痩せ型でも脂肪注入豊胸はできる?専門医が教える採取部位と成功のポイント

「痩せているから脂肪注入は無理」…本当にそうでしょうか?

脂肪注入豊胸は、シリコンバッグを使わずにご自身の脂肪細胞を注入することで、
より自然な見た目・柔らかい触感のバストを実現できる治療法です。

しかし、痩せ型の方や過去に脂肪吸引を受けた方からは、
「そもそも脂肪が少ないから無理なのでは?」「効果が少ないって聞いた」
という不安や誤解を抱いている方も少なくありません。

結論から言うと、痩せ型の方でも適切な計画と技術をもってすれば、脂肪注入豊胸は可能です。

ただし、通常の体型の方に比べて注入計画・採取設計・注入層の選択において
より繊細かつ医学的判断力が求められる施術であることも事実です。

本記事では、形成外科・美容外科の専門的視点から、
痩せ型の方に対する脂肪注入豊胸の現実的な可能性と工夫について、詳しく解説していきます。


目次

脂肪注入豊胸の基本と、痩せ型における課題

脂肪注入豊胸は、以下の3ステップで行われます:

  1. 脂肪採取(脂肪吸引)
     主に太ももや腹部などから脂肪を採取します。
  2. 脂肪の処理(遠心分離・濃縮)
     採取した脂肪から血液・麻酔液・不純物を除去し、純度の高い脂肪細胞だけを選別。
  3. 脂肪注入(多層・多点・微量分注)
     バストの皮下や乳腺下、場合によっては筋肉層などに、層を分けながら丁寧に注入していきます。

なぜ痩せ型は難しいのか?

  • 採取できる脂肪の量が少ない
     → 吸引部位を複数に分ける必要がある
  • 皮膚や皮下脂肪が薄く、注入スペースが狭い
     → 注入圧や注入層を精密にコントロールする必要がある
  • バストの立体感が出にくい(肋骨が浮きやすい)
     → ただ注入するだけではなく、立体的な「シルエットデザイン」が重要

このように、痩せ型であること自体は脂肪注入豊胸の禁忌ではありませんが、
成功させるには脂肪の扱いに熟練した外科医の計画性・技術力が求められるのです。


採取部位の選定とデザイン|“ただ取る”だけでは不十分

脂肪注入豊胸で使用する脂肪は、必ずしも「多ければよい」というわけではありません。
特に痩せ型の場合、「限られた資源をいかに効率よく活用するか」がカギです。

採取部位の一例と特徴

採取部位特徴
太もも内側・外側比較的脂肪が残りやすく、採取後は美脚効果も期待できる
腰部痩せ型でもわずかな厚みがあり、自然な曲線を描くために最適
下腹部極端に痩せていても、体幹部分にはわずかに脂肪が残る
二の腕裏面脂肪層は薄いが、意外に安定して採取できる隠れた部位

痩せ型の方の場合、脂肪が採れる部位は限られることが多く、無理に複数部位から採取するのはむしろ負担や凹凸リスクにつながることもあります。
当院では、脂肪が比較的安定して存在する1〜2部位(例:太もも内側、腰など)を見極め、丁寧に選択的吸引を行っています。

単に「脂肪の量を確保する」ことを目的とするのではなく、注入に適した質の高い脂肪を選び抜くこと、そして採取部のバランスを崩さないことを大切にしています。


注入のテクニックと工夫|多層・微量・分散注入が基本

痩せ型の方に脂肪を注入する際、最も重要なのが「注入圧・注入層・注入スピード」のコントロールです。

  • 皮膚が薄いため、皮下層に過度に注入すると凹凸や壊死リスクがある
  • 筋肉層・乳腺下など複数の層に分けて注入する“マルチレイヤー法”が重要
  • 1カ所に一度に注入せず、細かく移動させながら注入

また、脂肪の定着率を上げるには、注入する脂肪そのものの質も大切です。

当院では脂肪注入の種類を選べます|コンデンスリッチとの違い

痩せ型の方に脂肪注入豊胸を行う際、注入する脂肪の「質」と「処理方法」も非常に重要なポイントです。

当院では、目的や体型、予算に応じて以下2種類の脂肪注入法からご提案しています。

通常の脂肪注入法

  • 吸引した脂肪を簡易遠心分離にかけ、不純物(血液・麻酔液)を除去して使用する方法。
  • 脂肪の選別は最低限のため、コストを抑えて自然なバストアップを希望する方に適しています。
  • 痩せ型でもある程度の注入は可能ですが、定着率やボリューム感には限界があります。

コンデンスリッチファット(CRF)法

  • 吸引脂肪を専用システムで遠心・ろ過し、死活細胞・油滴・繊維成分などを除去。
  • 残った「濃縮された健康な脂肪細胞」のみを使用することで、定着率の高い脂肪注入が可能になります。
  • 特に脂肪量が限られる痩せ型の方や、1回でしっかり効果を出したい方におすすめです。

