「埋没法をしたのに、目頭側だけ狭くなってしまった」 「何度も埋没が取れてしまうのはなぜ？」 「目頭切開は不自然になりそうで怖い…」
二重整形を検討する中で、このような疑問や不安を抱えている方は少なくありません。特に、「目頭切開」に対しては、「目が寄ってしまう」「傷跡が目立つ」「派手になりすぎる」といったネガティブなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
しかし実は、目頭切開を併用した方が、かえって無理のない自然な二重に仕上がるケースは非常に多いです。
逆に言えば、無理なデザインの埋没法を繰り返すことこそが、不自然な目元や、取れやすい二重の原因になっていることがあります。
今日は、「なぜ目頭切開が必要なのか」「どんな場合に効果的なのか」を、解剖学的な視点から分かりやすく解説します。そして、私がこだわる『傷跡が目立ちにくいリドレープ法』など、自然な目元に仕上げるための具体的なアプローチについて解説します。
埋没法だけでは「理想の二重」にならない理由
「埋没法で広げたくても広がらなかった、目頭側の二重幅」。 この原因をご存知でしょうか？それは、決して医師の技術不足や糸のせいだけではありません。最大の原因は、日本人の多くに見られる目元の構造的な特徴、「蒙古ひだ」と「皮膚の被さり」にあります。
二重の邪魔をする「蒙古ひだ」の正体
蒙古ひだとは、目頭の部分を覆っている皮膚の張りのことです。このひだが発達していると、以下のような特徴が現れます。
- 目が小さく、離れて見える
- 目頭が丸く見える
- 二重のラインが目頭まで届かず、末広型になりやすい
この蒙古ひだが、理想の二重ラインを作る上で妨げとなってしまうのです。
無理な埋没法が招く「不自然さ」と「後戻り」
「二重になりたい！」という希望に対し、蒙古ひだの存在を無視して、埋没法だけで広げようとするとどうなるでしょうか？
- 不自然な「ハム目」: 皮膚が厚い部分で無理に折り返そうとするため、食い込みが浅く、ぷっくりとした不自然な二重（ハム目）になりやすくなります。
- すぐに取れてしまう: 蒙古ひだの強い「元に戻ろうとする力（張力）」が糸に負担をかけ続け、結果として糸が緩んだり切れたりして、二重が取れてしまいます。
この患者様は、過去に何度も埋没法を受けていましたが、蒙古ひだと皮膚の被さりが邪魔をして、目頭側の二重幅が狭くなってしまっていました。「埋没法だけでは限界がある」典型的な例です。
目頭切開が叶える「ナチュラルな目元」のメカニズム
そこで必要となるのが、「目頭切開」という選択肢です。 目頭切開は、単に目を大きくするだけの手術ではありません。二重のラインを邪魔している原因を取り除き、「自然な二重が成立する土台」を作るための手術なのです。
「皮膚の被さり」と「蒙古ひだ」の解除
目頭切開を行うことで、以下の2つの大きな変化が生まれます。
- 皮膚の被さりを切除: 目頭側に覆いかぶさっていた余分な皮膚を取り除くことで、二重のラインが目頭までスムーズに伸びるスペースが生まれます。
- 蒙古ひだの張力を解除: 二重のラインを内側に引っ張っていた「突っ張り」がなくなるため、無理な力がかからず、自然で綺麗な平行型やMIX型のラインが形成されやすくなります。
この土台ができることで、埋没法の糸にかかる負担も減り、結果として「取れにくく、自然な二重」が実現するのです。
「不自然」と思われがちな目頭切開の真実
「目頭切開＝派手顔、不自然」というイメージは、過去に行われていた「切りすぎる」手術や、患者様の顔立ちに合っていないデザインが原因であることが多いです。
本来の目頭切開は、数ミリ単位の非常に繊細な調整を行う手術です。
- 「切りすぎない」デザイン: 当院では、患者様の元々の目の距離や顔全体のバランスを考慮し、絶対に「切りすぎない」「寄せすぎない」ことを徹底しています。
