食欲を抑えたり、糖や脂肪の代謝を改善したりすることで、医学的に体重をコントロールしていく治療です。
医師の管理のもとで安全に行うことで、過度な食事制限やリバウンドを防ぎながら、健康的で持続可能な減量を目指します。
当院では、GLP-1作動薬「リベルサス®」、GIP/GLP-1作動薬「マンジャロ®」、SGLT2阻害薬「カナグル®」の3種類を中心に、患者さま一人ひとりの生活スタイル・体質・目標に合わせた治療をご提案しています。
カナグル(カナグリフロジン)

カナグルは、糖尿病治療薬として開発された「SGLT2阻害薬」です。
腎臓でブドウ糖を再吸収する働きを抑えることで、余分な糖分を尿とともに体外に排出します。糖の排泄が増えることで1日の摂取カロリーが自然と減り、体重減少・脂肪燃焼の促進が期待できます。
食事制限を厳しくしなくても、血糖値や体脂肪をバランスよくコントロールできるのが特徴です。血糖コントロールが改善されることで、倦怠感やむくみ、脂質代謝の乱れも整いやすくなります。
主な効果:体重減少、血糖改善、脂肪燃焼促進、むくみ軽減
服用方法:1日1回、朝食前または朝食後に内服
注意点:脱水を防ぐため、水分をしっかり摂取してください。尿路感染や頻尿が出た場合は医師へご相談ください。
リベルサス(セマグルチド)

リベルサスは、GLP-1受容体作動薬と呼ばれる新しいタイプの経口薬です。
血糖をコントロールするホルモン「GLP-1」を補うことで、食後の血糖上昇を抑え、胃の動きをゆるやかにし、少ない食事量でも満腹感を得やすくします。
「食べたいのに我慢する」ではなく、自然と食欲が落ち着くため、ストレスの少ないダイエットが可能です。また、脂肪肝やコレステロールの改善効果も報告されています。
主な効果:食欲抑制、体重減少、血糖・脂質の改善、脂肪肝改善
服用方法:朝起きてすぐ、コップ半分程度(約120mL)の水で服用。服用後30分間は飲食・他の薬を避けます。
注意点:初回は3mgから始め、体調を見ながら7mg、14mgへと段階的に増量します。吐き気や腹部不快感が出る場合がありますが、多くは一時的です。
マンジャロ(チルゼパチド)

マンジャロは、GLP-1とGIPという2つのホルモンを同時に働かせることで、より強力に食欲を抑え、脂肪代謝を改善する「次世代の注射薬」です。週1回の自己注射で使用し、体重減少効果はGLP-1単剤よりも高いと報告されています。
血糖コントロールだけでなく、内臓脂肪の減少やインスリン感受性の向上も期待でき、肥満を伴う生活習慣病の改善にも有効です。当院では、初回は2.5mgから開始し、体の反応を見ながら段階的に用量を調整します。
主な効果:強力な食欲抑制、体重減少、脂肪代謝の改善、血糖コントロール改善
投与方法:週に1回、自己注射(腹部・大腿・上腕など)。毎週同じ曜日に行うのが理想です。
注意点:吐き気・便秘・腹部の張り感などが出る場合があります。症状が強い場合は医師へご相談ください。
それぞれの薬剤には異なる作用機序と特徴があり、年齢・体質・既往歴に応じて最適な治療法を選択します。
医師のもとで定期的にフォローを行いながら、健康的でリバウンドしにくい身体づくりをサポートいたします。