「目頭切開を検討しているけれど、ネットで調べるとZ法、W法、リドレープ法など色々な名前が出てきて、どの方法が一番いいのか分からない…」
カウンセリングでは、このようなご相談を非常に多くいただきます。情報過多な時代だからこそ、何が自分にとっての正解なのか迷ってしまうのは当然のことです。
現在、日本の美容外科で主流となっている目頭切開の術式は、主に「Z法」と「リドレープ法」の2種類です。
この2つに、どちらかが絶対的に優れているという優劣はありません。それぞれに「得意なデザイン」と「どうしても生じてしまう苦手な部分」が存在します。
大切なのは、術式名だけで判断するのではなく、「あなたの理想とする目元」と「現在のまぶたの状態(蒙古ひだの強さ)」を照らし合わせ、最適な方法を選択することです。
今日は、これら2つの術式の決定的な違いと、当院がどのようにそれぞれの弱点を技術でカバーして手術を行っているのかを解説します。
目頭切開のスタンダード「Z法」の特徴
Z法は、古くから行われている目頭切開の代表的な術式です。目頭の皮膚をアルファベットの「Z」の字に切開し、上下の三角形の皮膚を入れ替える(皮弁形成)ことで、突っ張りを解除して目頭を露出させます。

Z法のメリット:なぜ「形」を作るのが得意なのか
Z法の最大の特徴は、その「強力な変化率」にあります。
- 「ツン」としたシャープな目頭を作りやすい
皮膚を立体的に入れ替えるため、目頭の角を鋭角に尖らせる力が非常に強いです。キリッとした大人っぽい印象や、華やかな目元を目指す場合に適しています。 - 平行二重へのアプローチが強力
平行二重を阻害する最大の要因である「蒙古ひだの強い突っ張り」をダイレクトに解除できます。これにより、二重のラインが目頭側までしっかり入り込む、綺麗な平行型を作りやすくなります。
Z法のデメリット:避けて通れない「傷」の問題
一方で、Z法には構造上避けられない懸念点があります。
- 傷跡が顔の前面に来る
これが最大のデメリットです。デザイン上、目頭のすぐ横の「人から見える位置」に切開線が来ます。もちろん、丁寧な縫合と時間経過で最終的には白く細い線になり、メイクで隠せる程度にはなりますが、「傷跡が絶対にバレたくない」という方には心理的なハードルとなります。 - 窪み(ステップバック)のリスク
皮膚を入れ替えた際に、厚みの違いによって段差が生じ、目頭部分が少し凹んで影に見えてしまうリスクがあります。これを防ぐには高度な技術が必要です。

傷跡を克服する術式「リドレープ法」の特徴
リドレープ法は、比較的新しい概念に基づく術式で、近年非常に人気が高まっています。「Redrape=再び覆う」という名の通り、一度皮膚を剥がして位置を調整し、余分な皮膚を処理する方法です。

リドレープ法のメリット:圧倒的な「傷の目立ちにくさ」
私がこの方法を第一選択とすることが多い理由は、このメリットにあります。
- 傷が「縁(キワ)」に隠れる
Z法とは異なり、切開線が目頭のピンク色の部分(涙丘)の縁ギリギリに沿うようにデザインされます。顔の前面に長い傷が出ないため、術直後であっても赤みが目立ちにくく、抜糸後の回復も非常に自然に見えます。「整形した感」を極力抑えたい方には最適な方法です。 - 自然な変化の調整が得意
蒙古ひだの被さりを「取り除く」イメージの手術なので、目と目の距離を近づけすぎずにひだだけをスッキリさせたい、という微調整に適しています。
リドレープ法のデメリット:構造上の「弱点」
傷が目立たない反面、形を作る上ではいくつかの弱点があります。
- 目頭が丸くなりやすい
皮膚を入れ替えて鋭角を作るZ法とは違い、リドレープ法は仕上がりの目頭がやや丸みを帯びやすい傾向があります。 - 平行二重が作りにくい場合がある
目頭側の引き込みを強く作る力がZ法より弱いため、蒙古ひだが非常に強い方の場合、リドレープ法だけでは綺麗な平行二重になりにくいことがあります。 - ダウンタイムの腫れがやや強い
皮膚の下を広く剥離して移動させるため、Z法と比較すると術後の腫れや内出血が少し強く出たり、長引いたりする傾向があります。

【徹底比較】Z法 vs リドレープ法|決定的な違いは「傷の場所」
患者様が最も気にされる「傷跡」と「仕上がり」の違いを、視覚的に整理しましょう。
| 比較項目 | Z法 | リドレープ法 |
| 目頭の形 | シャープ・鋭角・ツンとする | 自然・やや丸みが出やすい |
| 平行二重 | 作りやすい(強力に解除) | やや作りにくい(調整が必要) |
| 傷の場所 | 顔の前面(見える位置)に出る | 目頭の縁(隠れる位置)に沿う |
| 傷の目立ち | 直後は目立つ。最終的には馴染む | 直後から目立ちにくい |
| ダウンタイム | 比較的短い | 剥離範囲が広いため長引く傾向 |
実際の「傷の位置」を可視化する
文字の説明だけではイメージが湧きにくいと思いますので、実際のデザインで比較してみます。

