「豊胸には興味があるけど、男性の先生に胸を見られるのは抵抗がある」
「どうせなら、女性の先生に話を聞いてほしい」
「自分の気持ちや悩みを、ちゃんと分かってもらえる気がする」
このような声は、カウンセリングの現場でとてもよく聞かれます。
バストの悩みは、単に“形”や“サイズ”の話ではありません。
それは、「女性としての自信」や「人に言えないコンプレックス」と深く結びついていることが多いのです。
私自身、形成外科医として乳房再建に長く携わり、現在は美容医療の立場で豊胸を行っています。
だからこそ、女性医師として、そして医療者として、「本当に似合う胸とは何か」を医学的にも感情的にも丁寧に考えてご提案したいと考えています。
この記事では、以下のポイントを中心に、専門的な内容をわかりやすく解説していきます。
- なぜ「女医に相談したい」と思う人が増えているのか
- 形成外科専門医としての豊胸設計
- 脂肪注入・シリコン・ハイブリッドそれぞれの特性
- バレない自然な胸のつくり方
- トラブル時の対応力や修正について
- 「名医」と呼ばれる医師が持つ考え方とは
どうぞ最後までお読みいただき、ご自身の選択の参考にしていただければと思います。
女性医師が豊胸で選ばれる理由とは?
恥ずかしさを感じずに相談できる
バストは下着を外す部位でもあり、「カウンセリング=診察」であることから、どうしても羞恥心が伴います。
同性の医師なら、そうした心理的ハードルがぐっと下がるとよく言われます。
また、悩みの内容が「左右差」「乳首の位置」「授乳後の垂れ」など、非常にパーソナルで微細な内容なため、細かい感情までくみ取ってもらいやすい=女医が安心という構図が成り立ちます。
産後・加齢・ホルモン変化に寄り添った提案ができる
女性の胸は「一生同じ形」ではありません。
生理・妊娠・授乳・閉経などで、皮膚の厚み、脂肪のつき方、垂れ具合、ハリ感は変化します。
女性医師であれば、そうしたライフステージの変化を前提とした設計や提案ができるのも大きなポイントです。
形成外科専門医×乳房再建の経験から生まれる強み
私はもともと、乳がん術後の再建を行う形成外科医として、シリコンバッグや自家組織(腹部や大腿の皮膚・脂肪・筋肉)による乳房形成手術に長く携わってきました。
乳房再建では、単に“見た目”を整えるだけでなく、
- シンメトリー(左右対称性)
- 血流の確保(壊死を防ぐ)
- 感覚の温存や将来の再手術リスクの回避
など、美容+機能+安全性すべてを求められる非常に高度な外科分野です。
その中で培った「構造を見る目」「術後経過を見る視点」が、美容医療の豊胸にもそのまま応用されています。
特に以下のようなポイントは、美容外科のみの経験では得られない、形成外科出身ならではの強みだと感じています。
視点 | 形成外科の視点でできること |
---|---|
術後のトラブル予測 | 拘縮・石灰化・しこり形成を防ぐための層選び・注入技術 |
解剖理解 | 大胸筋の動き・血管の走行・皮膚の栄養血流を考慮したデザイン |
将来的な変化 | 妊娠・授乳後の変化を想定した“変わっても美しい胸”の設計 |
「似合う胸」とは何か?──ただ大きければいいわけじゃない
「Cカップになりたい」「谷間が欲しい」「上胸にボリュームが欲しい」
豊胸を希望される方の理想はさまざまです。
でも、本当に大切なのは“数字”ではなく、「全体バランスとして似合っているか」です。
似合う胸の条件は、体型と骨格で決まる
例えば、身長が低く骨格も華奢な方に大きなインプラントを入れると、
- バストだけが不自然に目立ってしまう
- 胸の下垂や皮膚の伸びによる負担が将来的に生じやすい
という問題が起こることも。
逆に、肩幅や骨盤がしっかりしている方の場合は、“小さすぎる胸”がアンバランスに見えることもあります。
見た目だけでなく“動き”も大切
胸は立っているとき・寝ているとき・歩いているときで見え方が変わります。
だからこそ、静的な形(=静止画のような美しさ)だけでなく、動いたときの自然さも非常に大切です。
そのためには、どの層に入れるか、何ccまで入れるか、脂肪の硬さや皮膚の厚みに応じた設計が不可欠です。
豊胸手術の選択肢|脂肪注入・シリコンバッグ・ハイブリッド
豊胸にはいくつかの術式がありますが、どれが最適かは患者様の体型・皮膚の厚み・理想とする胸の形などによって変わってきます。
当院では、以下の3術式をベースに、オーダーメイドで術式を選択しています。
脂肪注入豊胸

