【医師解説】涙袋ヒアルロン酸の失敗例と対策|外科的形成で自然な仕上がりへ

「涙袋をふっくらさせたい」
「目元を可愛らしく見せたい」

こうしたご要望は、美容医療の現場では非常に多く、なかでもヒアルロン酸注入は気軽に試せる涙袋形成として広く知られています。

しかし一方で、「思っていたより不自然だった」「入れて後悔している」といった声も少なくありません。
私のもとにも、涙袋の修正を目的に来院される患者さまが、近年増加しています。

今回は、ヒアルロン酸による涙袋整形の失敗例とその原因、そしてより自然な仕上がりを目指せる“外科的涙袋形成”について、専門医の立場から解説いたします。


目次

ヒアルロン酸による涙袋整形のよくある失敗例

涙袋にヒアルロン酸を注入する施術は、一見すると簡単で手軽に見えるかもしれません。
しかし、目元という繊細なパーツだからこそ、ちょっとした量や位置のズレが「整形感」につながってしまうのです。

以下は、私がこれまで診察してきた中で、実際に多かったトラブルの一例です。

  • パンパンに腫れたような不自然な膨らみ
  • 笑ったときにボコボコと波打つような凹凸
  • 青白く透けてしまう(チンダル現象)
  • 左右差が気になる/位置がズレている
  • すぐに吸収されて元に戻ってしまう

涙袋は“ふくらませれば可愛くなる”わけではありません。
過剰な注入や構造を無視した施術では、むしろ違和感のある印象になってしまいます。


なぜヒアルロン酸では「ナチュラルな涙袋」が難しいのか?

涙袋は、単なる「膨らみ」ではなく、眼輪筋や皮膚の構造と光の影によって形成される、繊細な立体感です。

ヒアルロン酸注入は、あくまで“ふくらみ”を足す方法に過ぎず、

  • 筋肉との動きのバランスが取りにくい
  • 表情の変化に対応しにくい
  • 目元の皮膚が薄く、注入物が透けやすい

といった問題がつきまといます。

特に「笑ったときに涙袋だけが浮いてしまう」状態は、構造的な一体感が欠けているサインです。


“外科的涙袋形成”とは?──構造から作るナチュラルさ

こうした限界を補う方法として、私が提案しているのが外科的涙袋形成です。

この手術は、下まぶたの裏側(結膜側)からアプローチし、眼輪筋の位置を調整することで、筋肉の動きと一体化した自然な涙袋を形成する方法です。

手術の流れ

  • 下まぶたの裏側を小さく切開(表面に傷は残りません)
  • 眼輪筋を慎重に剥離し、前方へ移動
  • 靭帯とともに眼輪筋を縫縮し、自然なふくらみとカーブを形成
  • 微調整しながら固定し、吸収糸で縫合して終了します

眼輪筋そのものを移動・縫縮することで、表情に連動する涙袋の“構造”を作り出すのがこの術式の特徴です。
ヒアルロン酸のように吸収されることはなく、繰り返しの注入も不要です。


実際の症例紹介(術後6ヶ月)

外科的涙袋形成

ここで、私が担当した実際の症例をご紹介します。

この患者様は、もともと涙袋のくびれが少なく、ヒアルロン酸や脂肪注入では綺麗なラインを作るのが難しいタイプの方でした。
こうした骨格や筋肉の構造的な特徴がある場合、注入による形成ではどうしても不自然な膨らみや左右差が出やすく、ナチュラルな仕上がりが得られにくい傾向があります。

そのため今回は、初めから外科的涙袋形成と脂肪移植を組み合わせたアプローチをご提案しました。

手術は下まぶたの裏側(結膜側)からアプローチし、眼輪筋を適切な位置へ前方移動させて縫縮。
さらに微量の脂肪を配置することで、筋肉の動きと一体化した自然なふくらみを作り出しています。

術後6ヶ月の時点では、涙袋の立体感が定着し、優しく柔らかな目元へと変化しました。
注入による整形では再現が難しい、くっきりとした自然な涙袋ラインを実現しています。

ナチュラルな涙袋を手に入れたい方、注入に頼らず長持ちする方法をお探しの方には、構造的な外科的アプローチが有効です。


外科的涙袋形成は、こんな方におすすめです

  • ヒアルロン酸で不自然な涙袋になってしまった
  • 毎回の注入が面倒/左右差が改善しない
  • 表情と自然になじむ涙袋が欲しい
  • 若い頃の涙袋を再現したい

注入では得られない「構造からの形成」を希望される方にこそ、この施術は適しています。


ダウンタイムやリスクについて

外科的涙袋形成は、構造的にアプローチするぶん、注入施術よりもダウンタイムがやや長くなる傾向がありますが、術後の完成度や持続性を重視したい方には適した方法です。

  • 施術時間:約60分
  • シャワー・洗顔・メイク:当日より可能(洗顔はこすらず優しく)
  • ダウンタイム:個人差はありますが、1〜2週間程度
  • 効果の持続:半永久的(大幅な加齢変化がなければ再施術不要)

もちろん、美容外科手術である以上、一定のリスクや副作用は存在します。

主なリスク・副作用には以下が挙げられます:

  • 腫れ・内出血
  • 感染
  • 左右差があると感じる仕上がり
  • 異物感(目がゴロゴロする)
  • 効果が物足りないと感じる
  • 傷の開き
  • 白目や角膜の損傷
  • 極めてまれに眼球の火傷

ただし、経験豊富な医師が解剖構造を正確に把握した上で適切に施術を行えば、安全性と完成度の高い結果は十分に両立可能です。


最後に:涙袋は“構造美”で決まる

涙袋は、顔の印象を大きく左右するパーツのひとつです。
だからこそ、「とりあえず膨らませる」だけの施術ではなく、構造や表情とのバランスまで考慮した設計が求められます。

ヒアルロン酸による注入は手軽な反面、
「不自然になった」「笑うと違和感がある」「すぐに吸収されてしまった」
といった悩みを抱える方も少なくありません。

外科的涙袋形成は、こうした限界を超え、自然な立体感と持続性を両立させるための根本的なアプローチです。

注入ではうまくいかなかった方も、
これから初めて涙袋形成を検討される方も、
自分に合った方法を知ることで、後悔のない選択ができます。

ナチュラルな涙袋を目指したい方は、ぜひ一度、カウンセリングにお越しください。
あなたにとって最適な方法を、一緒に見つけていきましょう。

この記事をシェアする
目次
閉じる