年齢を重ねるごとに「頬の位置が下がってきた」「フェイスラインが四角くモタつくだけでなく、皮膚そのものが余って伸びているように感じる」といったお悩みを抱える方は少なくありません。
美容医療において、たるみ治療やリフトアップを成功させるために、絶対に避けて通れない非常に重要な解剖学のキーワードがあります。それが、顔の土台を支える組織「リガメント(顔面靭帯)」です。
どれだけ表面的なスキンケアを行っても、土台であるリガメントが緩んでしまっていては、重力に逆らって若々しい輪郭をキープすることはできません。今回は、リガメントが持つ役割をはじめ、緩みが引き起こすたるみの原因、そして当院(MAe Clinic)でご用意している最新機器から高度な切る手術にいたるまでの、解剖学に基づいたアプローチについて形成外科専門医の視点から分かりやすく解説します。
顔のたるみを防ぐ柱「リガメント(顔面靭帯)」とは?
リガメント(Ligament)とは、英語で「靭帯(じんたい)」を意味する言葉です。
お顔の構造は、表面から順に「皮膚」「皮下脂肪」「表情筋(およびSMAS筋膜)」「骨」という層が重なってできています。リガメントは、これら何層にも重なる組織を貫通し、「骨と皮膚(あるいは筋肉)を強固に繋ぎ止めている、繊維状の頑丈な柱」のような役割を果たしています。家で例えるなら、壁や天井が崩れ落ちないようにしっかりと固定している「大黒柱」や、組織が重力で雪崩のように落ちていくのを防ぐ「くい(杭)」のような存在です。
加齢によるリガメントの変化とたるみのメカニズム

若い頃のリガメントは、太く、ゴムのようにしなやかな弾力があり、脂肪や皮膚を正しい位置にしっかりと留めています。 しかし、加齢や紫外線、骨の萎縮などによってこの柱が徐々に細く伸びたり、支える力が緩んだりしてしまいます。柱が緩むと、その周囲にある脂肪や皮膚を支えきれなくなり、重力に負けて下方向へと一気に下垂します。これが、お顔のシワやたるみが引き起こされる根本的なメカニズムです。
リガメントの緩みが引き起こす「4大たるみスポット」
顔の中には、特に重要なリガメントがいくつか存在します。どの柱が緩むかによって、お顔のどこのパーツに老け見えの原因(たるみ・シワ)が出現するかが決まります。
- ① 眼輪筋リガメント(目の下周辺)
- 緩むとどうなる?: 目の下の皮膚や脂肪を支えられなくなり、目の下のクマ、目袋(ぽっこりとした脂肪の膨らみ)や、その下のシワを目立たせる原因になります。
- ② 頬骨リガメント(頬・ゴルゴライン周辺)
- 緩むとどうなる?: 頬の高い位置にあった脂肪が下がり、頬の中央を斜めに横切る「ゴルゴ線(ゴルゴライン)」が出現します。顔の重心が下がるため、全体的に疲れたような印象を与えます。
- ③ 咬筋リガメント(口元・ほうれい線周辺)
- 緩むとどうなる?: 頬の上部にあった脂肪が口元に向かって一だ垂れ落ち、深いほうれい線や、口角から下に伸びるマリオネットラインを形成します。
- ④ 下顎リガメント(フェイスライン・顎下周辺)
- 緩むとどうなる?: 口横の脂肪(ジョウルファット)のストッパーが外れるため、脂肪が顎先へ向かって流れ落ち、シャープだったフェイスラインが四角くモタつく原因になります。
リガメントの衰えを加速させる「日常のNG習慣」に注意
一度伸びてしまったり、弾力を失ってしまったりしたリガメントは、残念ながらセルフケアやマッサージで元に戻すことはできません。
そればかりか、良かれと思って行う「自己流の強いリフトアップマッサージ」や「美顔ローラーによる摩擦・強い圧迫」は、骨と皮膚を繋ぎ止めている繊細なリガメントを自ら引っ張って引きちぎり、余計に引き伸ばしてしまう原因になります。リガメントへの負担を減らすためには、摩擦を避け、急激な体重の増減(脂肪のボリュームの急変)による負荷をかけないことが医療の視点からは極めて大切です。
解剖学に基づいたリガメントへの治療アプローチ
美容医療において、リガメントの緩みやその周囲のたるみを根本的に解決するためには、お顔の構造(解剖学)を正しく理解したアプローチが不可欠です。治療法は大きく「切らない治療(機器)」と「切る手術」に分かれます。
アプローチ1:切らない機器治療(マイルド〜中等度のたるみ・予防)

まだ皮膚の余りがそれほど強くなく、リガメント周辺の「組織の緩み」をキュッと引き締めたい段階では、最新の機器治療が非常に効果的です。高周波(RF)や超音波(HIFU)といった熱エネルギーを照射することで、リガメントが結合している真皮層、脂肪層、SMAS筋膜を熱収縮させ、土台からタイトニングを行います。
アプローチ2:切る手術(確実なリフトアップ・重度のたるみ)

年齢とともに皮膚自体が明らかに伸びて余ってしまっている場合や、リガメントが完全に伸びきって下垂している場合は、機器治療での改善には限界があります。 本格的な「切る手術」では、下垂のブレーキとなっている硬いリガメントを一度外科的に適切に切離(リリース)し、奥にあるSMAS筋膜や皮膚組織を本来の若々しい位置まで引き上げた上で、再度強固に固定し直すという根本的な処置を行います。これが、解剖学に基づいた最も効果的で後戻りのないリフトアップ手術の仕組みです。
【実際の症例にみる】お顔全体の土台を再構築する「複合アプローチ」の威力

