鼻整形は安全な素材で!異物除去について

Mae clinicでは鼻の他院修正のご相談が多いです。その中でも特に異物除去のご相談をよく受けます。シリコンなどはお手軽にできる鼻整形なのですが、自分の組織ではない異物なので、トラブルになるリスクもあります。

実際にトラブルが起きて、異物除去→修正という症例も併せて解説していきます。

目次

綺麗になるために入れたのに鼻が変になる?

鼻を高くしたり、鼻筋を整えるために、人工物(シリコンなど)を入れる施術があります。

主に

PCL=ポリカプロラクトン

という素材の人工物が多いです。

「溶ける素材なので安全」「クローズ法でできるので大きな傷が残らない」

と一時は人気を博したのですが、身体にとっては異物になるので、トラブルになる方も少なくありません。

鼻に人工物、よくあるトラブル

ずれて鼻先が曲がる

プロテーゼが骨膜下に挿入できていない、元々の鼻(土台)が曲がっている、剥離する位置がずれているなどが原因でプロテーゼがしっかり挿入されていないと鼻が曲がってしまうことがあります。

皮膚が薄くなる

周囲組織に炎症と癒着を起こすため他の移植物よりも強い皮膚の菲薄化を招く印象です。浅い層に入れると顕著に現れます。

鼻の形が変わる

体の中に自分の組織以外のものが入ってくると、体はその異物を外に出そうとします。被膜という膜でシリコンを包み、ひとつバリアみたいなもので巻いて、体とは別のものとして包み込んでしまう、こういった体の防御反応が働きます。この被膜が徐々に小さくなって、形が変わってしまう、ということがあります。プロテーゼそのものは何も変わらない、だけどその周りの組織が変形していき、鼻が変形してしまうのです。

赤く腫れる

基本的に異物は軟骨等の自分の組織よりも感染しやすいです。また感染や血流障害で周囲組織が壊死することがあります。人工物が被膜で包まれていたりすると、被膜の中は血流がないので白血球が届かず、菌が付いてしまうと治りません。

人工物が癒着する

人工物を挿入すると、周りの組織と癒着してしまうことがあります。癒着を起こすと、周りの組織に変形などの影響が出る可能性があります。また、癒着が起こっている人工物を除去するのはかなり困難です。

実際に取り出した人工物

他院で鼻整形をされた患者様の修正の症例です。
オープン法であけてみるとこのような形で人工物が入っていました。

これが実際に取り出した人工物です。

シリコンは周りがぎざぎざになっているのが分かるかと思います。これが被膜を作る原因になりやすいです。被膜ができると、鼻の形が変わってしまうというリスクがあります。

これは鼻中隔延長の鼻中隔軟骨のサイドに添えられていた人工物です。

これの問題なところは、体内に入れられて何年もたっているのに全然吸収もされずに残っていることです。

本来は吸収されて瘢痕になることで鼻を補強すると言われているのですが、しっかり異物として残ってしまっています。

この人工物が自身の軟骨と軟骨の間に入っている場合は問題ないのですが、自身の軟骨と人工物、片面は粘膜、というケースがほとんどです。粘膜側というのは拘縮するので、ひきつれてしまいます。これが左右差の原因となるのです。

この患者様も人工物が周りの組織と癒着し、瘢痕になってしまっていました。そうなると取り出すのは非常に困難です。

この人工物は薄いのにしっかり硬さもあるというメリットもあるのですが、こうやって癒着してしまうので、いざという時再手術がしにくくなります。これを入れて一生もう鼻の手術をしないという場合はいいのかもしれませんが、1回でも修正する可能性があるのなら、こういった素材は使わない方がいいと思います。

韓国ではよく使われている素材です。肋軟骨を取らなくていいので手術自体が簡単、ということで日本でも使っているクリニックもあります。ですが、除去するのは本当に大変です。

人工物を入れていることで、感染症や石灰化、拘縮などが起こり取り出さないといけない可能性はずっとあります。こういったリスクを考慮し、当院では自家組織で移植する場合がほとんどです。

人工物によって鼻が変形してしまった方の症例

何度か施術を受けておられた方の修正の症例です。最後はプロテーゼと肋軟骨で鼻中隔延長をされたそうです。けれど両顎骨切の影響もあってか、土台から傾いてしまいました。

鼻の穴から見てみると、鼻の中の鼻中隔に横たわった軟骨が見えています

CTで左右鼻腔内に張り出していた軟骨です。
太く大きい軟骨ですが支えの役目は果たしておらずグラグラ、倒れてしまっています。

この軟骨は瘢痕とともに丁寧に取り除き、肋軟骨で鼻中隔を再建しています。
元の鼻中隔軟骨は溶けてたので、骨切の道具も併用して骨に軟骨を固定して土台から創りました。

まとめ

人工物は肋軟骨を取らなくてもいいので、手術自体は簡単です。ですがトラブルが起きて修正となると、除去した後に複合手術といったとても難易度の高い手術になります。

「溶ける素材だから大丈夫」と聞くと安全なように聞こえますが、実際は溶けずに異物として残っている場合がほとんどです。

こういったリスクがあることを理解した上で検討することが重要です。

僕はプロテーゼなどの人工物を抜去して、自家組織でつくり直す修正手術も得意としています。お気軽にご相談ください。

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この記事での症例

【術式】
鼻中隔延長、斜鼻修正、猫貴族手術、プロテーゼ抜去、隆鼻術、鼻尖形成 術後1年
【リスク・副作用】
感染、変形、左右差、後戻り、鼻閉、マヒ、可動性の変化、イメージとの相違等
【施術費用】
鼻中隔延長(肋軟骨)¥860,00、斜鼻修正¥660,000、猫貴族手術(肋軟骨)¥660,000、隆鼻術¥440,000、鼻尖形成¥337,000※これ以外に、他院修正費用・検査費用・麻酔費用等がかかることがあります。※モニター等で変動があります。

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