- ナチュラルな変化: 目頭の赤い部分（涙丘）をほんの少し見せる、あるいは蒙古ひだの張りを取るだけでも、目元の印象は劇的に、かつ自然に垢抜けます。
「整形しました感」を出さずに、生まれつきのような自然な大きな目を手に入れるために、デザインによっては目頭切開を併用した方が良い場合がたくさんあるのです。
私のこだわり—傷跡を目立たせない「リドレープ法」と同時施術
目頭切開で最も心配される「傷跡」についても、ご安心ください。当院では、傷跡を最小限に抑えるための術式と丁寧な縫合にこだわっています。
傷跡が目立ちにくい「リドレープ法」
目頭切開には「Z法」や「W法」など様々な術式がありますが、私が主に採用しているのは「リドレープ法」です。
- リドレープ法の特徴:
- 傷が目頭の縁（内眼角）のギリギリ、または内側に隠れるようにデザインします。
- 顔の前面に大きな傷跡が出てこないため、従来のZ法などに比べて傷が最も目立ちにくいのが最大のメリットです。
- 皮膚の被さりをメインに切除するため、ナチュラルな変化を出しやすい術式です。
もちろん、蒙古ひだの形状によっては従来のZ法が良い場合もあります。Z法も適切に行えば酷い傷が残るものではありません。大切なのは、患者様一人ひとりの目元に合わせた最適な術式を選ぶことです。
リドレープ法による目頭切開の直後です。傷が目の縁に沿っており、顔の前面に出ていないことが分かります。直後は糸がついているため目立ちますが、抜糸後は急速に目立たなくなっていきます。
「二重＋目頭切開」同時施術のメリット
二重埋没法と目頭切開を同時に行うことには、大きなメリットがあります。
- バランスの同時調整: 二重の幅や形と、目頭の開き具合のバランスを、手術中にリアルタイムで確認しながら微調整できます。「もう少し平行に」「目頭は控えめに」といった細かな要望を、全体のバランスを見ながら仕上げることが可能です。
- ダウンタイムの一元化: 別々に行うよりも、ダウンタイムを一度にまとめることができます。
【症例解説】併用で叶えたナチュラルな二重
実際の症例写真を見ながら、二重埋没法と目頭切開（リドレープ法）の併用による変化と経過を解説します。
- 術前: 蒙古ひだの張りが強く、目頭側の皮膚が被さっているため、末広型の二重になっていました。目が少し離れて見え、眠たそうな印象もありました。
- 術後1ヶ月: 目頭切開を併用したことで、目頭側の被さりが解消され、綺麗な二重ラインが実現しました。目の横幅が自然に広がり、黒目も大きく見えるようになったことで、華やかで洗練された印象の目元になりました。
【術後の経過（抜糸後〜1ヶ月）】
- 術後1週間（抜糸後）: まだ少し赤みがあり、傷が硬くなっている時期ですが、メイクで隠せる程度です。
- 術後1ヶ月: 赤みがほとんど引き、傷跡も非常に目立ちにくくなっています。二重の幅も落ち着き、非常にナチュラルな仕上がりです。ここから3〜6ヶ月かけて、傷跡はさらに白く、目立たなくなっていきます。
まとめ
「二重になりたいけれど、不自然にはなりたくない」
「目頭切開は少し怖い。でも、もう少しぱっちりした印象にしたい」
そう感じている方は、決して少なくありません。
目頭切開は、すべての方に必要な手術ではありません。
ただ、目元の構造や蒙古ひだの状態によっては、“自然な二重ライン”をつくるうえで、重要な役割を果たすこともあります。
カウンセリングでは、あなたの目の形や顔全体のバランス、そして「どんな印象になりたいのか」を丁寧に伺ったうえで、解剖学的な視点からお話しします。
・目頭切開が本当に必要かどうか
・どの術式が合っているか（リドレープ法・Z法など）
・どの程度の変化が、最も自然に見えるか
そのうえで、どうするかを一緒に考えていきましょう。あなたらしい目元を大切にしながら、無理のない選択をご提案します。
