鏡を見るたびに気になってしまう目頭の突っ張りや、離れ目。 改善のために目頭切開を検討しつつも、いざ手術が現実的になると、手術そのものより「術後の過ごし方」が心配になるという方は非常に多いです。
「仕事は何日休めばいいのか」 「目の内側に黒い糸がついている期間、周囲にどう思われるか」 「糸を取る時(抜糸)の痛みはどのくらいか」
カウンセリングでは、デザインのシミュレーションと同じくらい、この「術後の糸(抜糸)」に関するご質問を多くいただきます。 鏡を見るたびに黒い糸が見える1週間は、精神的にも長く感じる期間だと思います。
しかし、この「糸がついている期間」と「抜糸のタイミング」は、傷跡が目立たず綺麗に治るか、それとも跡が残ってしまうかを左右する、非常に重要な期間です。
今回は、これから目頭切開を受ける方、あるいは今まさにダウンタイム中の方に向けて、「目頭切開と抜糸」について、実際の動画や経過写真をお見せしながら、解説していきます。
なぜ「5日〜7日」なのか?抜糸のタイミングにこだわる理由
まず、最も多いご質問である「抜糸の時期」についてです。
当院を含め、多くの美容外科クリニックでは目頭切開の抜糸を「術後5日目〜7日目」に設定しています。 お仕事の都合などで「3日で取りたい」と希望される方や、逆に「しっかりくっつくまで10日ほど置いてほしい」と希望される方もいらっしゃいますが、基本的にはこの「5日〜7日」という期間を推奨しています。
これには、皮膚の治癒過程に基づいた明確な理由があります。
早すぎると「傷が開く」リスク
皮膚の表面(表皮)は、縫合してから48時間程度で癒着し始めますが、皮下の組織までしっかりと結合するにはもう少し時間がかかります。
特に目頭という部位は、瞬きや表情の変化によって、常に皮膚が引っ張られる(張力がかかる)場所です。 組織が完全に結合する前に糸を抜いてしまうと、ふとした拍子に傷口が開いてしまったり(創離開)、傷の幅が広がって太い傷跡(肥厚性瘢痕)になってしまうリスクが高まります。
遅すぎると「糸の痕が残る」リスク
では、長く置いておけば安心かというと、そうではありません。
糸を長く留置しすぎると、糸が皮膚に食い込んでしまい、ハシゴ状や線路状の痕が残ってしまうことがあります。 一度この痕がついてしまうと、後から修正することが非常に困難です。傷跡を目立たなくするために手術をしたのに、糸の痕が残ってしまっては本末転倒です。
5日〜7日という期間の根拠
つまり、抜糸の適切なタイミングとは、以下の2つの条件を満たす期間です。
- 傷が開かない強度を保てる時期(早すぎてはいけない)
- 糸の痕が残る前の時期(遅すぎてもいけない)
このバランスが取れるのが、術後5日〜7日です。 この期間を守っていただくことが、将来的に傷跡を目立たなくするための条件となります。
目頭切開の糸は目立つ?「リドレープ法」がバレにくい理由
次に、「抜糸までの1週間、黒い糸がついた状態でどう過ごすか」という点について解説します。
術式による「目立ち具合」の違い
同じ糸を使用していても、「どの術式で手術したか」によって、糸の見え方は大きく異なります。
- Z法・W法の場合: これらの術式は、目頭の皮膚の表面に切開線が入ります。顔の正面に糸が来るため、糸がついている期間は比較的目立ちやすくなります。
- リドレープ法の場合: 私が主に行っているリドレープ法(韓流目頭切開)は、傷跡を目頭の縁(内眼角)のギリギリ、あるいは内側に隠れるようにデザインします。 そのため、糸がついていても正面からはほとんど見えません。Z法などに比べてダウンタイム中のストレスが少ないのが特徴です。
「メガネをかけていれば、職場で隣の席の人にも気づかれなかった」という患者様も多くいらっしゃいます。
一番気になる「抜糸の痛み」について
続いて、痛みに弱い方が最も心配される「抜糸時の痛み」についてです。 麻酔なしで行う処置ですので、不安に思うのは当然です。
実際の痛みは「毛抜き」程度
痛みに関しては個人差がありますが、激痛ではありません。 多くの方が「毛抜きで眉毛を抜く時のような、一瞬チクッとする感じ」「皮膚を少し引っ張られるような感覚」と表現されます。
