涙袋ヒアルロン酸が原因でクマができる?!クマで埋もれた涙袋を蘇らせる、裏ハムラ法について

「涙袋を作って、もっと可愛らしい目元になりたい」 そう願ってヒアルロン酸を入れたはずなのに、鏡を見た時にこんな違和感を抱いたことはないでしょうか?

  • 涙袋を入れたら、逆に目の下のクマが濃くなった気がする
  • 笑っても涙袋の形が綺麗に出ず、目の下がのっぺりと埋もれて見える
  • なんとなく顔全体が疲れた印象になった

もし、これらに心当たりがあるなら、それは施術の失敗ではありません。「治療の選択」と「アプローチの順序」が、あなたの目元の状態と合っていなかった可能性が高いです。

私は美容外科医として、これまで数多くの目元修正やクマ治療を担当してきました。その中で確信しているのは、「単にヒアルロン酸を注入する前に、まずは土台となる目元の構造そのものを整える必要があるケースが非常に多い」という事実です。

本コラムでは、多くの患者様が陥りがちな「涙袋ヒアルロン酸とクマの意外な落とし穴」について解説し、私が提唱する「裏ハムラ法」がいかにして埋もれた涙袋を救出し、自然で美しい目元を作るのか。実際の症例写真を交えて、医学的根拠に基づき徹底解説します。


目次

なぜ、ヒアルロン酸を入れると「クマ」が悪化して見えるのか

「埋もれる涙袋」のメカニズム

そもそも、美しい涙袋とはどのような状態を指すのでしょうか? それは単に目の下が膨らんでいる状態ではありません。まつ毛の生え際にある「涙袋(眼輪筋の隆起)」と、その下の頬にかけての間に「くびれ(境界線)」が存在して初めて、涙袋は際立つのです。

しかし、多くの日本人には、生まれつき、あるいは加齢とともに「眼窩脂肪(がんかしぼう)」という目の下の脂肪が突出しているケースが多く見られます。これがいわゆる「影クマ」「黒クマ」の正体です。

この「クマ(脂肪の膨らみ)」がある状態で、その上にヒアルロン酸を注入するとどうなるでしょうか? 下の「脂肪の山」と、上の「ヒアルロン酸の山」が合体してしまい、本来あるべき境界線(くびれ)が消失してしまいます。

結果として、涙袋の輪郭がぼやけ、目の下全体がのっぺりと大きく膨張し、まるで「巨大な目袋」のようになってしまうのです。これが、ヒアルロン酸を入れたのに「クマが悪化した」「涙袋が埋もれてしまった」と感じる最大の原因です。

ヒアルロン酸が透ける「チンダル現象」

さらに、皮膚の薄い目の下に多量のヒアルロン酸が存在すると、光の乱反射により青黒く透けて見える「チンダル現象」が起こることがあります。 これが元々のクマの影や色素沈着と重なると、目元全体が暗く沈んで見え、老けた印象や疲れた印象を加速させてしまいます。

「涙袋が綺麗に出ないから」といって、さらにヒアルロン酸を追加注入するのは逆効果です。一度立ち止まり、根本原因である「ベースの整地」に目を向ける必要があります。

MAe Clinicの診断力「本来の状態を見極める」

美しい涙袋を作るためには、まず「なぜ今、涙袋が埋もれてしまっているのか」という阻害要因を特定しなければなりません。

だからこそ、私がカウンセリングで最も重視しているのは、

  • 今の状態の原因がヒアルロン酸なのか?
  • それとも、もともとの眼窩脂肪なのか?

この2つをしっかり見極めることです。 今回の症例のように、既存のヒアルロン酸が邪魔をして正確な診断や手術の妨げになる場合に限り、まずはそれをリセット(溶解)するステップをご提案します。

【症例解説】ヒアルロン酸を溶かすだけで、ここまで変わる

ここで、実際の患者様の症例をご覧ください。

上段が他院で涙袋ヒアルロン酸を注入されていた状態、下段が当院で溶解した直後の状態です。 「溶かすだけ」でも、目の下の不自然なこんもり感が解消され、スッキリとした印象に変わったのがお分かりいただけると思います。この時点でクマがなければ手術は不要ですが、多くの場合は隠れていた「本物のクマ(眼窩脂肪)」と「靱帯による凹み」が姿を現します。

この患者様の場合も、ヒアルロン酸がなくなったことで、眼窩脂肪の膨らみが明確になりました。このままでは、涙袋は脂肪に埋もれてしまい、いくらヒアルロン酸を入れ直しても同じ結果を繰り返してしまいます。 ここで初めて、「裏ハムラ法」による根本治療が必要であるという診断が確定するのです。


なぜ「脱脂」ではなく「裏ハムラ法」なのか?

