未だお客さんから質問を多くいただくオステオポール。
検討している人もいれば入れてから悩んでいる人もいます。
最初は安全と言われて多くのクリニックに導入されましたがトラブルも多く使用の是非が議論されています。
今回はそんなオステオポールについて歴史や最新の状況をまとめたいと思います。
オステオポールの歴史
オステオポールはもともと韓国で多用されていました。それが日本に持ち込まれて、多くのクリニックで導入されました。
素材はPCL=ポリカプロラクトン
形状は様々で鼻先に入れるのはボール(球状)または半球状です。シート状や楕円形のものもあります。
PCLはFDA(アメリカ食品医薬品局:厚生労働省みたいなもの)に認可された素材でスレッドリフトにも使用されている吸収性の素材です。いずれ瘢痕組織に置き換わるので鼻に入れても安心安全と謳われました。
それ自体は間違っていませんが、糸として使用したり体内に入れて良いからといって鼻先に入れて良いということにはなりません。同じ素材でも使用する部位が違えば安全性や効果は変わります。
オステオポール以前に使用されていたのはシリコン等の非吸収性人工物です。こちらは美容医療の長い歴史の中で鼻先に入れると良くないことが分かってきていました。オステオポールはそれら非吸収性人工物に変わって鼻先に入れても良い(可能性がある)新しい素材として使用されたのです。
また鼻先への移植物の代表である軟骨は安全ですが体のどこかから採取する必要があります。
比べてオステオポールは軟骨採取の技術は不要、手術時間を短縮できる点から一部のクリニックとドクターに好まれました。
簡単・早い・安い・ダウンタイムが少ない・傷がつかない
これらの商業的に有利な広告で、オステオポールはどんどん広まり多くの方が施術を受けました。
オステオポールのリスク
このような流れでたくさんのオステオポールが使われることになりました。そしてしばらく経つとその中の一部の方が鼻先の変形や赤み、感染等に悩まされることになりました。
断っておきますがオステオポールを使用した人が全員トラブルをきたすということではありません。
もし入れた人がいても不安にはならないでください。
しかし一度トラブルを起こすと結構大変なことになるため修正手術を行うドクターから目の敵にされているのです。
鼻先はとてもデリケートな部位です。
皮膚の血流も比較的悪く、皮膚常在菌や嫌気性菌等の細菌、ウイルス、真菌にさらされています。また皮下の形状がはっきり見えやすい場所です。
そのような場所に異物が、しかも徐々に炎症を起こしながら溶けていくもの、と考えると…僕はやっぱり入れたくないなと思います。
なんせ僕ら形成外科は異物が大嫌い。鼻先の軟骨を移植するときも皮膚の吸収糸の結び目が当たらないように工夫します。オステオポールは糸の結び目とは比較にならないほど大きいのです。
実際のトラブル例
①鼻先の皮膚が薄くなってオステオポールが透けたり赤くなっている。
オステオポールは周囲組織に炎症と癒着を起こすため他の移植物よりも強い皮膚の菲薄化を招く印象です。浅い層に入れると顕著に現れます。
②感染したり、壊死している。
基本的に異物は軟骨等の自分の組織よりも感染しやすいです。また感染や血流障害で周囲組織が壊死することがあります。
③曲がる、浮き出る。
これは技術的な問題が原因です。固定ができていなかったり、そもそも移植物が大きすぎたり、様々な原因があります。土台となる鼻翼軟骨が変形していることも多くこちらはちゃんと鼻尖形成や鼻中隔延長等で土台を作っていないことがほとんどなので当たり前の結果です。
今後は実際にどんな状態になっているか症例写真も掲載していきたいと思います。
現在の状況
現在はオステオポールのリスクが認知されつつあり使用するクリニックは減ってきているように感じます。
まだ使用しているところは
①リスクは分かっている、または何も考えていない。利益のみ考えている。
②適応を見極め手術方法を改善することでリスクを小さくして使用方法を模索している。
の2つに大別されます。
前者は言うまでもなく避けたほうが無難です。
後者は興味があればカウンセリングをおすすめします。
僕ら形成外科医からすると、耳の裏を1cmほど切れば同じくらいの軟骨は採取できますし軟骨のほうが安全性が高いので正直オステオポールを使用するメリットはほぼないです。
今後もっと研究が進めば何らかの理由でどうしても軟骨等を使用できない人の選択肢となるのかもしれません。
まとめ
オステオポールは安易に使用するべきものではありません。
ただ絶対に使用してはいけないものでもないですし、必ず取り除かないといけないものでもありません。
不安を感じた場合は気軽に相談いただければと思います。
マエクリはオステオポールを使用しませんが除去術は行っております。
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