二重整形、特に全切開法を受けた後に「二重幅が広すぎて眠そうに見える」「まつ毛の上に皮膚がぷっくりと乗って、不自然なハム(ソーセージ)のような目元になってしまった」というお悩みで来院される方は非常に多くいらっしゃいます。
いわゆる「ハム目」は、メイクでも隠しきれず、顔全体の印象に不自然な違和感を与えてしまいます。鏡を見るたびに後悔し、精神的なストレスを抱えている患者様も少なくありません。
本コラムではハム目の根本的な原因から、それぞれの治し方のメリット・デメリット、そして当院で行った全切開後のハム目を埋没法だけで修正した稀な症例について解説します。
なぜ「ハム目」になるのか?知っておくべき解剖学的4つの原因

ハム目とは、二重ラインからまつ毛のキワまでの皮膚がぷっくりと膨らみ、まつ毛の生え際に皮膚が被さっている状態を指します。修正を成功させるためには、まず「なぜそのような状態になったのか」という原因を正確に突き止めることが不可欠です。
二重幅の設定が広すぎる(デザインのミス)
最も一般的な原因です。まぶたの厚みや骨格には個人差がありますが、それを無視して無理に広い幅で二重を作ると、厚い皮膚の部分で折り返されることになります。まぶたは眉毛に近づくほど皮膚が厚くなり、皮下脂肪も増えるため、高い位置で固定するほど、折り畳まれなかった組織が前方へ押し出され、不自然な膨らみ(ハム感)が生じやすくなります。
皮膚の取り残しと「睫毛側被さり」
全切開法において、二重ラインの下にある余分な皮膚を適切に切除しなかった場合、その皮膚がまつ毛の生え際にダブついて被さります。これを「皮膚の睫毛側被さり」と呼びます。この余剰皮膚がクッションのように膨らみを作ることで、正面から見た時にぷっくりとした厚みとして認識されます。
挙筋機能の不足(眼瞼下垂の併発)
まぶたを持ち上げる筋肉(上眼瞼挙筋)の力が弱い状態で二重幅を広げると、まぶたが十分に上がりきりません。すると、二重の食い込みだけが強調され、その下の皮膚が持ち上がらずに停滞するため、実際には幅が広くなくても、視覚的に「眠そうでぷっくりした目元」に見えてしまいます。
固定(食い込み)のアンバランス
二重を固定する力が強すぎると、組織が不自然に圧迫されて周囲が盛り上がります。逆に固定が弱すぎると、皮膚の重みに負けてラインがぼやけ、皮膚がまつ毛側に被さることでハム目のような印象を与えます。
ハム目修正の選択肢|再切開 vs 埋没法
ハム目を修正し、スッキリとした「まつ毛の生え際が見える二重」にするためには、主に以下の2つのアプローチがあります。
再切開による修正(吊り上げ法など)
通常、全切開後のハム目修正は再切開が原則です。
- 吊り上げ法: 一度現在の癒着(二重の食い込み)を完全に剥がし、それよりも低い位置で新たに固定し直す方法です。古い傷跡と新しいラインの間の皮膚を処理し、癒着が再発しないよう細心の注意を払います。「幅を狭くする」修正において最も確実性が高い方法です。
- メリット: 物理的に皮膚や脂肪を減らせるため、確実な変化が望める。
- デメリット: 再度のダウンタイムが必要、組織の損傷リスク、費用が高い。
埋没法による修正
一度切開したラインを、切らずに「埋没法(糸)」だけで修正するのは、医学的には例外的な手法です。通常は、切開による強い癒着に埋没の糸が負けてしまうためです。 しかし、以下の条件を満たす場合に限り、埋没法での修正が非常に有効な選択肢となります。
- 条件: 前回の切開による食い込み(癒着)が比較的甘くなっていること。
この場合、「元の切開線よりも下の位置に、埋没法でさらに強い固定点を作る」ことで、二重のラインを強制的に低い位置で固定させることが可能になります。
【症例】全切開後のハム目を「切らずに」修正する技術
当院で実際に行った、全切開後のハム目修正症例を解説します。
術前の状態と適応の判断

