「二重にしたのに、なんだか目が眠たそう」
「アイメイクが映えない」「写真を撮ると目が小さく写る」
「眉を上げるクセがある」「人に“疲れてる?”と聞かれる」──。
このようなお悩みで当院に相談に来られる方は、少なくありません。
そして、実際に診察してみると、ほとんどの方に共通しているのが、「まぶたの開きが弱い」ということです。しかもその多くは、すでに埋没法や切開法などの“二重整形”を経験済みの方。
「二重を作ったはずなのに、なぜ開かない?」
「二重幅はあるのに、なぜ目元がぼやけて見える?」
その答えは、”眼瞼下垂”にあるかもしれません。
今回は、実際の症例を交えながら、
美容外科の視点から「眼瞼下垂」の正体と対処法についてお話ししていきます。
“二重があるのに目が開きにくい”のはなぜ?
「目を大きく見せたい」「華やかな印象にしたい」といった思いから、多くの方が選ばれるのが二重整形、特に埋没法です。
実際、当院にも初めて整形を検討する方の多くが、「埋没でぱっちりさせたい」と相談に来られます。
ただし、美容医療の現場ではよく知られている事実があります。
それは、“二重ラインを作っただけでは、目がぱっちりするとは限らない”ということです。
二重の幅=目の大きさ、ではない
誤解されやすいのですが、「二重幅を広げれば目が大きく見える」というのは一部にすぎません。
確かに、もともと目が開いている方や、まぶたの皮膚が薄い方であれば、埋没法だけでも十分に“華やかさ”や“目力”が出ます。
しかし、まぶたの開きが弱い場合、話は別です。
いくらラインを作っても、まぶた自体が十分に持ち上がっていなければ、黒目が見えにくく、眠たそうな印象になってしまいます。
結果として、
- 二重なのに目が小さく見える
- 写真で目がぼやける
- メイクをしてもパッとしない
といった違和感が残り、何度も埋没をやり直す方もいらっしゃいます。

“目の印象”はどこで決まるのか?
印象的な目元というのは、単純な二重幅の問題ではなく、以下のような複合要素で決まります。
- 目の縦幅(黒目の露出量)
- まぶたの開き(挙筋の働き)
- まぶたの厚み、眼窩脂肪の状態
- 二重のラインの位置とバランス
- 眉毛との距離・筋肉の連動(表情)
この中で見落とされがちなのが、「まぶたを開ける力」です。
筋肉の働きが弱ければ、いくらラインを整えても“構造そのもの”が変わっていないため、目元の印象には限界があります。
眼瞼下垂とは?構造の問題と“見逃されやすいタイプ”の存在
美容整形において「目が開きにくい」「眠たそうに見える」といったお悩みの背景には、眼瞼下垂(がんけんかすい)という構造的な問題が関係していることがあります。
ここでは、眼瞼下垂の基本的な仕組みと、特に見た目では気づかれにくい“軽度の眼瞼下垂”について解説していきます。
眼瞼下垂とは?

眼瞼下垂とは、まぶたを引き上げる筋肉(眼瞼挙筋)や、それを支える腱膜が緩み、まぶたが十分に開かなくなる状態を指します。
主な原因には以下のようなものがあります。
- 先天性(生まれつき筋肉の働きが弱い)
- 加齢性(年齢とともに腱膜がゆるむ)
- 後天性(長年のコンタクト装用やアイプチ、多くの場合、整形の既往などによって生じる)
中でも美容医療でよく見られるのは、腱膜性眼瞼下垂という後天的なタイプです。
これは、眼瞼挙筋とまぶたの連結部である腱膜が伸びたり外れたりすることで、目を開く力がうまく伝わらず、まぶたの開きが悪くなる状態です。
見た目では気づかれにくい軽度の眼瞼下垂
眼瞼下垂と聞くと、「まぶたが大きく垂れ下がっている状態」を想像する方が多いかもしれません。
しかし実際には、見た目では目立たない“軽度の眼瞼下垂”が非常に多く存在しています。
特に次のようなケースでは、患者さま本人も眼瞼下垂に気づかず、「何となく目が小さく見える」「目元がぼんやりする」といった漠然とした違和感だけを感じていることがあります。
- 二重ラインはあるが、黒目の上にまぶたがかぶっている
- メイクが映えにくい
- 写真で目がぼやけて写る
- 眉を上げる癖がある
- 「眠そう」「疲れてる?」と言われやすい
このように、自覚されにくく、見た目でも気づかれにくい眼瞼下垂は非常に多いのが現実です。
軽度の眼瞼下垂がもたらす影響
このような軽度の眼瞼下垂は、放っておくと美容面だけでなく、機能面や身体の負担にもつながります。
たとえば、
- おでこの筋肉(前頭筋)で代償的にまぶたを引き上げるようになる
→ 額のシワが深くなる/眉が上がりやすい/表情が不自然になる - 夕方になると目が重くなる/目が疲れやすい
- 人相や第一印象に影響する
→ 実際には元気でも、「不機嫌そう」「やる気がなさそう」などと誤解されることも