さらに、術直後の最も傷が目立つ時期の写真も比較してみましょう。

このように、傷跡のストレスを最小限にしたいのであればリドレープ法が圧倒的に有利であることが分かります。
患者様の希望に合わせた「デザインの使い分け」
リドレープ法には「傷跡が目立ちにくい代わりに、仕上がりがやや丸みを帯びやすい」という特性があります。この丸みは、優しく自然な印象を求める方にとっては大きなメリットとなりますが、シャープでキリッとした目元を希望される方にとっては、物足りなさを感じる要因にもなり得ます。
私は、傷跡のリスクを最小限に抑えるためにリドレープ法を第一選択としていますが、一律に同じ形を作ることはしません。患者様がどのような印象を目指したいかに合わせ、手技を調整しています。
リドレープ法:丸みを活かすか、シャープさを出すか
リドレープ法を用いる場合でも、内部処理の工夫によって目頭の角度をコントロールすることは十分に可能です。
- 自然・柔らかな印象を希望する場合: リドレープ法本来の特性を活かし、角を立てすぎないデザインを行います。蒙古ひだの被さりだけを適切に取り除くことで、整形した感のない、生まれつきのような自然な目元に仕上げます。
- シャープ・華やかな印象を希望する場合: ただ皮膚を移動させるだけでなく、皮膚の下にある筋肉(眼輪筋)や靭帯の処理を工夫し、内部から目頭を鋭角に引き込む操作を加えます。これにより、傷を縁に隠しながらも、ツンとした形や平行二重への誘導を目指します。
Z法:確実な変化と傷跡への配慮
蒙古ひだが非常に強く、確実にシャープな形や幅広の平行二重を作りたい場合には、Z法を選択することもあります。
Z法は傷が顔の前面に出るという懸念点がありますが、切開線の角度や長さをコンマ数ミリ単位で調整することで、傷跡が皮膚のシワや影に同化するようにデザインを徹底します。また、段差や窪みが出ないよう丁寧な内部処理と縫合を行い、リスクを最小限に抑えるよう努めています。
失敗しないための術式選びとダウンタイム
あなたに適した術式は?判断の目安
最終的な決定は診察で行いますが、ご自身の希望と照らし合わせてみてください。
- 「傷跡が絶対にバレたくない」「自然な変化がいい」 → リドレープ法が第一選択です。
- 「多少の傷は覚悟の上で、とにかく華やかでシャープな目元になりたい」 → Z法を検討する価値が十分にあります。
知っておきたいダウンタイムのリアル
どの術式であっても、ダウンタイムは必ず存在します。
- 術後〜抜糸(5〜7日目): 糸が付いている状態です。目頭に黒い糸が見えますが、リドレープ法の場合は縁にあるので遠目には分かりにくいです。メイクは目元以外可能です。
- 抜糸直後〜1ヶ月: 傷跡が最も赤く硬くなる時期です(瘢痕のピーク)。コンシーラーなどで隠せますが、すっぴんでは赤みが分かります。Z法の方が赤みが目立ちやすい傾向があります。
- 3ヶ月〜半年: 赤みが引き、白い細い線へと変化していきます。ほぼ完成です。
まとめ
同じ「目頭切開」でも、方法によって経過や仕上がりは微妙に異なります。
ネット上の情報を見て「私は絶対〇〇法がいい!」と決めつけてしまうのは危険です。なぜなら、あなたのまぶたの状態によっては、希望する術式が適していない可能性もあるからです。
重要なのは、一つの術式に固執することなく、それぞれのメリット・デメリットを深く理解し、弱点をカバーできる技術を持った医師に相談することです。
当院では、カウンセリングであなたの理想をじっくりお聞きし、まぶたの状態を触診した上で、最も適した方法を提案します。傷跡の不安、形の希望、どんなことでも遠慮なくご相談ください。

施術情報
- 施術名: 目頭切開(Z法 / リドレープ法)
- 定価:36万円(税込)
- ※モニター割引制度あり(要審査。詳細はお問い合わせください)
- リスク・副作用・合併症:
- 腫れ、内出血(通常1〜2週間程度)
- 左右差(元々の骨格や目の形による限界があります)
- イメージ違い(事前のシミュレーションが重要です)
- 感染、傷あとの赤み・硬さ(数ヶ月かかります)
- 後戻り(多少の後戻りは計算に入れてデザインします)





