「小鼻が張っていて目立つ」「鼻全体が大きく見える気がする」「正面からの印象をスッキリさせたい」――
こういった悩みの原因のひとつが“鼻翼”の広がりです。
鼻整形と聞くと「鼻筋を高くする」「鼻先を尖らせる」イメージを持たれる方も多いですが、実は小鼻(鼻翼)の幅を整えるだけで、顔の印象は大きく変わります。
ここでは、美容外科専門医の視点から「鼻翼縮小(小鼻縮小)」の基本情報・メリット・デメリット・ダウンタイム・手術法の選び方まで、初めての方にもわかりやすく解説していきます。
鼻翼縮小(小鼻縮小)とは?

鼻翼とは、鼻の穴の左右両端にふくらむ部分で「小鼻」とも呼ばれます。
小鼻が外側に張り出していると、鼻の穴が強調され大きく見えることがあります。
鼻翼縮小術は、鼻翼(小鼻)や鼻腔底(鼻の下部)の皮膚を切除し、小鼻の張り出しや鼻の穴の横幅を整える手術です。
この施術は、鼻全体をコンパクトに見せる効果もあります。
小鼻を小さくすることで、すっきりとした優しい印象の鼻立ちになります。
小鼻のふくらみが気になる方や、鼻の穴を目立たなくしたい方におすすめです。
鼻は皮膚が厚く柔らかいため、ただ切って縫うだけでは不十分です。
繊細な組織処理、張力の調整、仕上がりを左右するデザイン力が求められる高度な技術が必要とされます。
小鼻が広がる原因とは?
小鼻(鼻翼)が広がって見える原因は、複数の解剖学的・表情的要因が組み合わさっています。主な要因は以下の通りです。
1. 鼻翼の皮膚が厚く、外側に張っている
皮膚や皮下脂肪の厚みがある場合、小鼻は外側にふくらみやすく、正面から見たときに横幅が強調されます。特に日本人を含む東アジア系の方は、小鼻の皮膚が厚くなりやすい傾向があります。
2. 鼻の穴が大きく、縦長で目立ちやすい
鼻孔が大きく、縦方向に長い場合、小鼻のふくらみと合わさって、鼻全体の存在感が増し、広がって見える原因となります。
3. 表情による影響(特に笑顔)
笑うと小鼻が横に引っ張られて広がるのは、表情筋(主に上唇鼻翼挙筋など)の作用によるものです。日常的に笑顔の多い方ほど、この筋肉の働きが癖になり、無意識のうちに小鼻の広がりが強調されるケースもあります。
とくに鼻孔縁(鼻翼基部)から小鼻の付け根にかけての形状は、個人差が非常に大きい部位です。このエリアは筋肉の付き方、皮下脂肪の厚み、骨格バランスなど、さまざまな要素の影響を受けるため、「小鼻が広がって見える原因」は一概に言い切れないのが実情です。
そのため、小鼻縮小手術をご検討の際には、どの要因が広がりの主因なのかを正しく見極める診断が非常に重要です。筋肉の影響が強い場合にはボトックスなどを追加する選択肢もありますし、皮膚の厚みや脂肪が主因であれば手術でのアプローチが有効です。
鼻翼縮小の方法と適応の考え方
小鼻縮小には主に3つの方法があります。鼻の形や皮膚の厚み、笑ったときの動きなどを総合的に診察して、最適な術式を選択します。
① 内側法

鼻の穴の内側から切除する方法で、外から傷が見えにくいのが最大のメリットです。
鼻の穴の中の粘膜と皮膚を切除し、縫い寄せて幅を詰めます。
土台(鼻の床)部分を引き締めることで、正面から見た印象がスッキリします。
適している方:
- 鼻の穴が大きく見える方
- 小鼻の横幅を軽く縮めたい方
見た目の変化は控えめですが、自然でナチュラルな印象変化が期待できます。
② 外側法

小鼻の外側(付け根)を切除する方法で、しっかりとした変化を求める方に適しています。
小鼻の外側を切開し、余分な皮膚も切除することで、大きく張り出した鼻翼のふくらみを改善することができます。
適している方:
- 小鼻のふくらみや厚みが強い方
- 鼻翼の張り出しを抑えたい方
注意点:鼻の外側に切開の傷がくるので傷が目立ちやすいのが難点ですが、デザイン・縫合技術によって、傷跡は目立ちにくくなります。
③ 内・外側法