自分の脂肪を採取し、濃縮・精製したうえで注入する方法です。
形成外科での再建経験があると、以下の点でより精度の高いアプローチが可能になります:
- 注入層を多層に分けて打ち分けることで定着率を最大化
- 皮膚の伸展性や皮下脂肪の厚さに応じて細かく調整
- 吸引部位(太もも・腹部・腰など)のデザインにもこだわることで、ボディライン全体を美しく補正
よくある誤解:
「痩せてると脂肪注入できないのでは?」
→必ずしもそうではありません。
体幹・太もも・二の腕など、吸引設計を丁寧に行うことで、痩せ型の方でも十分注入できるケースは多くあります。
シリコンバッグ豊胸(乳腺下・筋膜下・大胸筋下)

一定のボリュームを確実に出したい方や、脂肪量が少ない方に適した術式です。
形成外科ではインプラント再建を多く経験しているため、被膜拘縮のリスク回避においても以下のような工夫をしています。
- バッグのサイズだけでなく、プロジェクション(高さ)・幅を計算して不自然さを防ぐ
- 挿入層(筋膜下 vs 大胸筋下)を、筋肉の走行や皮膚厚に合わせて選定
- 感染予防の観点から、術中のバッグ接触時間を極限まで短縮+無菌操作徹底
医学的ポイント:
拘縮リスクはバッグそのものよりも、術中の微細な出血・不適切な空間設計・摩擦が大きな要因です。
この「見えない部分の設計」が、数年後のバストの質感にまで関わってきます。
ハイブリッド豊胸(シリコン+脂肪注入)

ボリューム感と柔らかさ、どちらも譲れないという方にはハイブリッド法が適しています。
具体的には、
- 内部にバッグを入れて土台を作り
- 表面に脂肪を注入して質感・なだらかさ・谷間ラインを調整
という二層構造的なアプローチを取ります。
こんな方におすすめ:
- 「バッグの形が浮きそうで不安…でもしっかりサイズアップしたい」
- 「授乳後の上胸の凹みを自然に埋めたい」
- 「片側だけボリューム差が大きい」→脂肪で左右差を微調整
【症例紹介】“ナチュラルなのに谷間ができる”ハイブリッド豊胸の一例




術式:ハイブリッド豊胸(Motiva Ergonomix2+コンデンスリッチ脂肪注入)
術後経過:1ヶ月時点
「ナチュラルな仕上がりで、谷間のある胸元にしたい」
そうご相談くださったのは、20代後半の女性。妊娠・授乳歴はあるものの、豊胸手術は今回が初めてでした。
この患者様には、シリコンバッグ(Motiva Ergonomix2 250cc)とコンデンスリッチ脂肪注入(約350ml)を組み合わせたハイブリッド豊胸を行いました。
- バッグの位置は乳腺下、アプローチは乳房下溝切開
- 体格や皮膚の張りに合わせて250ccを選択し、横幅・膨らみの位置との調和を重視
- バッグの周囲は、術後も自然に動けるようスペースを広めに確保
- 脂肪注入はデコルテ中心に立体感と柔らかさを演出するよう設計
術後1ヶ月の時点では、まだ軽度の腫れがあるものの、全体のバランスが非常によく、自然な谷間とふっくらしたデコルテが形成されました。
今回のように、「ただ大きくする」だけでなく、形・柔らかさ・肌とのなじみ・動きまでを含めて仕上げるのが、ハイブリッド豊胸の魅力です。
【症例紹介】妊娠・授乳後の“しわしわ胸”に立体感を取り戻す脂肪注入豊胸