この患者様は、他院で全切開を受けたものの、「眠そうな目を改善したい」「まつ毛の生え際をしっかり見せたい」という強いご希望がありました。
術前を見ると、以前の切開による傷跡はあるものの、まつ毛に皮膚が被さり、二重の食い込みが非常に弱くなっていることが分かります。このような「固定が弱まった全切開ライン」であれば、埋没法による修正の適応となります。
二重ラインの「乗り換え」設計
埋没法の糸を用いて、古い切開線よりも数ミリ低い位置に新しい固定点を作ります。

術直後(左)の白い点線が元の切開線、実線が今回新しく作った埋没のラインです。新しいラインの固定力が古い癒着の力を上回れば、目を開けた時に皮膚が低い位置で折れ曲がります。右側の1ヶ月後の写真では、狙い通りにラインが変わっているのが確認できます。
術後1ヶ月の経過|ダウンタイムと馴染みのリアル
修正手術において患者様が最も懸念されるのは「本当に綺麗に馴染むのか」という点です。
術後1ヶ月の変化

術前(Before)と比較して、術後1ヶ月(After 1M)ではまつ毛の生え際が露出し、瞳に光が入るようになりました。ぷっくりとしたハム感も解消され、目元の重たさが取れているのが一目瞭然です。
動画で見る「自然なまばたき」
静止画だけでなく、動きの中での自然さも重要です。
術後1ヶ月のまばたき動画です。 新しい埋没ラインが優先的に機能し、スムーズに皮膚が折れ曲がっています。 再切開を行っていないため、不自然な引き連れや硬さがなく、自然な動きを実現しています。
ハム目修正を成功させるための「限界」と「リスク」の共有
古い切開傷と「二重の線」の重なり
埋没法修正は皮膚を切り取るわけではないため、元の切開線の傷跡は、新しいラインの上にそのまま残ります。

術後1ヶ月の細部を確認すると、目頭側などに以前の切開の傷やわずかな幅広感が残っているのが分かります。しかし、多くの場合「もう一度メスを入れるリスク」を負うよりも、この程度の残存を許容し、低侵襲な埋没法で8〜9割の改善を得る方が、患者様の満足度は高くなる傾向にあります。
癒着が強すぎる場合の不適応
もし前回の切開による癒着が非常に強く、まぶたの引き込みが強固な場合は、埋没法の糸では対抗できません。その場合は無理に埋没で行わず、再切開による確実な修正を推奨することになります。
ハム目修正に関するよくある質問(Q&A)
Q. 埋没法で修正しても、すぐに元に戻りませんか?
A. 条件によります。古い切開の固定が十分に弱まっていれば、長期間持続する可能性が高いです。しかし、根本的な解決(皮膚の除去など)を行っているわけではないため、再切開よりは戻るリスクがあることは否めません。診察時に「戻りやすさ」についても詳しくお伝えします。
Q. 以前の切開の傷がひどいのですが、埋没法で隠せますか?
A. 埋没法は「ラインを作る」ためのものであり、傷跡そのものを消す効果はありません。ただし、二重のラインが整うことで、視線がそちらに誘導され、結果として傷が目立ちにくく感じる副次的な効果は期待できます。
Q. 他院で「再切開しかない」と言われましたが、一度見ていただけますか?
A. はい、ぜひご相談ください。他院で切開が必要とされたケースでも、癒着の程度や挙筋機能によっては、埋没法などの負担の少ない方法で改善が見込める場合があります。当院では無理に特定の術式を勧めるのではなく、低侵襲な方法でどこまで理想に近づけるかを検討し、メリットと限界の両方をお話しした上で、納得いただける道を探していきます。
まとめ
ハム目の修正は、美容外科手術の中でも非常に難易度が高く、画一的な正解はありません。大切なのは、現在の状態を正しく評価し、メリットとデメリットを共有した上で、患者様が最も納得できる方法を選択することです。
「修正=絶対に切開」と諦める必要はありません。診察であなたのまぶたの状態(食い込みの強さや挙筋機能)を精査すれば、最小限の負担で理想に近づける道が見つかるかもしれません。
二重や目元でお悩みの方は、まずは一度ご相談くださいね。どの方法が最適か、一緒に探していきましょう。





