鼻中隔延長とは
鼻中隔延長は鼻中隔に軟骨を移植・固定することで、鼻先、鼻柱を下方向に伸ばしたり、鼻先の高さを出す手術です。
鼻中隔延長は、もともと欧米人に多い、わし鼻の治療方法の一つとして垂れて下がった鼻先を上に向ける目的で開発されました。
欧米人に対して、アジア人は鼻中隔(鼻の穴を左右に分けている壁)が弱く小さい人が多いです。
鼻中隔が小さいとどうなる?
- 鼻先が低い(短い)状態
- 丸く潰れた鼻(団子鼻)の状態
- 上向きの鼻(アップノーズ)になり鼻の穴が見える状態
これを改善するのが鼻中隔延長です。
軟骨移植術や鼻尖形成と比べて、はっきりとした変化を出しやすく、後戻りも少ないというメリットがあります。
ただし鼻中隔延長のリスクとしてはこれらがあります。
【形態】
・鼻先が固くなる
・鼻先が曲がる
・不自然
・左右差
【ダウンタイム】
・腫れや内出血
・感染
・鼻詰まり
今回はその中でも嫌な「鼻先が曲がる」リスクについて詳しくご説明します。
鼻中隔延長で鼻が曲がる原因
赤い部分が鼻中隔軟骨です。
鼻中隔延長は、この赤い部分の鼻中隔軟骨に軟骨を移植・固定することで、鼻先、鼻柱を下方向に伸ばしたり、鼻先の高さを出す手術です。
ですので、この元々の土台(鼻中隔軟骨)が曲がった状態のまま、延長する手術を行うと、鼻が曲がって作られてしまうことになります。
鼻中隔延長で鼻が曲がる原因は下記があります。
①もともと曲がっている人=斜鼻
斜鼻はおおまかにふたつに分けられます。
・顕性斜鼻
見た目で鼻が曲がっていると分かる斜鼻
・不顕性斜鼻(隠れ斜鼻)
見た目でははっきりと分からないけど、検査してみると鼻の中の鼻中隔や骨格が曲がっている斜鼻
ややこしいのは後者の隠れ斜鼻の方です。
明らかな斜鼻があれば、術前に斜鼻の治療計画を立てて手術に臨みますが、外見上明らかな斜鼻がない場合、詳細な検査や診察なしに手術を開始し、術中に鼻中隔がめちゃくちゃ曲がっていた事が分かる、なんてことがあります。
その場合、しっかりと斜鼻修正手術を行ってから鼻中隔延長をしないと、鼻の曲がりを強調してしまうこととなります。
そのため現在は可能な限り、術前にCT検査と診察で斜鼻の有無を確認するべきと考えられています。
②無理な延長をしている
鼻中隔延長を行う場合、様々な条件で必要な軟骨の強度や量も変わります。
・組織の抵抗が大きい方、つまり皮膚が分厚かったり、鼻の手術歴があって瘢痕組織で固く癒着したり拘縮している方。
・もともとの鼻中隔軟骨が小さかったり、鼻が上向きで、希望の鼻の形を叶えるために必要な変化量が大きい方。
上記の場合は、より強固な延長素材が必要となります。
延長素材としては、
【耳軟骨<鼻中隔軟骨<肋軟骨】
の順に強固になります。
ただし鼻先はもともと柔軟な可動性のある部位です。鼻先の延長に硬い素材を使用するほど鼻先は固定されて動きにくくなり不自然にみえることがあります。
そして、硬ければ硬いほど、長さや高さをしっかり出すことが出来ますが、その分土台となる鼻中隔軟骨に負担がかかります。土台が負担に耐え切れず曲がってしまうと、当然ながら移植した軟骨も曲がってしまい、鼻が曲がった状態となってしまいます。
そのため、無理な延長をしないということが重要となります。
③移植軟骨が曲がってくる
移植した軟骨自体が長期的な経過で曲がってくる可能性があります。
様々な研究報告がありますが、軟骨の性質的には
【耳軟骨>肋軟骨>鼻中隔軟骨】
の順に曲がりやすいと考えられています。
先程の軟骨の強度と順番が変わる理由
鼻中隔軟骨は軟骨自体の性質は一番真っ直ぐで曲がりにくいです。ただ、使用できる量は少ないというデメリットがあります。
肋軟骨は量も豊富で硬いのですが、長期的に見ると、ワ-ピング現象と言って徐々に曲がってしまうことがあります。
耳介軟骨は、元々湾曲している、またとても柔らかい軟骨であるため、曲がりやすいです。そのため、軟骨の細工や固定の方法、角度や位置等、正確に移植する必要があります。
それぞれのメリット・デメリットを踏まえた上で、延長素材を選択することが重要となります。
まとめ
鼻中隔が弱く小さい人が多い、アジア人の鼻整形では、希望の鼻の形を得るために鼻中隔延長術が有用です。
鼻先の柔らかさを犠牲にしたり、将来曲がったり、軟骨の形状が透見するリスクと引き換えに、理想のお鼻の形を手に入れることが出来る手術です。
鼻の曲がりを避けるためには、
・斜鼻を発見し治療すること
・無理のない変化にとどめること
・延長素材はしっかりしたものを選択すること
これらをしっかり行うことで、「鼻が曲がってしまう」というリスクを下げることが出来ます。
ご希望のお鼻になるようにしっかりとカウンセリングさせていただきます。
お気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
前田 翔
美容外科・形成外科医
\カウンセリングは無料です。何でもお気軽にご相談ください/