二重埋没法は、メスを使わずに医療用の糸を用いてまぶたを固定し、二重を形成する美容整形手術です。手軽に理想の二重を手に入れられる一方で、施術後の持続期間には個人差があり、「長持ちする人」と「取れやすい人」がいます。本記事では、埋没法の基本から、糸が取れやすい原因、前兆、長持ちさせるための方法まで、専門的な視点で詳しく解説します。
埋没法とは
埋没法は、まぶたの皮膚と瞼板(けんばん)または挙筋(きょきん)を医療用の糸で固定することで、二重を形成する方法です。

埋没法のメリット
- メスを使わないため、傷跡が残らない
- 施術時間が短く(約10~30分)、ダウンタイムが短い
- 自然な仕上がりになる(時間の経過とともによりなじむ)
- 元に戻すことが可能(糸を取り除けば一重に戻せることが多い)
このようなメリットがある一方で、埋没法は糸が緩むと二重が取れる可能性があります。
以下に、二重埋没法が取れやすくなる主な要因を解説します。
二重埋没法の糸が取れやすい原因
① まぶたの皮膚が厚い or 脂肪が多い
まぶたの厚みや脂肪が多いと、埋没法の二重が埋もれやすく、糸の固定力が弱まり取れやすくなることがあります。特に、蒙古ひだが強い方や腫れぼったいまぶたの方は、持続性が低下しやすいため、適切な施術を選ぶことが重要です。
取れにくくするための対策として、まず「脱脂(脂肪除去)」を併用することで、まぶたの厚みを軽減し、二重の維持力を高める方法があります。また、皮膚が厚い場合は「部分切開法」や「全切開法」が合っている場合もあります。
② 二重ラインの幅が広すぎる
二重の幅を広げすぎると、まぶたへの負担が増え、埋没法の糸が緩みやすくなり、二重が取れやすくなります。特に、一重や奥二重の方が無理に幅広の平行二重を作ると、持続性が低下しやすくなります。
取れにくくするためには、自然なラインを意識し、まぶたの状態に合った幅を選ぶことが重要です。事前に医師と相談し、適切な施術方法を選ぶことで、より長持ちする二重を実現できます。
③ 糸の留め方

埋没法には「点留め」と「線留め」の2つの施術方法があります。点留めは固定ポイントが少ないため緩みやすく、特にまぶたが厚い方や目をこする癖がある方は取れやすい傾向があります。一方、線留めは糸をまぶた全体にかけるため固定力が強く、二重が取れにくいとされています。
取れにくい二重を維持するためには、より固定力の強い線留めを選ぶことが有効です。また、まぶたの厚みや皮膚の状態に応じて適切な施術方法を選ぶことも重要です。
④ まぶたをこする
目元を強くこすると、埋没法の糸に摩擦がかかり、緩みやすくなったり切れてしまう原因になります。特に、クレンジング時の摩擦や花粉症による目のこすりすぎには注意が必要です。二重を長持ちさせるためには、低刺激の目元専用クレンジングを使用し、摩擦を抑えることが大切です。また、花粉症やアレルギーがある方は、目薬を活用するなどして、できるだけ目をこする回数を減らす工夫をすることが望ましいでしょう。
⑤ コンタクトレンズの長期使用
コンタクトレンズを装着する際にまぶたを強く引っ張ると、埋没法の糸に負担がかかり、緩みやすくなる原因となります。特に、頻繁に装着や取り外しを行う方は注意が必要です。二重を長持ちさせるためには、コンタクトをつける際にまぶたをできるだけ引っ張らず、優しく扱うことが大切です。
⑥ 加齢によるまぶたの変化
埋没法で作った二重は、加齢によるまぶたの皮膚や筋肉の変化に伴い、時間の経過とともにラインが薄くなったり、消失することがあります。これは、まぶたのたるみや筋力の低下が影響するため、誰にでも起こり得る現象です。
このような場合は、「切開法」を選択することで、安定した二重を維持することが可能です。
二重埋没法の糸が取れる前兆
埋没法の二重が取れる前兆
埋没法の二重は、取れる前にいくつかのサインが現れます。「二重が薄くなってきたかも?」と感じたら、早めにチェックし、必要に応じて対策を検討しましょう。
🔹 二重のラインが薄くなってきた
・まぶたのラインがぼやける / アイメイクなしでは目立たない
・朝だけ二重が不安定になる
🔹 まぶたが重く、目が開きにくくなる
・以前より腫れぼったく見える / まぶたに違和感
・目の開きが悪くなり、眠そうに見える
🔹 片方だけ二重が崩れ始める
・片目だけラインが薄くなる / 朝は二重なのに夕方には消える
🔹 アイプチやアイテープを使わないと二重が維持できない
・メイクで二重を作ることが増えた / 折り込みが浅くなった
🔹 目をこすったりコンタクトをつけると二重が消える
・こすった後やメイク落とし後に二重が崩れる
これらの前兆を感じたら、早めにクリニックで相談し、適切な対応を検討することが大切です。
埋没法の二重を長持ちさせるための私のこだわり
埋没法で最も重要なのは、「取れにくい二重を作ること」です。腫れや内出血は一時的なものですが、二重がすぐに取れてしまうことは患者さまにとって大きな負担となるため、適切なデザインと確実な結紮(糸の結び方)が不可欠です。
腫れを抑えるためには、術中の丁寧な操作が重要です。まぶたの圧迫を最小限にし、針を通す際の力加減を調整することで、組織へのダメージを減らします。また、糸をゆっくり締め、適度な食い込みを持たせることで、緩みを防ぎつつ過度な腫れを避けることができます。
デザイン面では、まつ毛のキワを見せ、たるみのない自然な仕上がりを目指すことが大切です。二重幅を広くしすぎると糸への負担が増し、取れやすくなるため、患者さまの希望を尊重しながらも、安全で持続性の高いラインへと導くことが求められます。
持続性を高めるためには、3点留め以上や線留め(ループ法)を採用し、高品質な糸を使用することが有効です。直後の腫れを抑えることも重要ですが、最優先すべきは「取れないこと」。適切な施術を徹底し、腫れを抑えつつ長持ちする二重を実現することが理想です。
まとめ
二重埋没法は、メスを使わずに理想の二重を手に入れられる手軽な施術ですが、持続期間には個人差があり、まぶたの状態や生活習慣によって取れやすくなることがあります。まぶたの厚み、二重幅の選択、糸の留め方、日常のクセや加齢による変化などが、埋没法の持続性に影響を与える主な要因です。
取れにくい二重を維持するためには、自分のまぶたに適した施術方法を選び、日常生活のケアを意識することが重要です。適切な二重幅の選択や、固定力の高い糸の留め方を採用することで、持続性を高めることができます。また、目をこする習慣を減らしたり、クレンジング方法に気をつけることも、長持ちさせるポイントになります。
私は、「取れにくい二重を作ること」を最も重視し、施術時の腫れを最小限に抑えながら、持続性の高い仕上がりを目指しています。適切なデザインと確実な糸の結び方を採用し、患者さまのまぶたの状態に合わせた施術を行うことで、自然で長持ちする二重を実現することが可能です。
埋没法の二重を少しでも長持ちさせたい方は、事前にしっかりと医師と相談し、自分に合った施術を選ぶことをおすすめします。施術後も、まぶたに負担をかけないよう注意しながら、理想の二重を維持していきましょう。