【眼窩脂肪とROOF脂肪の違いとは?】まぶたの腫れぼったさを解剖学的に解説


「アイプチで二重にならない」
「埋没してもすぐ戻る」
「いつも眠たそう・重たそうに見られる」

そうしたお悩みを抱えている方の多くが、自覚していない“脂肪の厚み”を上まぶたに持っています。中でも重要なのが、眼窩脂肪とROOF脂肪(ルーフしぼう)です。

この2つの脂肪は、構造も役割も違います。そして、それぞれが“腫れぼったく見える原因”に深く関係しています。

この記事では、眼窩脂肪とROOF脂肪の解剖学的な違いと、それぞれに対するアプローチについて、医師の視点でわかりやすく解説します。


目次

眼窩脂肪とは?

まぶたの内側(眼球周辺)に存在する脂肪です。

  • 眼球や筋肉を守る“クッション材”の役割
  • 加齢や眼瞼下垂により前方へ突出しやすい
  • 皮膚からの距離が近く、圧迫感・腫れぼったさとして感じやすい

眼窩脂肪が多いタイプは、

  • まぶたを閉じたときにボリュームがあり、
  • 二重のラインが浅く・ぼやけやすく、
  • メイクで凹凸が作りにくいのが特徴です。

特に「蒙古襞が強い」「奥目」な方では、眼窩脂肪が内側に集中しており、これが重たく見える原因になることがあります。

また、眼窩脂肪は加齢とともに下方・前方に押し出されやすく、若年層よりも中高年層での腫れ感の原因になりやすい傾向があります。


ROOF脂肪とは?

ROOFとは Retro-Orbicularis Oculi Fat の略で、
上まぶたの眼輪筋の下、眼窩隔膜の前にある脂肪組織です。

  • 若年でも厚い人が多く、骨格的な要素が大きい
  • 皮膚に非常に近いため、厚みがダイレクトに“腫れ感”に影響
  • 東アジア人に特有の脂肪構造とも言われています

ROOF脂肪が多いタイプは、

  • 目を開けたときに眉下〜上まぶた全体が重たく、
  • 二重ラインの上が盛り上がっている印象になりやすく、
  • まぶた全体の厚みで“立体感が出にくい”と感じることが多いです。

また、ROOFは手術による除去や減量が比較的難しい脂肪でもあります。
なぜなら皮膚に近く、浅い層で神経・血管が密集しているため、過度な切除は凹みや血流障害のリスクを伴うからです。


眼窩脂肪とROOF脂肪の違いまとめ

項目眼窩脂肪ROOF脂肪
位置眼窩内眼輪筋の下
役割クッション性、眼球保護主に脂肪蓄積(体質・人種差あり)
年齢による変化加齢で前方に突出しやすい若年でも厚い場合あり
腫れ感のタイプ内側〜中央が重く感じる眉下〜まぶた上部全体がもたつく
施術対象脱脂術、下垂修正などROOF切除(要選択的)

どちらの脂肪が原因なのか見極めるには?

見た目の腫れぼったさは、眼窩脂肪・ROOF脂肪・皮膚の厚み・骨格の角度など、複数要素が複雑に関係しています。

そのため、正確な診断には以下の要素を併せて評価します:

  • 二重ラインの食い込み具合
  • 上瞼の可動域と脂肪の動き方
  • 眼輪筋の厚み
  • 眉骨の突出度、額の角度

まぶたのボリューム感が一見「脂肪」だと思っても、実際には皮膚の張りや筋肉の厚み、骨の位置が関与していることも多くあります。

誤った脂肪を切除すると、目元の不自然さや陥凹(くぼみ)を生むこともあるため、慎重な見極めが必要です。


アプローチ法の違い

眼窩脂肪が主因の場合:

  • 切開法や眼瞼下垂術に合わせて、内部から脂肪を一部切除(脱脂)
  • 脱脂しすぎると陥凹の原因になるため「適量・バランス」が鍵
  • 特に眼窩脂肪は、内側・中央・外側と分かれているため、どこをどれだけ取るかがポイント

ROOF脂肪が主因の場合:

  • 眉下切開やROOF切除手術などで、選択的に除去
  • 表層の脂肪であるため、術後の腫れや回復に注意が必要
  • 眉下リフト+ROOF切除を組み合わせるケースもあり、腫れぼったさの改善と同時にまぶたのたるみも改善できます

手術だけでなく、骨格や印象のコントロールも重要

脂肪を除去するだけでまぶたの印象が劇的に変わるケースもありますが、逆に「取りすぎ」によって老けた・不自然になったという相談も少なくありません。

特にROOF脂肪は、加齢とともに自然に薄くなっていくケースも多く、若いうちに過剰に取ってしまうと、年齢とともに陥凹や目の上の影が目立ちやすくなることもあります。

大切なのは、「今、気になる腫れ感」にだけフォーカスせず、将来どう変化するかまで含めて設計することです。


まとめ|「脂肪が多い=脱脂すればいい」ではありません

まぶたの厚みや腫れ感は、単なる“脂肪の量”だけで決まるものではありません。

  • 眼窩脂肪なのか?
  • ROOF脂肪なのか?
  • 骨格的な構造や皮膚の性質なのか?

これらを総合的に診断したうえで、必要な処置だけを選び取る“引き算の美学”が、ナチュラルでバランスの取れた目元につながります。

「まぶたの脂肪を取ればスッキリする」と思って手術を受けた結果、不自然な凹みや老け顔になってしまったというケースも少なくありません。

だからこそ、私たちは“本当にその脂肪は取るべきか?”を見極める診断力と、必要最小限のアプローチを大切にしています。

まぶたの腫れぼったさに悩まれている方は、ぜひお気軽にご相談にお越しください。

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