当院で行われたフェイスリフト手術の症例でも、この「リガメントの適切な処置」が仕上がりを大きく左右しています。
加齢によって骨と皮膚を繋ぐ柱(リガメント)が緩むと、脂肪や筋膜が雪崩のように下がり、深いマリオネットラインや四角くたるんだフェイスライン、首元のモタつきを引き起こします。
術式では、下垂のブレーキとなっている硬いリガメントのストッパーを適切に解除し、たるみの根本原因である「SMAS筋膜」を元の高い位置へと引き上げて再配置します。この緻密な操作を行うことで、表面の皮膚を無理に引っ張ったような不自然さが一切ない、滑らかで自然な若返りが実現します。傷跡も髪の毛の中や耳のラインに沿わせるため、傷跡が綺麗に馴染み、周囲に気づかれることなく本来のシャープな輪郭を取り戻すことができます。
MAe Clinicのたるみ治療:専門医の知見に基づく最適な輪郭・リフトアップメニュー
MAe Clinicでは、「切らずにまずは手軽に土台を引き締めたい」という方から、「余った皮膚や緩んだリガメントを根本から処置して劇的に若返りたい」という方まで、形成外科専門医の確かなアセスメントのもと、幅広い選択肢から最適な治療をご提案しています。
当院でご用意している、解剖学に裏付けられたリフトアップメニューをご紹介します。
① 切らない最新機器によるタイトニング・リフトアップ
事前の診察でお顔の脂肪の付き方や皮膚の厚みを見極め、適切な出力設定で丁寧に照射を行います。
- 最新RF(高周波)機器「オリジオ(Oligio)」: 真皮〜脂肪層を立体的に引き締め、口元のモタつきやフェイスラインをシャープに整えます。
- 最新HIFU(超音波)機器「ウルトラセルQプラス」: リガメントの根元でもある深い「SMAS筋膜」をピンポイントで熱収縮させ、土台からグッと引き上げます。
② 解剖学の粋を集めた高度な「フェイスリフト手術」
当院では、お顔の解剖構造や神経、血管の走行を熟知した形成外科専門医が、患者様一人ひとりのたるみの度合い、骨格、ライフスタイルに合わせて、最も効果的で後戻りの少ない高度な術式を選択いたします。
- ハイブリッドフェイスリフト
髪の毛の中を2〜3cm程度小切開し、皮膚や脂肪の土台である「SMAS筋膜」からしっかりと引き上げた上で、さらに糸リフトを併用する当院独自の術式です。糸を組み合わせることで引き上げたSMAS層を組織へ強固に癒着させ、本格的なリフトアップ効果を実現しながらも、傷跡を最小限に抑えてダウンタイムを短縮できるのが大きな特徴です。 - SMASフェイスリフト
たるみの土台であるSMAS筋膜を引き上げ、強固に固定する王道の術式です。皮膚だけを引っ張るのではなく、土台からしっかりとリフトアップするため、高い効果と持続力が期待できます。 - MACSフェイスリフト
耳の前あたりの最小限の切開で、緩んだ組織を巾着のように縛り上げて引き上げる術式です。比較的負担が少なく、フェイスラインや首のたるみの改善に効果的です。 - フェイスリフト(ディーププレーン)
リガメントを確実に剥離(リリース)し、筋膜のさらに深い層から組織全体を本来の位置へと根本的に再配置する術式です。重度のたるみや、他の術式では効果が限定的であった場合でも、劇的な若返りと圧倒的な持続力を誇ります。 - パーツ別リフトアップ手術
- こめかみリフト:目尻や頬の上部のたるみを引き上げ、若々しい目元を形成します。
- 前額リフト:おでこのシワや眉の下がりを改善し、明るい表情を作ります。
- ネックリフト:首のシワやたるみ(七面鳥のようなたるみ)を改善し、すっきりとした首筋へと導きます。
- ミッドフェイスリフト:頬の中央(ミッドフェイス)の下がりを改善し、ゴルゴ線を薄くしたり、頬に若々しい丸みを取り戻したりします。
- 輪郭・パーツを整えるコンビネーション処置
- バッカル吊り上げ:口横の膨らみの原因となる脂肪(バッカルファット)を、より高い位置に固定し直すことで、フェイスラインをシャープにします。
- ほうれい線剥離・サブシジョン:深いほうれい線や、過去の治療でできた瘢痕(しこり)を剥離し、シワを薄くします。
当院のカウンセリングでは、患者様のお悩みにじっくりと耳を傾け、現在の状態を医学的な視点から客観的に診断することを何よりも大切にしています。
「自分のたるみは機器で十分に引き締まるレベルなのか、それとも手術を検討すべき段階なのか」という疑問に対しても、診察結果に基づいた本当に適切な選択肢を誠実にお伝えいたします。まずはご自身のお顔の構造を知ることから、安心してお気軽にご相談ください。
まとめ
お顔のリフトアップを検討する際は、表面だけを引き上げるのではなく、「顔の柱であるリガメント(靭帯)や土台がどうなっているか」という解剖学的な視点を持つことが、後悔しない治療選びの最大の近道です。
毎朝鏡を見るたびにため息をついてしまうようなたるみのお悩みも、原因に合った正しいアプローチ(オリジオ・ウルトラセルQプラスなどの機器治療、あるいは各種フェイスリフト手術)を施すことで、本来のすっきりとした美しい輪郭を取り戻すことができます。
当院では、皆様が安心して一歩を踏み出せるよう、丁寧な診察と誠実な医療を徹底しております。まずはご自身のお顔の構造を知ることから、カウンセリングのみでもどうぞお気軽にご相談ください。皆様のご来院を心よりお待ちしております。



