら、慎重に手術を進める必要がある。
✓理想の仕上がりを追求するには、限界を理解し、段階的な修正も視野に入れる。
他院修正は、通常の鼻整形よりも高度な技術と慎重な判断が求められる手術です。鼻の整形手術を受けたものの、仕上がりに満足できなかったり、形の違和感や機能面でのトラブルを抱えていたりする方は少なくありません。修正手術では、過去の手術による瘢痕(傷跡)や組織の変化を考慮しながら、安全かつ理想的な形状を目指すことが重要です。
特に、初回の施術で使用されたプロテーゼや軟骨の状態、皮膚の伸縮性などを見極めながら修正を行う必要があるため、より高度な技術が求められます。また、修正手術は通常の鼻整形よりも難易度が高く、一度の施術で完全な改善を目指すことが難しいケースもあるため、経験豊富な医師による慎重な診断と計画が不可欠です。
修正手術を成功させるには、カウンセリングを通じて希望をしっかり伝え、適切な治療方法を見極めることが大切です。当院では、他院修正の症例も多く対応しており、患者様一人ひとりの状態に合わせた最適な治療法をご提案しています。修正を検討されている方は、ぜひ一度ご相談ください。