美容外科医として日々の診療に携わる中で、お顔の輪郭に関するご相談をいただく機会は非常に多くあります。「ダイエットをしても顔の脂肪だけがどうしても落ちない」「二重アゴのせいで実年齢より老けて見える」といった悩みは、努力だけでは解決しにくいものです。
今回は、顔の脂肪吸引(頬・顎下)におけるメリットや、術前に理解しておくべきリスク、そして理想の仕上がりを実現するためのポイントについて解説します。
顔の脂肪吸引(頬・顎下)がもたらす効果とメリット

お顔の脂肪吸引は、ただ単に脂肪を減らすためだけの治療ではありません。その方の骨格が持つ本来の美しさを引き出し、スッキリとしたフェイスラインを作るための方法です。
ダイエットでは落ちにくい「頑固な脂肪」へのアプローチ
頬や顎の下の脂肪は、体の中でも特にダイエットの効果が出にくい場所と言われています。食事制限や運動で体重が落ちても、お顔のボリュームだけが変わらずに悩んでいる方は少なくありません。脂肪吸引は、こうした「自力では落としきれない脂肪」を直接取り除くことができるため、効率的に小顔を目指すことが可能です。
輪郭が整うことで生まれる「締まりのある」印象
顎の下の脂肪がなくなることで、今まで隠れていた顎の骨のラインがくっきりと現れます。お顔と首の境目がはっきりすると、首が長く見えるようになり、お顔全体の印象がグッと引き締まります。また、頬の余分な重みを減らすことで、将来的なたるみの予防にもつながり、若々しい印象を長く保つことができるようになります。
永久的な効果とリバウンドの心配について
この手術の大きな特徴は、脂肪細胞の数そのものを確実に減らすことができる点です。ダイエットは一つひとつの脂肪細胞を小さくするだけなので、生活習慣によって再び大きくなる(リバウンドする)可能性があります。しかし、脂肪吸引で細胞の数自体が少なくなれば、術後に極端な体重増加がない限り、再び以前のような状態に戻る心配はほとんどありません。
理想の輪郭を作る「頬」と「顎下」の脂肪除去メカニズム

手術では、「カニューレ」と呼ばれる極細の吸引管を挿入して、丁寧に脂肪を吸い出していきます。単に吸い出すだけではなく、お一人おひとりの骨格に合わせた緻密なデザインが重要です。
頬の脂肪:将来を見据えたボリューム調整
頬のエリア、特に口の横に溜まる脂肪は、年齢とともに下垂して「ブルドッグ顔」の原因になります。ここを適切に処理することで、スッキリとしたフェイスラインを作ります。ただし、頬の中央部は吸いすぎてしまうと、お顔がゲッソリとこけてしまい、老けた印象を与えてしまいます。私は、その方の10年後、20年後の姿も想像しながら、残すべき脂肪をミリ単位で見極めるようにしています。
顎下の脂肪:皮膚の引き締め(タイトニング)
顎の下の脂肪吸引では、脂肪を取るのと同時に、皮膚を内側の筋肉に馴染ませるように整えます。脂肪という隙間をなくすことで、皮膚がピタッと吸い付くように引き締まる「タイトニング効果」が期待できます。これにより、二重アゴを解消するだけでなく、お顔の下半分がシャープで洗練された印象に変わります。
極細のカニューレでお顔への負担を抑える
お顔は非常に繊細な組織でできています。当院では、組織へのダメージを最小限に抑えるため、非常に細いカニューレを使用しています。周囲の血管や神経を傷つけないよう、指先の感覚を研ぎ澄ませて優しく操作することで、術後の腫れや内出血を抑え、表面に凸凹ができない滑らかな仕上がりを追求しています。
【症例解説】術後1.5ヶ月で変化するフェイスラインの実際
実際の変化を、術後1.5ヶ月の経過写真とともに解説します。こちらの写真は、頬と顎下の脂肪吸引を行ってから、およそ1.5ヶ月が経過した際の様子です。


手術から1.5ヶ月経つと、大きな腫れはすっかり落ち着き、フェイスラインの変化が目に見えて分かるようになります。この時期は、皮膚が少し突っ張るような硬さを感じる「拘縮」という現象が起こりますが、これは組織が順調に治っている証拠です。この硬さが和らぐにつれて、さらにラインが馴染んでいきます。
変化のポイント:下顎のラインと横顔の美しさ
Beforeの写真では顎下がふっくらとしていましたが、Afterでは耳の下から顎先にかけてのラインがシャープに出ているのが確認できます。特に横から見た際に、顎下の厚みがなくなることで「Eライン(鼻先と顎先を結んだライン)」が整い、立体感のある美しいシルエットになりました。
失敗を防ぐための注意点|「取りすぎ」による頬のこけとリスク
メリットの多い脂肪吸引ですが、一方で「やりすぎ」がもたらすリスクについても、正しく理解していただかなければなりません。
頬のこけと「老け見え」への警戒
私がカウンセリングで最も慎重にお伝えしているのが、「取りすぎることの怖さ」です。お顔の脂肪は、適度にあることで若々しさや柔らかな印象を保ってくれます。良かれと思ってたくさん吸いすぎてしまうと、お顔が不自然に窪んでしまい、実年齢よりも老けて見えたり、疲れたような印象を与えたりすることになります。一度失った脂肪を元に戻すのは非常に難しいため、将来のことを見据えた判断が不可欠です。
リガメント(維持靭帯)の保護
お顔の皮膚を支えている「リガメント」という組織があります。この周辺の脂肪を無理に取ってしまうと、皮膚を支える力が弱まり、かえって将来のたるみを早めてしまう恐れがあります。お顔を支える「柱」を大切にしながら、余分な脂肪だけをターゲットにすることが、私のこだわりです。
皮膚の凸凹と左右差を防ぐ技術
脂肪を吸う層が均一でないと、表面に細かい凸凹が生じることがあります。また、人間のお顔にはもともと左右差がありますが、それを考慮せずに同じ量だけを吸引してしまうと、術後にバランスが崩れて見える原因になります。ミリ単位の微調整こそが、仕上がりの質を左右するのです。
まとめ
お顔の脂肪吸引は、適切に行えばフェイスラインをすっきりさせる効果が期待できる治療です。ただし、お顔は一生付き合っていく大切な部位です。流行や「とにかく細くしたい」という思いだけで治療を決めるのではなく、ご自身の骨格やバランスに合った方法を選ぶことが重要だと私は考えています。
私が大切にしているのは、単に脂肪を減らすことではありません。その方の骨格や筋肉のつき方、皮膚の厚みまで含めて診察し、不自然にならない範囲でバランスよく整えることです。目指すのは、劇的に別人になる変化ではなく、「なんとなく垢抜けた」「フェイスラインがきれいになった」と感じてもらえるような自然な仕上がりです。
また、脂肪吸引はダウンタイムの経過も重要です。術後1〜2か月で大きな腫れは落ち着きますが、本当の完成は半年から1年ほどかけてゆっくり整っていきます。長期的な経過を見据えたデザインとアフターケアが、満足度を大きく左右します。
輪郭に悩みがある場合でも、必ずしも脂肪吸引が最適とは限りません。脂肪の量、皮膚のたるみ、骨格の問題など、原因によって適した治療は異なります。まずは専門的な診察を受け、ご自身に合った方法を知ることが大切です。
気になることがあれば、カウンセリングでしっかりとご説明いたします。フェイスラインや顔の脂肪で悩んでいる方はお気軽にご相談ください。
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