【専門医が解説】ストラット法と鼻中隔延長の違いは?安定した鼻先をつくるために大切なこと

鼻整形を検討している方の中には、「ストラット法」と「鼻中隔延長、どちらがいいの?」と迷っている方も多いと思います。
どちらも鼻先を支える手術ですが、構造の作り方に大きな違いがあります。

見た目の変化だけでなく、仕上がりの安定性や表情の自然さにも差が出るため、
この違いを理解しておくことはとても大切です。

今回は、形成外科専門医の立場から、
ストラット法と鼻中隔延長の仕組みやメリット・デメリット、そして当院の考え方について詳しく解説します。


目次

ストラット法とは?

ストラット法は、鼻先を下から支えるように軟骨で「柱(ストラット)」を立てる手術です。
この柱によって鼻先の角度や高さを調整し、下がった鼻先や丸い印象を整えます。

実は、鼻中隔延長もストラット法の一種なんです。
ストラット法の中で、柱を鼻中隔軟骨や骨軟骨にしっかり固定するタイプが「鼻中隔延長」と呼ばれます。

一方で、多くのクリニックで“ストラット法”と言われている手術は、
鼻中隔に固定せず、鼻中隔軟骨の前にちょこんと柱を置くだけのケースがほとんどです。
これでも鼻先の形はある程度整いますが、構造的には「添えるだけ」の支えになります。


鼻中隔延長とは?

鼻中隔延長は、鼻中隔の軟骨そのものを延長し、支点を再構築する手術です。
移植した軟骨を既存の鼻中隔に直接縫い合わせ(固定)ることで、
鼻先の角度、高さ、長さを精密にコントロールできます。

つまり、ストラット法の中でも固定を行い、構造的に支えを強化した発展型が鼻中隔延長なのです。
この構造的な支えがあることで、表情を動かしても鼻先がぶれず、長期的に安定した形を保てます。

一方で、単純に「柱を立てるだけ」のストラット法は、
手術直後は形が整っても、時間の経過とともにわずかな沈みや角度の戻りが起きやすい傾向があります。


両者の違いをまとめると

比較項目ストラット法(非固定型)鼻中隔延長(固定型)
支え方鼻中隔前に柱を置く鼻中隔に柱を固定して延長
安定性中程度(時間とともに動くことがある)高い(構造的に固定される)
デザインの自由度高さや角度の微調整向き高さ・角度・長さを正確に設計可能
手術の難易度比較的低い高い(構造理解と技術が必要)
向いているケース軽度の下がり・小修正鼻先を明確に出したい、長期安定を求める

当院の考え方:構造を整えることで自然な動きをつくる

僕のクリニックでは、鼻中隔延長をベースにした構造設計を基本としています。
鼻先のデザインは、単に高くすることよりも「どこに支点を作るか」が最も重要だからです。

支点が不安定なまま形だけ整えると、時間の経過で軟部組織が下がったり、笑ったときに不自然な動きを生じることがあります。
そのため、僕は鼻中隔にしっかり固定した上で、軟骨のバランスを再構築することを重視しています。

こうすることで、笑ったときや会話中の動きまで自然に見え、「動いても美しい鼻」をつくることができます。


鼻が曲がっている場合はCTで構造を確認

鼻中隔延長を行う際には、まず鼻中隔軟骨が曲がっていないかを確認します。
歪みを放置したまま延長してしまうと、支点が傾いた状態で固定され、鼻先が曲がって見える原因になります。

当院では、カウンセリング時に院内でCTを撮影し、軟骨や骨格の状態をその場で確認します。
別日に再カウンセリングを行う必要がないため、構造的な問題をすぐに把握できるのが特徴です。


ストラット法が向いているケースもある

もちろん、すべての方に鼻中隔延長が必要というわけではありません。
軽度な変化やメンテナンス的な修正であれば、非固定型のストラット法でも十分対応できます。

例えば、

  • 鼻先を少しだけ下げたい
  • 軽度のバランス調整をしたい
  • 他院手術後の補強として柱を添えたい
    といったケースでは、ストラット法の方が負担が少なく適しています。

ただし、明確に鼻先を出したい・角度を安定させたい・鼻全体の支えを強化したい場合は、鼻中隔延長を選択する方が長期的に有利です。


鼻中隔延長が難しい・合わない場合

鼻中隔延長がすべての方に向いているわけではありません。
鼻中隔軟骨が小さい方、過去に採取されている方は、耳介軟骨や肋軟骨を組み合わせて再構築する必要があります。

また、肋軟骨移植に抵抗がある場合や、最小限の変化を望む方は、ストラット法で調整することもあります。
重要なのは、手術名よりも「何を支えたいのか」という目的です。


理想の鼻と「似合う鼻」は違う

理想の鼻は「なりたい鼻」、似合う鼻は「骨格に調和する鼻」です。
僕はカウンセリングの際、画像だけでなく顔全体の流れや表情筋の動きを見ながらデザインします。

一人ひとりの構造に合わせて支点を設計することで、
どんな表情でも自然に見える「似合う鼻」が作れると考えています。


まとめ

ストラット法と鼻中隔延長は、どちらも鼻先を支えるための方法ですが、構造の支え方が異なります。
簡単にまとめると──

  • ストラット法:柱を添えるだけの“簡易的な支え”
  • 鼻中隔延長:鼻中隔に柱を固定し、“支点そのものを再構築”

短期的な変化や軽度な調整にはストラット法でも対応できますが、
長期的に安定し、自然な動きを保つには鼻中隔延長が最も有効です。

僕は、「静止した美しさ」ではなく「動いたときも美しい鼻」を目指しています。
そのために、構造から整える──これが前田式フェイスデザインの根幹です。

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