クマ取り治療には、大きく分けて「経結膜脱脂術(脂肪取り)」と「裏ハムラ法(脂肪再配置)」の2つがあります。私は、涙袋を美しく見せたい方には、圧倒的に「裏ハムラ法」をおすすめしています。その医学的理由を解説します。

単なる「脱脂」の落とし穴

一般的な「脱脂術」は、膨らんでいる眼窩脂肪を取り除く手術です。確かに膨らみは取れますが、以下のリスクがあります。

  1. 凹み(Hollowing)のリスク: 脂肪を取りすぎると、目の下が窪んでしまい、逆にクマが目立つようになる。
  2. 靱帯が放置される: 目の下の「ハの字」のライン(ティアトラフ)を作る靱帯(Ligament)が処理されないため、凹凸の段差が完全には解消されない。

「裏ハムラ法」の真髄

対して、私が行う「裏ハムラ法」は、脂肪を「捨てる」のではなく「移動して利用する」手術です。

  1. 靱帯(Ligament)の解除: まず、目の下の凹みの原因となっている強力な結合組織「眼窩頬部靱帯(Orbitomalar Ligament)」を裏側から丁寧に剥離・解除します。これだけで、食い込んでいたラインが解放されます。
  2. 脂肪の再配置(Repositioning): 解除してできたスペースに、膨らみの原因だった眼窩脂肪を移動させ、敷き詰めます。
  3. 涙袋の土台形成: 眼輪筋(涙袋の筋肉)の裏打ちとなっていた圧迫(脂肪)が下へ移動することで、眼輪筋が正しい位置に戻り、ぷっくりとした涙袋が自然に隆起します。

つまり、裏ハムラ法は「マイナス(余分な脂肪)」を「プラス(凹み)」の場所に移動させることで、目元の表面を平滑にし、その上に乗る涙袋を主役に押し上げる手術なのです。

「異物」を使わない安心感

脱脂後の凹みを埋めるために、脂肪を注入する「脂肪注入併用」をすすめるクリニックも多いと聞きます。 しかし、MAe Clinicの裏ハムラ法では、原則として凹みを埋めるための脂肪注入やヒアルロン酸注入を行いません。

目の下の脂肪を移動させるだけで凹凸を治すため、しこりや石灰化のリスクがなく、血流のある生きた組織として定着します。全て自家組織で行うため、将来的なメンテナンスの煩わしさからも解放される、非常に理にかなった治療法です。


【症例詳細】術後3ヶ月の経過と「くびれ」の仕上がり

それでは、実際に当院で裏ハムラ法を受けられた患者様の経過を見ていきましょう。

  • 術前(Before): 涙袋ヒアルロン酸と眼窩脂肪が混在し、境界線がぼやけて目元全体が重たい印象です。
  • 術後3ヶ月(After): くっきりとした涙袋が現れています。 クマがなくなり、靱帯が解除されたことで、眼輪筋の輪郭がクリアになった証拠です。

さらに、脂肪を低い位置(凹み部分)に移動させたことで、頬(チーク)の位置が高く見えています。これにより中顔面が短縮して見え、小顔効果や若返り効果も同時に得られています。 また、斜めから見た時のカーブも整い、まつ毛の向きも上向きになることで、自然と目力がアップしています。

ダウンタイムとリスクについて

どれほど優れた手術であっても、医療行為である以上、リスクはゼロではありません。

  • 腫れ・内出血: 個人差はありますが、通常1〜2週間程度で目立つ腫れは引いていきます。完全に組織が馴染むには3〜6ヶ月かかります。
  • 結膜下出血: 白目が赤くなることがありますが、2週間程度で自然に吸収されます。
  • 一時的な感覚の鈍さ: 手術操作により、一時的に目の下から鼻横にかけての感覚が鈍くなることがありますが、時間経過とともに回復します。
  • 外反のリスク: 皮膚を切開しない「経結膜アプローチ」のため、皮膚切開法に比べてリスクは極めて低いですが、稀に一時的な症状が出ることがあります。経験豊富な医師による適切な剥離操作が重要です。

当院では、万が一のトラブルにも迅速に対応できる体制を整えています。不安な点は、カウンセリング時にどんな些細なことでもご質問ください。


まとめ

私が診療において最も大切にしているのは、「目元単体の変化だけでなく、お顔全体のバランスの中で違和感のない美しさを追求する」ということです。

「涙袋が欲しい」というご希望があっても、ヒアルロン酸を入れることでかえってバランスを崩してしまう場合は、医学的な見地から正直にその旨をお伝えし、本当に必要な治療をご提案させていただきます。

  • クマの原因を見極める正確な診断。
  • 靱帯を処理し、自家組織で整える確かな技術。
  • そして、その人に馴染む自然な仕上がり。

「ヒアルロン酸を繰り返しているけれど、しっくりこない」 「目の下のクマのせいで、疲れて見える」

そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、MAe Clinicへご相談ください。これまでの経験と技術を活かし、あなたにとって最適な解決策をご提案させていただきます。

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