痛みを最小限にする技術
実際の抜糸の様子を動画でご覧ください。 私が抜糸を行う際は、必ず高倍率の拡大鏡(ルーペ)を使用します。糸の結び目を正確に捉え、皮膚を無駄に引っ張ることなく、鋭利なハサミで切ります。
拡大鏡で糸だけを捉え、皮膚を引っ張らないように切っています。片目あたり数十秒程度で終了します。 (※動画は眼瞼下垂の手術も同時に行った方の抜糸風景ですが、目頭切開部分の抜糸も同様の手順で行います)
このように、器具を使ってスムーズに行えば、痛みは最小限で済みます。 「あっという間に終わった」と仰る方がほとんどですので、リラックスして受けていただければと思います。
抜糸後の「赤み」と「硬さ」について
抜糸が終わればダウンタイム終了と思われがちですが、傷跡の治癒過程としては、ここからが重要です。 「糸を取ったのに傷が赤い」「触ると硬い」と感じることがありますが、これは正常な反応です。
経過①:手術直後(糸がついている状態)
- 解説: 手術直後の様子です。黒い糸がついていますが、リドレープ法のため傷が目のキワに隠れており、パッと見ではそこまで目立ちません。
経過②:抜糸直後(術後5日〜7日目)
- 解説: 抜糸直後です。糸がなくなりスッキリしましたが、傷跡はまだ赤みがあり、少し線のように見えます。ここから翌日にはメイクが可能になります。
経過③:術後1ヶ月
- 解説: 術後1ヶ月の様子です。 術後1ヶ月の経過です。まばたきの動きを見ても、傷跡の硬さによる不自然な食い込みや引き連れはほとんどありません。 赤みもすでに引いており、1ヶ月目にしてすでにナチュラルな状態に馴染んでいます。
この時期に一番大切なケアは「摩擦を避けること」
この時期に避けていただきたいのは、「摩擦」です。 傷跡が気になって触ったり、コンシーラーを落とすためにクレンジングで強く擦ったりすると、炎症が長引いて傷跡が目立ちやすくなります。
特別なクリームなどは必要ありません。「触らない、擦らない」を守っていただくことが、半年後の仕上がりを綺麗にするための近道です。
よくある質問(Q&A)
最後に、診察室でよく聞かれる具体的な疑問にお答えします。
Q. 抜糸までの間、洗顔やお風呂はどうすればいいですか?
A. 当院では、当日からシャワーが可能です。洗顔も翌日から可能です。目元の糸がついている部分は、清潔に保つことが大切ですが、ふやかしすぎるのも良くありません。長時間の入浴やサウナは抜糸まで控えていただき、目元は濡れたガーゼなどで優しく拭き取る程度にしてください。
Q. 仕事や学校にはいつから行けますか?
A. デスクワークであれば、翌日から復帰される方も多いです。糸がついている期間(約1週間)は、縁が太めの伊達メガネをかけると目立ちにくくなります。
Q. 抜糸の翌日から本当にメイクしていいんですか?
A. はい、翌日から可能です。メイクオフの際は、絶対に擦らず、ポイントメイクリムーバーを染み込ませて浮かせて落としてください。
まとめ
目頭切開において、手術そのものの精度と同じくらい重要なのが、術後1週間の管理と適切なタイミングでの抜糸です。
- 抜糸時期の遵守: 傷跡の離開と糸の痕の両方のリスクを最小限に抑えるため、医学的根拠に基づいた「術後5〜7日」の抜糸を徹底しています。
- 処置の精密さ: 拡大鏡を用いた丁寧な抜糸を行うことで、処置時の痛みだけでなく、皮膚への物理的なダメージも最小限に留めます。
- 早期の自然な馴染み: 適切な術式(リドレープ法)を選択することで、今回の症例動画のように術後1ヶ月という早い段階から、周囲に気づかれないほど自然なまばたきと目元の馴染みを実現することが可能です。
抜糸までの1週間は、日常生活において多少の不便を伴うかもしれません。しかし、その後の長い人生を共にする目元を一生モノの綺麗な仕上がりにするためには、この期間の正しい処置が欠かせないステップとなります。
「ダウンタイムが取れない」「傷跡が残るのが怖い」という不安は当然のものです。カウンセリングでは、デザインだけでなく、術後の経過や生活上のケアについても詳しくご説明します。納得した上で治療に臨んでいただけるよう、誠実にサポートさせていただきます。






