はじめに|「夏にルメッカを受けても大丈夫ですか?」
美容皮膚科でシミや赤ら顔の相談に来られる方の多くが、こうしたご質問をされます。とくに紫外線が強くなる春から夏にかけては、「IPL(光治療)は日焼けと相性が悪い」「夏は避けたほうがいい」といった情報も多く、正しい判断に迷われる方が少なくありません。
本記事では、IPL治療の代表格である「ルメッカ」が夏でも受けられるのかどうかについて、医師の視点から詳しく解説します。紫外線との関係、肌トラブルのリスク、時期別の治療戦略、そして当院で行っている安全な治療の工夫まで、実際の現場で患者さんにお伝えしていることを、できるだけわかりやすくまとめました。
ルメッカ(IPL治療)とは?どんな悩みに効果がある治療?

ルメッカは「IPL(Intense Pulsed Light)」と呼ばれる光治療機器のひとつで、主にシミやそばかす、くすみ、赤ら顔、毛穴の開きなどに効果を発揮します。
IPLはレーザーと違い、幅広い波長の光を照射することで、ターゲットとなる色素(メラニンやヘモグロビン)に反応し、不要な色素の除去やコラーゲン生成を促す作用があります。
ルメッカが適応となるお悩み
- 紫外線ダメージによるシミ・そばかす
- 顔全体のくすみ(肌トーンの改善)
- 毛細血管拡張による赤ら顔
- 毛穴の開き、肌質のざらつき
ルメッカは肌への負担が比較的少ないため、ダウンタイムもほとんどなく、月1回程度のペースで継続治療される方も多いです。
ルメッカは夏にできる?できない?
結論から言うと、ルメッカは夏でも受けられます。ただし、すべての方が無条件に受けられるわけではなく、以下の2つの条件を満たすことが重要です。
- 強い日焼けをしていない
- 治療前後にしっかりと紫外線対策ができる
日焼けとIPLの関係
IPLはメラニン(黒い色素)に反応するため、肌が日焼けで黒くなっていると、火傷や色素沈着のリスクが高まります。また、日焼け後は肌のバリア機能も低下しており、治療効果が十分に出にくい状態になっていることもあります。
夏でも照射できるケース
- 普段から紫外線対策をしている
- 海やアウトドアでの日焼けを避けている
- 肌が白めで、敏感肌ではない
このような方であれば、夏でも問題なく施術可能です。当院でも、診察で肌の状態を見極めながら慎重に判断しています。
夏にルメッカを受けるときの注意点【前後ケアが大切】
治療前の注意点
- 直近2週間に強い日焼けをしていないか確認
- レチノール、トレチノインなど光感受性の高い外用剤は中止
- 妊娠中や光感受性薬の内服がある方は施術不可
治療後の注意点
- 日焼け止めはSPF50/PA++++以上を推奨
- 当日は入浴・激しい運動・サウナは控える
- 保湿をしっかり行い、摩擦を避ける
- かさぶた様の反応があっても無理に剥がさない
特に注意すべきは、施術直後のうっかり日焼けです。肌が敏感な状態で紫外線を浴びると、色素沈着のリスクが高まります。
当院では、アフターケアとして美白内服(トラネキサム酸・シナール)の処方や、保湿ケアの指導も行っています。
季節別おすすめ治療戦略|春夏秋冬でどう変える?
美容治療は「タイミング」も非常に重要です。季節ごとの紫外線量や肌の状態を考慮し、施術計画を立てましょう。
春(3〜5月)
- 紫外線が急に強くなる季節。IPLデビューに最適
- 肌がゆらぎやすい時期なので出力調整がカギ
夏(6〜9月)
- 紫外線ピーク。しっかりとしたUV対策が必須
- ごわつきや皮脂詰まりが出やすいので、ケアシス・水光注射などとの併用がおすすめ
秋(10〜11月)
- 紫外線ダメージの回復シーズン
- 最も治療効果が出やすく、IPLやレーザー治療に最適
冬(12〜2月)
- 紫外線が最も弱く、治療に適した時期
- 美白・エイジングケアを集中して行うチャンス
当院のルメッカ治療の工夫とサポート体制
肌診断と照射設定のパーソナル設計
- 肌タイプ、日焼け歴、スキンケア状況などを総合的に評価
- 必要に応じてテスト照射や出力調整を実施
安全性を重視したアフターケア
- 美白内服(トラネキサム酸+ビタミン)を推奨
- クーリング・保湿の徹底
- 色素沈着が出た場合も、適切に治療対応
他治療との併用・切り替えも柔軟に対応
- 肝斑や敏感肌の方にはケアシスなどの他治療に変更する場合もあります
- 水光注射やエレクトロポレーションとの併用も効果的です
よくあるご質問(Q&A)
Q. 1回で効果は出ますか?
A. シミが濃い方は1回でトーンアップを実感できますが、3〜5回の継続がおすすめです。
Q. 肝斑にも効きますか?
A. 肝斑はIPLで悪化することがあるため、内服治療をご案内します。
Q. 夏でも本当に安全ですか?
A. 適切な日焼け対策をしていれば、安全に施術可能です。医師が肌状態を見て判断します。
Q. 他の治療と併用できますか?
A. はい、ケアシス・水光注射・ビタミンC導入などとの併用も効果的です。
まとめ|夏でも“正しく行えば”ルメッカはできる
ルメッカは、紫外線対策を徹底すれば夏でも施術可能な治療です。
むしろ、紫外線が強くなる時期だからこそ、「予防」の意味で早めに始めるのもひとつの選択です。
とはいえ、夏の治療にはリスク管理が不可欠。肌状態の見極めやアフターケアを含め、医師の適切な判断と二人三脚で進めていくことが大切です。
「この季節に何ができるのか」「私の肌には何が合うのか」
迷ったら、ぜひ一度ご相談ください。
当院では、形成外科の知見も活かしながら、安全性と効果のバランスを大切にした美容治療をご提案しています。
