【医師監修】ガミースマイルに人中短縮はNG?その理由と正しい治療選択を徹底解説

美容医療の中でも人気の高い施術「人中短縮」。鼻の下から上唇までの距離を短くすることで、若々しく整った口元が手に入ると話題です。しかし、ガミースマイルの方がこの手術を受ける場合、注意すべき落とし穴が存在することをご存知でしょうか?

この記事では、形成外科的な視点から「なぜガミースマイルの方に人中短縮が適さないのか?」その理由を深掘りし、代替となる治療法や診断の重要性について徹底的に解説します。


目次

ガミースマイルとは?その原因と特徴

「ガミースマイル(gummy smile)」とは、笑った際に歯ぐき(歯肉)が大きく露出する状態を指します。医学的には、上唇を上げた際に3mm以上歯ぐきが見える場合がこれに該当するとされています。

主な原因

  • 上唇を持ち上げる筋肉の過発達(上唇挙筋、鼻翼上唇挙筋など)
  • 上顎前突(骨格的に上顎が前に出ている)
  • 高位歯列(歯の生えている位置が高い)
  • 唇の薄さ・短さ

これらは単独ではなく、複数が組み合わさっている場合も多く、ガミースマイルは「筋肉・骨格・歯・唇」の複雑な相互作用によって生じます。


人中短縮術とは?目的と仕組み

人中短縮術(上口唇短縮術)は、鼻の下の「人中」と呼ばれる部分を物理的に短くする美容整形です。鼻下の皮膚を切除し縫合することで、顔の重心を上に引き上げ、唇の立体感を出すことができます。

メリット

  • 顔の間延び感を軽減
  • 上唇のボリュームアップ効果
  • 若々しい印象の口元に改善

ただし、術後の唇の動きやバランスには個人差があり、「誰にでも適している施術ではない」ことを理解する必要があります。


ガミースマイルの人に人中短縮が不向きな理由

① 笑ったときの唇の“めくれ”が強調される

ガミースマイルの方は上唇の筋肉が強く働いているため、人中短縮で唇の支点が上がると、笑ったときに唇がめくれ上がりやすくなります。その結果…

  • 歯ぐきがさらに目立つ
  • 唇の裏側が露出する
  • 鼻の穴まで見えやすくなる

という見た目の違和感が生じることがあります。

② 皮膚と筋肉のバランスが崩れる

人中短縮は皮膚の切除だけではなく、筋肉や骨格のバランスを見ながら慎重に設計すべき手術です。筋肉の動きが強いガミースマイルの方には、皮膚だけを短縮してもバランスが崩れ、不自然な表情につながるリスクがあります。


正しい診断と立体的デザインが重要

美容医療においては「施術そのもの」ではなく「その人に似合うかどうか」が最も重要です。

評価ポイント

  • 顔面骨格(上顎・下顎・鼻柱の位置)
  • 筋肉の動きや強度
  • 唇の厚み・柔軟性
  • 鼻・唇・歯の角度や距離

立体的かつ動的な評価を行うことで、無理のないナチュラルな仕上がりが実現できます。


ガミースマイルの方に適した代替治療法

① 上唇ボトックス注射(ボツリヌストキシン)

上唇挙筋の過剰な動きを抑えるため、筋肉に直接ボトックスを注入します。これにより、唇が持ち上がりすぎるのを防ぎ、歯ぐきの露出が軽減されます。

  • 効果持続期間:3〜6ヶ月
  • ダウンタイム:ほぼ無し
  • 繰り返し施術で安定した効果が得られる

注入位置や量を細かく調整することで、自然な笑顔を保ちつつガミースマイルの印象を緩和できます。

② リップリポジショニング手術(粘膜切除術)

上唇の内側の粘膜を一部切除して縫合し、笑ったときに唇がめくれすぎないよう制限を加える手術です。ガミースマイルを根本的に改善する効果が期待できます。

  • 半永久的な効果が見込める
  • 口腔内手術のため外見に傷が残らない
  • ダウンタイム:約1〜2週間

口の中に違和感を感じる期間があるものの、見た目の変化が非常に自然で満足度の高い施術です。

③ 歯列矯正・骨格手術

ガミースマイルの原因が骨格、特に上顎の前突である場合、矯正治療や外科的な骨格手術が必要です。これにはCTスキャンによる精密診断が不可欠です。

  • 上顎骨切り(Le FortⅠ型骨切り術)などの本格的な外科的アプローチ
  • 歯列矯正との併用で長期的な口元の改善が可能

大がかりな施術になりますが、根本的な改善を目指す方には非常に有効です。

④ 切らない人中短縮(口腔内アプローチ)

外から切らずに、口の中から粘膜や筋膜にアプローチして、人中を「短く見せる」技術です。Cカールや人中稜の立体感を整えることができ、より自然な印象に仕上げられます。

ただし、過度な短縮を試みると唇のめくれが強調され、ガミースマイルが悪化する恐れもあるため、繊細な施術デザインが必要不可欠です。


まとめ|あなたに合った“自然な笑顔”を手に入れるために

人中短縮は、魅力的な口元を作る有力な選択肢である一方で、ガミースマイルの方にとっては非常に慎重な判断が求められる施術です。唇の動き、骨格の形状、筋肉のバランス、そして全体的な顔の印象──これらを総合的に診断しなければ、期待とは裏腹の結果を招くこともあります。

当院では、専門医が全体の構造を3D的に評価し、笑ったときの自然さや横顔の美しさまでを意識した「オーダーメイドのデザイン治療」を提供しています。

ガミースマイルや人中の長さに悩んでいる方は、まずはお気軽にご相談ください。

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