顔の印象を大きく変える人中短縮術は、その効果の高さから関心を集めています。しかし、鼻と口という顔の中でも特に動かす機会の多い部位の手術であるため、「ダウンタイムは長いのか」「術後の食事や生活はどうなるのか」といった不安を抱える方が少なくありません。
本コラムでは、人中短縮術後のダウンタイムの期間、具体的な症状、そして快適に過ごすための食事やケアについて、詳しく解説します。
人中短縮術のダウンタイム期間と長期化しやすい理由
人中短縮術のダウンタイムには個人差がありますが、一般的に1ヶ月から3ヶ月程度を目安としていただくのが現実的です。短い方で2週間程度で落ち着くケースもありますが、最低でも1ヶ月間は回復期間が必要だとお考えください。
ダウンタイムが比較的長くなる傾向にある主な理由は、手術部位が「動く場所」であることにあります。
- 不安定な縫合箇所: 人中は会話や食事、表情の変化など、日常生活で常に動く口元に近接しています。そのため、縫合箇所に負担がかかりやすく、創部(傷口)の安静が保ちにくいため、腫れや回復が長引く傾向があります。
- 内側人中短縮術の影響: 特に内側人中短縮術は、皮膚だけでなく組織の処理も行うため、腫れや麻痺、しびれ、違和感といった症状が長く続くケースがあり、全体的な回復には数ヶ月を要することがあります。
術後の具体的な症状と食事・日常生活の過ごし方
ダウンタイム中に現れる主な症状と、それへの対処法は以下の通りです。
腫れ・麻痺・しびれ
術後数日間は腫れがピークとなり、その後徐々に引いていきます。また、手術部位とその周辺に麻痺やしびれ、違和感を覚えることがありますが、これらは神経の回復に伴って少しずつ改善していきます。焦らずに経過を見守ることが大切です。
食事
手術直後は、縫合箇所を大きく開いたり、硬いものを噛んだりすることで傷口に負担がかかるのを避ける必要があります。
- 術直後: お粥やゼリー、スープなど、口を大きく開けずに摂取できる柔らかい食べ物からスタートしましょう。
- 回復期: 痛みが落ち着いてきたら、徐々に通常の食事に戻して構いませんが、口を横に広げるような食べ方(ハンバーガーなど)は避け、縦に大きく開ける動きも最小限に抑えることが賢明です。
つっぱり感(拘縮)
人中短縮術において、仕上がりのラインを美しく保つために筋肉処理(口輪筋の処理)を行うことがありますが、この筋肉処理を行った場合、術後もつっぱり感や拘縮が長く続くことが多くなります。このつっぱり感は、傷が治る過程で起こる組織の収縮(拘縮)によるもので、ダウンタイムを過ぎても数ヶ月続く場合があります。これは異常ではなく、組織が安定していく過程で自然に改善していきます。
まとめ
人中短縮術は、顔の印象を劇的に改善する手術ですが、口元という常に動く部位であるため、ダウンタイムの期間や術後の症状を正しく理解しておくことが極めて重要です。
術後のつっぱり感(拘縮)といった症状は、組織が治癒していく過程で起こる自然な反応であり、慌てずに対処することが求められます。食事や会話における安静への配慮といった丁寧な術後ケアこそが、最終的な仕上がりと傷跡の目立ちにくさに大きく影響します。
ご自身の骨格や皮膚の状態に合わせた最適な治療計画と、術後の具体的な過ごし方に関する詳細なアドバイスを受けるためにも、まず専門の医師によるカウンセリングで、万全の準備を整えることをおすすめいたします。

