鼻整形の手術では自家組織を使う施術が多くあります。
「自家組織」とは、ご自身の身体から採取する軟骨や真皮です。
例えば、「鼻中隔延長では鼻中隔に軟骨を移植し、鼻先を高く、長くする」、「貴族手術では小鼻の付け根に軟骨を入れて持ち上げ立体感を出す」などです。
よく、「移植軟骨はどの軟骨が一番いいか」と聞かれることがあるのですが、
結論は、
「それぞれの軟骨には長所と短所があるため使う目的によって使い分けます。」
本日はそれぞれの軟骨について詳しく解説したいと思います。
移植材料の種類とメリット・デメリット
鼻の手術でよく使用する移植材料は主にこの3つになります。
・耳介軟骨
・肋軟骨
・鼻中隔軟骨
耳介軟骨
耳の後ろにある軟骨です。
耳の付け根のラインに沿って切開します。採取も容易で、傷も目立たないのですが、採取できる量は少ないです。
元々湾曲している、またとても柔らかい軟骨であるため、曲がりやすいです。そのため、軟骨の細工や固定の方法、角度や位置等、正確に移植する必要があります。
▼メリット
・簡単に採取できる
・傷が目立たない
・柔らかいので加工しやすい
▼デメリット
・柔らかいので曲がりやすい
・強度が必要な施術には向いていない
・採取できる量が少ない
肋軟骨
肋骨の一部を構成する軟骨です。
バストの下の付け根からバストに沿って切開し、採取します。
肋軟骨は十分な量の採取が可能ですが、採取する際に前胸部に切開した傷痕が残ります。
肋軟骨は、長期的に見るとワ-ピング現象と言って徐々に曲がってしまうこともありますが、肋軟骨の切り方を工夫したり、無理な延長をしないということが重要です。
▼メリット
・強度があるので大きな変化を出しやすい
・採取できる量が多い
▼デメリット
・胸に傷あとが残る
・将来的に曲がる可能性がある
鼻中隔軟骨
鼻中隔軟骨は鼻の奥にあるため、新たな傷口を作らずに採取することが可能です。
薄いにも関わらず強度がある事が特徴ですが、採取できる量は少ないです。
▼メリット
・新たな傷がつかない
・曲がりにくい
▼デメリット
・鼻の土台(基礎)なので採取することで基礎が弱くなるリスクがある
・元々小さいため採取できる量が少ない
移植軟骨の強度
【耳軟骨<鼻中隔軟骨<肋軟骨】
の順に強固になります。
ただし鼻先はもともと柔軟な可動性のある部位です。鼻先の延長に硬い素材を使用するほど鼻先は固定されて動きにくくなり不自然にみえることがあります。
そして、硬ければ硬いほど、長さや高さをしっかり出すことが出来ますが、その分土台となる鼻中隔軟骨に負担がかかります。土台が負担に耐え切れず曲がってしまうと、当然ながら移植した軟骨も曲がってしまい、鼻が曲がった状態となってしまいます。
そのため、無理な延長をしないということが重要となります。
移植軟骨の曲がりやすさ
移植した軟骨自体が長期的な経過で曲がる可能性もあります。
【耳軟骨>肋軟骨>鼻中隔軟骨】
の順に曲がりやすいと考えられています。
軟骨の細工や固定の方法、角度や位置等、正確に移植する必要があります。軟骨素材それぞれのメリット・デメリットを踏まえた上で延長素材を選択することが重要となります。
実際の症例
症例①鼻先の丸みを自然に解消する団子鼻治療
術式:鼻尖形成、鼻中隔延長(中隔軟骨)、軟骨移植(耳介軟骨)
張り出した軟骨を一部削って鼻中隔軟骨で延長しました。
鼻筋(鼻背)にはダイス状に砕いた耳介軟骨を移植して鼻筋を形成しています。
異物を使用せず自家組織のみで自然な変化が出ました。
症例②顔全体の印象が整う表情が艶めく鼻整形
術式:鼻中隔延長(中隔軟骨)、鼻尖形成軟骨移植、鼻背細片軟骨移植(隆鼻術)
鼻先を中心に鼻筋と小鼻のバランスが取れるように、顔全体の調和が取れた上品な顔立ちを目指しました。肋軟骨なしでお顔の軟骨のみ使用しています。正面からの写真では団子鼻が解消され、鼻先が細くなっているのがはっきりと分かります。
鼻根部と鼻先が低いことでわし鼻のように見える鼻筋でしたが、鼻骨は削らずに高さの足りない部分に細片軟骨を移植することで滑らかな鼻筋になるように調整しています。
小鼻の広がりも気にされていたポイントですが、鼻先を高く前に出すことで小鼻の皮膚を引っ張り膨らんだ印象を減らしています。
症例③圧倒的に可愛くなる
術式:鼻中隔延長、鼻柱鼻翼基部軟骨移植、隆鼻術、鼻尖形成、軟骨移植、全て(自家組織)肋軟骨
鼻の丸みと土台の陥没感でお悩みでした。
鼻翼や鼻柱の根本が凹んでいたのでそのまま前方向に移動させました。鼻先は土台が持ち上がることに合わせて高さを設定しています。鼻先に自然に繋がるように鼻筋の高さを調節します。
施術に使用した材料はすべて肋軟骨と肋軟骨膜です。
鼻柱基部から鼻が高くなることで鼻唇角が大きくなり柔らかい印象になりました。人中も短く見えますね笑っても不自然にならないよう異植物の入れ方も工夫しています。
今回の症例の治療内容について
【症例①】
術式:鼻尖形成、鼻中隔延長(中隔軟骨)、軟骨移植(耳介軟骨)
リスク・副作用
腫れ、内出血、感染、曲がり、左右差、後戻り、違和感、鼻閉感、イメージとの相違、キズあと、肥厚性瘢痕、ケロイド
施術費用
\1,300,000
※これ以外に、検査費用・麻酔費用等がかかることがあります。
【症例②】
術式:鼻中隔延長(中隔軟骨)、鼻尖形成軟骨移植、鼻背細片軟骨移植(隆鼻術)
リスク・副作用
腫れ、内出血、感染、曲がり、左右差、後戻り、違和感、鼻閉感、イメージとの相違、キズあと、肥厚性瘢痕、ケロイド
施術費用
\1,550,000
※これ以外に、検査費用・麻酔費用等がかかることがあります。
【症例③】
術式:鼻中隔延長、鼻柱鼻翼基部軟骨移植、隆鼻術、鼻尖形成、軟骨移植、全て(自家組織)肋軟骨
リスク・副作用
感染、変形、左右差、後戻り、鼻閉、マヒ、可動性の変化、イメージとの相違等
施術費用
\2,000,000
※これ以外に、検査費用・麻酔費用等がかかることがあります。