内側法・・・小鼻の幅を狭くする
外側法・・・小鼻のふくらみや丸みを減らす
内側法、外側法を併用した術式が内外側法です。それぞれの利点を活かした幅広い鼻翼縮小のデザインが可能です。
患者さまによっては、内側・外側の両方に広がりがある場合や、笑ったときだけ広がるケースもあります。
そのため、当院では複数の術式を組み合わせたオーダーメイドの手術をご提供しています。
④ フラップ法
内側法をベースに、粘膜や皮下組織を“弁(フラップ)”のようにめくり、左右から寄せて縫合する方法です。
特徴:
- 組織同士が癒着し、後戻りが少ないとされています。
- 糸だけで寄せるよりも強固な固定が可能です。
ただ、僕自身は最近この方法はあまり行っていません。理由は、フラップを作ることで小鼻の形が制限され、柔軟なデザインがしにくくなるためです。ナチュラルな小鼻の丸みや、鼻翼の自然な縁取りを大切にしたいので、より自由度の高い他のアプローチを選ぶことが多いです。
鼻翼縮小のメリット
- 鼻の横幅がスッキリし、鼻全体が小さく見える
- 顔全体のバランスが整う(特に口元・目元との比率改善)
- 団子鼻の印象をやわらげられる
- 他の鼻整形と組み合わせることで、より完成度の高い鼻デザインが可能
デメリット・リスク
- 傷が完全にゼロになるわけではない(外側法の場合)
- 外側法で皮膚を取りすぎると、小鼻の丸みがなくなったり、鼻孔が変形する可能性あり
- 内側法でも切除量が多すぎると、鼻の穴が三角形になる・表情が不自然になることも
- 鼻孔縁が下がって見える「引きつれ感」が出ることも(→再建的工夫が必要)
- 再手術は初回以上に難易度が高く、余った皮膚がないとできないことも
鼻翼縮小の再手術は難易度が高いので、最初の手術で“やりすぎないこと”が大事です。
ダウンタイムと術後経過
項目 | 内容 |
---|---|
手術時間 | 約40〜60分 |
麻酔 | 局所麻酔+静脈麻酔(希望に応じて) |
腫れ・内出血 | 3〜7日がピーク。1〜2週間で落ち着きます |
抜糸 | 5〜7日後(内側法では不要) |
メイク・洗顔 | 翌日から可能(部位を避けて) |
完成まで | 約3〜6ヶ月で安定した仕上がりに |
傷跡と術後の注意点
小鼻縮小で多くの方が気にされるのが「傷跡」です。
- 内側法:傷は鼻の穴の中に隠れるため、外からは見えません。
- 外側法:傷は小鼻の外側にできますが、鼻翼の溝に沿わせることで目立ちにくくします。
ただし、どちらの方法でも医師の技術が問われます。
- 外側法で皮膚を取りすぎると、小鼻の丸みがなくなったり、鼻孔が変形する可能性あり。
- 内側法でも、土手(鼻の穴の縁)を粗く処理すると形が崩れ、修正が必要になることもあります。
当院の鼻翼縮小のこだわり
- 骨格・皮膚の質感・表情筋の動きまで考慮したデザイン
- ミリ単位で調整できる縫合技術と創部管理
- 必要に応じて、鼻中隔延長・鼻柱下降・鼻孔縁挙上・鼻尖形成なども併用
- 他院修正・再手術にも対応
- 目立たない傷、ナチュラルな変化を重視
鼻翼の手術は“微妙なさじ加減”がとても大事です。切りすぎれば再建が必要になるので、自然に小さく、でも変化をしっかり出すことを意識してデザインをします。
実際の症例


施術内容:
小鼻の張り出しと鼻孔の広がりが気になる患者様に、内側法+外側法を組み合わせた鼻翼縮小を行いました。デザインのポイントは「基部の丸みを残すこと」。ただ横幅を狭めるのではなく、正面・斜め・笑顔などあらゆる角度で自然に見えるバランスを重視しました。術後6か月、存在感の強かった小鼻は自然になじみ、“忘れ鼻”へ。顔全体の印象まで洗練された症例です。
まとめ|鼻翼縮小は“鼻の印象”を左右する鍵
鼻の印象は、鼻筋や鼻先だけでなく、小鼻(鼻翼)のバランスによって大きく左右されます。鼻翼縮小は「派手さはないけれど、顔全体の印象を洗練させる」非常に効果的な手術です。
ただし、皮膚や筋肉の構造・表情の癖などによって、最適な術式は異なります。やりすぎは取り返しがつかず、再手術の難易度も高くなります。
僕は鼻の初回手術はもちろん、他院修正手術のご相談も数多く担当しています。鼻単体で見るのではなく、お顔全体とのバランスを重視し、自然で美しい仕上がりを目指したデザインを大切にしています。
「自分に合った方法が知りたい」「まずは話だけ聞いてみたい」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。