術式:コンデンスリッチ脂肪注入豊胸(+乳輪乳頭縮小)
術後経過:1ヶ月時点
「妊娠・出産・授乳によって、バストがしわしわになってしまった」
このようなお悩みは、出産を経験された方の多くが抱えているものです。
こちらの患者様は、上胸のボリュームが抜けたことで、デコルテからバストへのつながりが段差のようになっていることを気にされていました。
この方には、脂肪注入によってボリュームを回復するだけでなく、曲線的で女性らしいラインを作ることを目的に、コンデンスリッチ法による注入を実施しました。
脂肪注入では、気になる部分にピンポイントで注入し、ボリュームを“調整しながら作る”ことが可能です。
- バッグ豊胸では難しい細やかなライン補正も可能
- 注入量・層・角度を工夫することで、段差や影のある部位を滑らかに調整
- 同時に脂肪吸引も行うため、ボディライン全体のバランス改善にもつながる
また今回は、術中に乳輪乳頭縮小術も同時に行いました。
症例写真の公開は控えておりますが、こうした“バスト全体の印象”を整える処置も、同日手術として対応可能です。
脂肪注入は「ただ入れる」だけでなく、形・質感・ラインまでもデザインできる豊胸術です。
バッグによる大幅なサイズアップには向かないこともありますが、
「ナチュラルさ」「しぼみや段差の補正」「授乳後のふっくら感の復元」には非常に適しています。
豊胸トラブルと修正手術|“名医”の条件は、手直しの力にあり
豊胸は「やって終わり」ではありません。
一定の確率で、術後に以下のような症状が出ることがあります:
- 脂肪注入後のしこり・石灰化・脂肪壊死
- バッグのズレ・破損・被膜拘縮
- バストの左右差・不自然な動き
- 皮膚の緊張による違和感や傷の盛り上がり
これらを適切に評価・修正するには、
- 解剖の深い理解(皮膚・筋・脂肪の層構造)
- 術前写真・触診・エコー等による多角的な分析
- “壊さず整える”技術と発想
が必要です。
私はこれまで、再建の現場で放射線照射後の硬い皮膚や拘縮で歪んだ胸を何度も手術してきました。
その経験が、美容外科における修正手術にも活かされています。
他院修正をご希望の方へ:
- どの術式か分からない
- 経過写真が残っていない
- 傷跡が残っていて怖い
→ こうしたケースも丁寧に診察し、無理のない範囲でリカバリー可能かどうかを一緒に考えていきます。
「女医だからできること」は、技術だけじゃない
「女性医師だからこそできること」
それは、
- 言葉にしづらい悩みに寄り添えること
- 自分も女性として“胸がどれだけ気持ちに影響するか”を知っていること
- 「バストを整える=人生が前向きになる」瞬間を、何度も見届けてきたこと
です。
私自身、3人の子どもを育てる母親でもあります。
妊娠・出産・授乳を経て、自分の体や胸がどう変わっていくのか、そしてその変化にどれだけ気持ちが揺れるのか、
それを実際に経験したひとりの女性として、豊胸を希望される方の気持ちには、より深く共感できると感じています。
術後のカウンセリングで、患者様からこんなふうに言われることがあります。
「胸元を気にせず洋服が選べるようになって、気持ちまで明るくなりました」
このように、見た目の変化が、気持ちや生活の前向きさにつながることも豊胸の大きな意義だと思っています。
まとめ
豊胸手術は、外見を変える手段であると同時に、その人の内面や人生に大きな変化をもたらす選択肢でもあります。
だからこそ、私は「ただ大きくする」のではなく、
「あなたにとって本当に似合う胸はどんな形か?」を一緒に考えることから始めます。
- 自然で、バレない
- 動きや感触までリアルに美しく
- 将来の妊娠・授乳も見据えた設計
- 悩みや不安を丁寧にくみ取るカウンセリング
これらすべてを大切にしながら、
“整形した”ではなく“自分らしくなった”と感じていただける結果を目指しています。
豊胸をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