どちらが自分に合っているか分からない方へ

脂肪の採取量・バストの状態・希望するサイズアップ量・過去の施術歴などを総合的に評価し、
医師が最適な注入方法をオーダーメイドでご提案いたします。

どちらの方法にもメリット・デメリットがありますので、
「絶対にCRFでなければいけない」ということはありません。


【参考比較表】

比較項目通常の脂肪注入コンデンスリッチファット
処理工程簡易遠心分離高度な遠心・濃縮処理
使用脂肪採取脂肪そのまま健康な細胞のみ抽出
定着率約40〜60%約60〜80%(個人差あり)
しこり・壊死のリスクやや高め低リスク
痩せ型への適応△(量に限界あり)◎(少量で高効果)
費用比較的リーズナブル高額(専用機器使用のため)

再注入は必要?スケジュールの考え方

注入された脂肪細胞は、すべてが定着するわけではありません。
一般的には50〜70%が生着し、残りは体内で自然吸収されます。

そのため、ご希望のバストサイズによっては、最初から2回計画で行う「段階的豊胸」を提案することもあります。

  • 1回目でベースを作り、2回目で形を整える
  • 半年~1年の経過観察を経て再注入を検討

無理な大量注入を1回で行うよりも、皮膚や血流環境を整えながら安全にサイズアップしていく方が、
長期的に見てしこりや脂肪壊死などのリスクが少なく、見た目にも自然です。


なぜ当院では痩せ型の脂肪注入にも対応できるのか?

当院の脂肪注入豊胸は、形成外科専門医の知識と手技に基づいた“構造的アプローチ”が特徴です。

私はこれまで、大学病院や基幹病院にて乳がん術後の乳房再建手術を多数担当してきました。
形成外科の現場で培った経験を通じて、乳房の皮膚・皮下脂肪・乳腺・筋層・筋膜といった各層の構造や血流を深く理解しています。

そのため、痩せ型の方のように限られた脂肪しか採取できない場合でも、最も安全で定着しやすい注入層を見極め、自然な立体感をつくることが可能です。

痩せ型だからこそ、“どこにどれだけ脂肪を入れるか”の細やかな判断が仕上がりに直結します。
構造を理解しているからこそできる繊細な豊胸技術で、患者さま一人ひとりに合わせたアプローチを行っています。

痩せ型で皮膚が薄いケースや、バストの立体感が出にくい症例こそ、
「解剖を理解している医師かどうか」が、術後の仕上がりを大きく左右するといっても過言ではありません。

痩せ型脂肪注入に関するよくある質問

Q. 自分の脂肪でも定着しないことはありますか?

極端な栄養状態の方や、過去の脂肪吸引によって脂肪層が乏しい方は、
注入後の脂肪の「血流再開」がうまくいかず、定着率が落ちる場合があります。

ですが、注入層・注入量・脂肪の質に配慮することで、多くのケースで効果的な定着が見込めます。


Q. 採取部位に段差やたるみは残りませんか?

熟練した形成外科医が行う吸引では、“脂肪の取り残し”や“取りすぎ”による段差は極力防げます。
術後は圧迫固定・マッサージを適切に行うことで皮膚のたるみも防げます。


Q. 他院で「痩せすぎだから無理」と言われたのですが…

技術力や設備、医師の考え方によって、痩せ型への対応は大きく異なります。
私はこれまでに脂肪が極めて少ない方への脂肪注入も多く手がけており、皮膚の厚みや血流環境を踏まえた“注入層の選定と分散注入”に力を入れています。

「他院で断られてしまった」「痩せているけれど豊胸したい」という方も、まずは一度ご相談ください。
一人ひとりの体型と希望に合わせた、無理のない現実的な治療プランをご提案いたします。


まとめ|痩せ型の脂肪注入豊胸こそ、医師の力量で差がつきます

痩せているからといって、脂肪注入による豊胸をあきらめる必要はありません。
むしろ、痩せ型の患者様にこそ、解剖学に基づいた判断力・微細な手技・適切な注入計画が求められます。

当院では、以下のような強みを活かして、痩せ型の方のバスト形成にも積極的に取り組んでいます:

  • 形成外科で多数の乳房再建を行ってきた経験
  • 乳房の構造と血流を理解した、安全で再現性の高い注入技術
  • 限られた脂肪を最大限に活かす、層ごとのデザイン注入
  • 通常の脂肪注入・コンデンスリッチ両対応で、体型・希望に応じた施術選択が可能

サイズを大きくするだけではなく、「触ったときに柔らかく自然」「服を着たときのシルエットが美しい」
そんな仕上がりを目指すために、一人ひとりのバストの構造と希望に合わせた“オーダーメイド豊胸”をご提案しています。

「脂肪が少ないから無理かも…」と感じた方こそ、一度ご相談ください。

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