つまり眼瞼下垂は、ただの“目が重い”問題ではなく、印象・疲労・表情・生活の快適さにも関わる重要な問題なのです。
埋没や切開をしていても、眼瞼下垂が残っていることがある
「私は二重手術をしたから関係ない」──そう思われる方も多いですが、実は過去に埋没法や切開法を受けた方でも、眼瞼下垂が残っている・改善されていないケースは多くあります。
具体的には、
- 二重ラインはあるけれど、黒目の露出が少ない
- 開きが弱いため、眠たそうな印象のまま
- 何度も再手術しているが、満足いく変化が得られない
- 二重の幅がどんどん広がって不自然に見える
このような場合、“デザインの問題”ではなく、“構造の問題”を疑う必要があります。
あなたの目元は大丈夫?眼瞼下垂セルフチェック
ここまでお読みいただいて、「もしかして自分にも当てはまるかも…」と感じた方もいるかもしれません。
眼瞼下垂は、重度でなければ“なんとなく目が小さく見える”程度の変化しかなく、自分ではなかなか気づきにくいのが特徴です。
そこでこの章では、ご自身で確認できるセルフチェックリストをご紹介します。
複数当てはまる方は、眼瞼下垂の傾向がある可能性があります。
眼瞼下垂セルフチェックリスト
次の項目に、いくつ当てはまりますか?
- 黒目の上にまぶたがかぶっている(黒目の露出が少ない)
- 写真を撮ると目がぼんやり写る/眠そうに見える
- 二重の幅はあるのに、目が開いている感じがしない
- 眉を無意識に上げている/額にシワができやすい
- 夕方になるとまぶたが重く、視界が狭く感じる
- アイシャドウがまぶたにうまく乗らない/メイクが決まらない
- 「疲れてる?」「不機嫌そう」と言われることがある
- アイプチや埋没を繰り返しても納得いかない仕上がりだった
該当数が多いほど「まぶたの開き」に問題があるかも
いかがでしょうか?
2〜3個以上当てはまる方は、まぶたの開きが弱くなっている可能性があります。
特に、黒目がまぶたにかぶっている・眉を上げるクセがある方は、明らかに“開瞼力の補助”を身体が無意識に行っているサインです。
それがまさに、眼瞼下垂が「自覚しにくいけれど、確実に存在している」状態なのです。
セルフチェックはあくまで目安。正確な診断には専門医の診察を
もちろん、このセルフチェックはあくまで目安に過ぎません。
まぶたの筋肉や腱膜の状態、左右差、骨格との関係などを総合的に判断するには、実際の診察と触診が必要です。
とくに、二重経験のある方や、加齢によるまぶたの変化を感じている方は、「ラインの再調整」だけでなく、「構造の見直し」が必要なケースも多く見られます。
症例紹介:整形感なく“目の開き”を改善したケース
ここでは、まぶたの開きの改善を目的に挙筋前転術を行った症例をご紹介します。
「派手に変えるのではなく、自然な印象を保ったまま、目の開きを整える」
そのような考えに基づいて施術を設計した一例です。




本症例では、二重のラインは既に形成されており、明らかな左右差やラインの崩れも見られない状態でした。
一方で、まぶたの開きがやや控えめで、黒目の露出が不足している印象がありました。
診察所見およびまぶたの構造を踏まえ、
整形感を出さずに目の印象を自然に整えることを目的として、挙筋前転術を選択しました。
今回は、二重ラインの変更は行わず、開瞼力の調整のみを行っています。
手術内容
- 施術名:挙筋前転術(皮膚切開アプローチ)
- 切開位置:既存の二重ラインに沿って切開
- 操作範囲:開瞼力を適切に調整し、ラインの安定性も高める設計
- 二重操作:幅の変更なし/不安定だった二重の食い込みを補強
術後の傷跡は、二重線上に収めることで目立ちにくく仕上げています。。
術後経過
術後1週間
- 腫れ・内出血は軽度あり
- 黒目の露出が増え、まぶたの開きが改善していることを確認
- 二重ラインはすでに安定傾向
術後1ヶ月
- 腫れが落ち着き、左右のバランスも良好
- もともと浅く不安定だった二重ラインが、自然な食い込みで安定
術後6ヶ月
- 開瞼は良好に維持
- 二重ラインもくっきりと定着し、整形感のない自然な目元に
このように、挙筋前転術は“まぶたの開き”そのものにアプローチする手術であり、
ラインをいじらずとも目元の印象を改善できる手段として有効です。
自然な印象のまま目の開きを整える|眼瞼下垂手術の選択肢とは
「目を大きくしたい」「印象を明るくしたい」
そういった希望を持つ方の中には、「整形したようには見せたくない」「あくまで自然な変化がいい」というナチュラル志向の方も多くいらっしゃいます。
ここでは、派手な変化ではなく、自然な開きの改善を目指す眼瞼下垂手術について、専門的な視点からご紹介します。
挙筋前転術とは?

