美容整形において「目元」はとくにダウンタイムが気になりやすい部位です。術後の腫れや赤みが数日〜2週間続くのは一般的ですが、「2週間経っても引かない」「1ヶ月以上むくみが残っている」といったご相談も少なくありません。
実際、私たち医師のもとにも「目元整形の腫れがいつまでも治らない」「これは失敗なのでは?」という不安の声が寄せられます。
この記事では、目元整形後の腫れが長引くメカニズムを医師の視点からわかりやすく解説し、必要な対処法や注意点まで詳しくお伝えします。
正常な腫れと、長引く腫れの違いとは?
目元の整形手術(埋没法・切開法・目頭切開・裏ハムラ・白目拡大術など)では、術後の腫れはある程度避けられない自然な反応です。とくに術後3日間は腫れのピークとなり、その後は徐々に落ち着いていくのが一般的です。
施術ごとに腫れの出方や回復スピードには差があります。たとえば、皮膚を切らない埋没法では腫れが軽く、通常は数日〜1週間程度で引いていく方がほとんどです。一方、白目拡大術や裏ハムラ法などは皮膚や筋肉、脂肪へ操作が加わるため、1〜2週間ほど強い腫れが続くケースもあります。
また、以下のような症状がみられる場合には、腫れが「通常より長引いている」可能性があります。
- 2週間以上たっても明らかな腫れが続いている
- 1ヵ月以上たってもむくみ・赤み・熱感が続いている
- 片側だけ腫れが強く、左右差が大きい
- 腫れが強く、二重ラインが見えない・いびつになっている
腫れが長引いているからといって、すぐに「失敗」と決めつける必要はありません。重要なのは、その原因を正しく見極め、必要に応じた適切な対応を行うことです。
腫れが長引く主な原因
炎症の長期化
目元は血流が豊富な反面、組織がデリケートなため軽微な炎症でも腫れが続きやすい部位です。
とくに切開を伴う手術では、術後の炎症反応が長引くことがあります。感染まで至っていなくても、内部で微小な炎症が続いていると腫れや赤みが取れにくくなります。
また、まれに自己免疫的な反応が起きることもあり、体質によって腫れが引きにくい方もいらっしゃいます。
内出血や血腫
術中の出血が皮下や深部に残ってしまうと、血腫(けっしゅ)と呼ばれる状態になります。これが吸収されるまでに時間がかかると、腫れや色素沈着として長引いて見えるのです。
目の下など皮膚の薄い部分では、肉眼で確認できない深部の血腫が「腫れが引かない」と誤認されることも多いです。
リンパの流れが滞っている
手術によって皮下のリンパ流が一時的に阻害され、むくみが残りやすくなるケースもあります。
特に、以下のような方はむくみが出やすく、引きにくい傾向があります。
- 元々むくみ体質(塩分摂取が多い/睡眠不足など)
- 花粉症やアレルギーでまぶたが腫れやすい
- 頬やこめかみの脂肪が多い
異物反応(糸や素材への反応)
目元整形に用いられる材料は、術式ごとに異なります。
埋没法では、非吸収性(溶けない)糸をまぶたの内部に留置するため、体質によってはまれに糸周囲に炎症性の反応や肉芽組織(しこり)ができることがあります。
一方、施術によっては、内部縫合に吸収性の糸を使用することもあります。これらも体にとっては異物であり、吸収されるまでの過程で軽度の腫れや赤みが長引くことがあります。
当院ではそれぞれの術式において、使用する糸の種類や留置方法を慎重に選択・工夫し、炎症や腫れのリスクを最小限に抑えるよう配慮しています。
瘢痕や線維化
「傷が治ってきている途中の硬さ」によって、腫れや違和感を感じるケースもあります。
これを瘢痕硬結(はんこんこうけつ)と呼びます。見た目は腫れているように見えても、実際は治癒過程における組織の硬さであることも多いです。数ヶ月かけて自然に柔らかくなります。
当院での対応・サポート内容
術後の腫れが長引くリスクを最小限に抑えるため、当院では「炎症コントロール」と「組織修復促進」の両面から、以下のような対応を行っています。
ダウンタイム軽減用の内服セット
手術直後から数日間は、身体が炎症反応を起こしている状態です。当院ではこの反応をコントロールするため、ご希望の方には下記のような効能を持つ内服薬を組み合わせて処方しています。
- 抗炎症・血流改善成分
- 水分代謝を整える成分
- 打撲や内出血に働きかける成分
これらの内服は、漢方と西洋医学の知見を融合させた当院独自の処方構成です。患者様の体質・年齢・既往歴に応じて内容を調整し、安全性に配慮しています。
術後点滴で内側から炎症と戦う
ご希望の方には、「ダウンタイム軽減点滴」もご案内しています。以下のような多面的な働きで、回復をサポートします。
- 抗炎症作用
- 抗浮腫・代謝促進成分
- ビタミン類(B群・Cなど)
- 疲労回復・免疫サポート成分
こうした点滴は、仕事復帰を急ぎたい方や大事な予定が控えている方、とにかく早く腫れを引かせたい方に特におすすめです。
修正術の検討(必要な場合)
腫れの原因が構造的なもの(例:糸の露出や血腫の包囲)である場合には、早期の再処置や修正手術を検討することもあります。
どんなときに再診した方がいい?
以下のような症状がある場合は、速やかにクリニックを受診してください。
- 腫れが日を追って強くなっている
- 押すと痛みがあり、熱を持っている
- 黄色い膿や出血が持続する
- 片目だけ大きく腫れている
当院では、心配な症状がある方に対して、まずはLINEでお写真を送っていただき、医師が状態を確認してから来院の必要性を判断することも可能です。お気軽にご相談ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q. 3週間たっても腫れが残っているのは普通?
A. 手術内容にもよりますが、白目拡大術や裏ハムラなどでは3〜4週間かけて徐々に引いていくケースもあります。むくみや瘢痕硬結の可能性もあります。
Q. 冷やしたほうがいいですか?温めたほうがいいですか?
A. 術後2〜3日は冷やすことで炎症を抑えますが、以降は温めた方が血流が良くなり回復が早くなることもあります(医師判断が必要です)。
Q. 腫れがひかず二重幅が左右非対称です。どうすれば?
A. 腫れが落ち着くと自然に左右差も改善することが多いですが、1ヶ月以上強い左右差が続く場合はご相談ください。
まとめ
基本的には、目元整形後に腫れが出るのは自然な反応であり、特別な異常ではありません。ほとんどのケースでは、時間の経過とともに少しずつ腫れが引いていき、最終的にきれいに仕上がっていきます。
目元整形後の腫れが長引く場合、多くは何らかの原因が隠れていることがほとんどです。自己判断で放置するのではなく、医師による経過観察と早めの対応が重要です。
腫れが続いているからといって、必ずしもトラブルや失敗というわけではありません。むしろ、術後の正常な治癒反応の一部であることも多く、必要以上に不安にならないことも大切です。
それでも「本当にこのままで大丈夫?」「修正が必要なのでは?」と感じたら、まずは医師に相談しましょう。当院では、初期対応からアフターケア、万が一の修正まで一貫したサポート体制を整えています。
ダウンタイムを少しでも軽減し、不安なく過ごしていただくために、術前の説明・術後のフォロー・お薬や点滴(ご希望の方)なども個別に対応しています。LINEでの写真相談など、受診前のご相談も歓迎しています。
腫れや赤みが気になる場合も、どうぞお気軽にご相談ください。