眼瞼下垂の治療として一般的に行われるのが、挙筋前転術(きょきんぜんてんじゅつ)です。
この手術は、まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)の腱膜がゆるんでいる状態に対して、その付着位置を本来あるべき場所に前方へ引き直すことで、まぶたの開きを改善する構造的な手術です。
当院では、既存の二重ラインに沿って皮膚を切開するアプローチを採用しています。
切開線は二重のライン上に収めるため、術後の傷跡は目立ちません。
自然な“開き”を再設計する
眼瞼下垂手術というと「目がぱっちりしすぎて不自然になるのでは」と心配される方もいらっしゃいますが、実際には“やりすぎない設計”が可能です。
術中は左右のバランスや開き方を確認しながら調整を行うため、必要最小限の調整で、
「開きすぎない」「自然に印象を明るくする」設計が可能です。
ポイントは、ラインをいじらなくても、“構造”を整えることで印象が変わるということ。
「メイク映え」「写真映り」「表情の印象」などは、黒目の見え方ひとつで驚くほど変わります。
二重ラインを変えずに行えるのも利点
眼瞼下垂手術は、二重ラインを変更せずに行うことができるという点でも特徴的です。
今回ご紹介した症例のように、すでに二重ができている方でも、
- ラインが浅くて不安定だった
- 目の開きが弱く、黒目が隠れていた
といったケースでは、ラインを変えることなく“印象の改善”が可能です。
逆に、ラインそのものが不自然・広すぎる・左右差があるといった場合には、
眼瞼下垂手術と同時に二重の再設計を併用することもあります。
つまり、「ラインと開き」を個別に調整できるのが、この手術の柔軟性です。
どんな方に向いているか?
以下のような方には、眼瞼下垂手術が適している可能性があります:
- 二重はあるが目が開きにくい
- 黒目の見える量が少なく、眠たそうに見える
- 二重幅はあるのに印象がぼやけている
- 再手術ではなく「自然な印象アップ」を目指したい
- 写真写りやメイクの仕上がりを良くしたい
- 整形感は出したくないけれど、印象を変えたい
注意点
眼瞼下垂手術は、“開き”を改善するための構造的な手術であり、以下のような点には注意が必要です。
- 目の形そのもの(横幅や丸みなど)を変えるものではない
- 涙袋・タレ目などは別の施術が必要
- ダウンタイム(腫れ・内出血)は1〜2週間程度
- 個々の目の構造によって、術式の選択肢や効果に差がある
そのため、「何を変えたいのか?」「どこまで変化させたいのか?」を明確にすることがとても重要です。
必要に応じて、二重の修正・他の目元施術との併用を検討することもあります。
まとめ|“整形感なく目元の印象を整える”という選択
- 二重はあるのに開きが弱い
- メイクしても眠たそうに見える
- 眉に力が入りやすい
といった状態は、自分では気づきにくい“まぶたの筋力のゆるみ”が原因のこともあります。
眼瞼下垂の手術では、今回の症例ように、もともとのラインを活かしつつ、開きを調整することで
✔ 表情が柔らかくなる
✔ メイク映えする
✔ 疲れた印象が抜ける
といった変化を、“やった感なく”実現することが可能です。
気になる方は是非お気軽にカウンセリングにお越しください。

